安さだけなら「てまりの湯」

 燕市(旧分水町)にある「てまりの湯」。良寛さんで有名な国上山の麓にあり、正式名は「燕市温泉保養センター ふれあいパーク てまりの湯」といいます。公共の日帰り温泉施設であり、低料金ということもあって、地元の常連さんで賑わっています。

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 料金は通常でもタオル付(バスタオルは50円)で500円と安いのですが、夕方5時以降はタオル付300円となり格安です。さらに11枚で3000円という回数券や、10個で1回無料というスタンプカードまでありますから、大したものです。

 弥彦山周辺には数多くの日帰り温泉施設がありますが、夜間割引を考えますと、「さくらの湯」はタオル付550円、「太古の湯」はタオルなし400円、「きんぱちの湯」がタオルなし500円、「だいろの湯」がタオル付500円、「よりなれ」がタオル付500円、「じょんのび館」がタオル付500円、「ヴィネスパ」がタオルなし600円ということを考えますと、タオル付300円の「てまりの湯」の安さは別格です。

 下足箱に靴を入れ、券売機で入浴券を買い、受付に下足箱の鍵とともに渡し、タオルと下足箱の鍵の引き替え用の番号札をもらいます。

 脱衣場には鍵付ロッカーがあり、空いているものを自由に選びます。内湯は大浴槽と小さな円形浴槽、サウナ、掛け水用の小浴槽があります。外には露天風呂がありますが、大変小さく、5~6人で満員となります。ゆったり感は全くありませんが、混んでなければ、国上山を眺めながらの入浴は心地よいです。

 洗い場は仕切り付きで11か所、ほかにシャワーブースがあります。ボディソープとリンスインシャンプーが置いてあります。脱衣場洗面台には無料のドライヤーがありますが、ヘアブラシ類はありません。

 さて、泉質はナトリウム-塩化物冷鉱泉、源泉温度22.5℃、湧出量433L/分です。ガス性除く成分総計は1520mg/kgであり、無色透明ですが、塩味がして、若干の硫黄味と硫化水素臭があります。内湯大浴槽と露天風呂にこの源泉が使用されています。
 内湯の円形浴槽には別源泉(湯の腰源水)が使用されています。以前は単純硫黄冷鉱泉でしたが、新しい分析では成分の低下のため温泉法の基準を満たさなくなり、温泉を名乗れなくなりました。

 内湯大浴槽、露天風呂は、柔らかな刺激の少ない湯で、それなりに良い泉質なのですが、注湯量が少なく、オーバーフローも乏しいので、混み合う時は湯の鮮度が低下してしまうのが残念です。

 館内には休憩用広間があり、食事も可能です。自販機もたくさんあります。設備的には充実しているのですが、館内は狭く、ゆったり感がありません。

 低料金が魅力の施設であり、常連さんを中心に賑わっています。浴室も浴槽も広くはなく、混み合う時間帯は、まさに芋洗い状態となります。足を延ばしてゆったり瞑想のひと時を過ごすなどということは難しいです。特に常連さんが占拠している露天風呂に入り込むのはなかなか大変です。サウナも狭いです。

 ということで、ゆったり感が乏しいこと、加熱・循環の湯で、鮮度が低下していて、温泉としての魅力が失われていることなど、気になる点がありますが、夜間割引の300円はやはり魅力です。混み合わなければ良いのですが、仕方ないですね。

 安さだけならやっぱり「てまりの湯」。ただし、もう200円~250円足せば、掛け流しの、ゆったりした温泉に浸かれるということを考えますと悩ましいところです。地元の人で、毎日のように利用するなら「てまりの湯」でしょうが、ゆったりと湯に浸かりたいなら他施設がお勧めでしょうね。

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