オーケストラ!

かつてはモスクワのボリショイ劇場の花形指揮者だったものの、ブレジネフ政権のユダヤ人音楽家排斥に反抗したため、職を奪われ、現在は劇場の掃除係をさせられているアンドレが、かつての音楽仲間を集めて、にせのボリショイ管弦楽団を作って、パリのシャトレイ劇場でコンサートを開くというコメディタッチの映画です。
パリで演奏する曲目はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で、アンドレにとって思い出深い曲。ヴァオリン奏者に指名されたのはアンヌ=マリー。2人の関係はいかに。
荒唐無稽なあり得ない話のようにも思いますが、かつて香港でニセのオーケストラの公演事件があったそうですし、日本でも某女流指揮者の経歴問題で、ボリショイ何とかというオーケストラの存在が議論されたのも記憶に新しいところです。
登場人物の一人一人が魅力的であり、テンポ良い進行で飽きさせません。単なる喜劇でなく、旧ソ連に対する風刺もあって面白いです。
クライマックスで演奏されるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲の演奏がなかなか良いです。映画の流れの中で感情移入できるせいもあるかも知れませんが、情熱的な演奏で、この熱演が頭から離れません。実際の演奏は誰がやっているのかエンドロールをじっと見ていましたが、確認できませんでした。
出演者はいずれも個性的で良かったですが、アンヌ=マリー役のメラニー・ロランは私好みであり、演奏姿も決まっていました。
今年は「のだめ最終楽章」に感動しましたが、この映画も楽しめました。新潟では先週から2週間の限定上映です。お早めにどうぞ。