営業再開 「西方の湯」 黒湯復活ならず

 「西方の湯」は、JX日鉱日石の定期点検に伴う源泉供給停止により、6月10日から休業していましたが、予定通り7月4日より営業を再開しました。どうなったか確認すべく、久しぶりに行って参りました。前回の訪問は正月でしたから、半年ぶりになります。

 梅雨前線が停滞し、雨の中国道113号線を進みました。例によって広大な駐車場には他に車はありません。

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 玄関先に女将さんがいて、出迎えてくれました。入浴料は500円、タオルなし。女将さんに挨拶し、ご無沙汰していたことをお詫びしました。ちょうど先客が帰ったところだそうで、館内には私ひとりでした。

 静まり返った薄暗い館内を進み、浴室に到着。当然ながら誰もいませんので、全くの貸切入浴となりました。

 浴槽には茶濁りの湯がたたえられ、大浴槽から小浴槽に流れ込んだ源泉が、浴槽の縁から掛け流されていました。小浴槽の隣には、水風呂もあります。

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 露天風呂もあるのですが、残念ながら湯はためられておらず、お預けのようです。

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 ぬるめの小浴槽で体を慣らし、熱めの大浴槽に浸かりました。結構な温度ですが、肌に良くなじみ、長く浸かることができます。でも、調子に乗って長湯しますと、確実にのぼせてしまいますので、ご注意ください。

 源泉は、点検前と同様のN12-2。泉質は、ナトリウム-塩化物強塩温泉。源泉温度60.7℃。ガス性除く成分総計は35920mg/kgです。ヨウ素イオンとアンモニウムイオンを多量に含み、独特の臭気を醸し出しています。

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 湯は茶褐色混濁。なめれば当然塩辛く、ツルスベ感があります。高温で濃厚な源泉が掛け流しで使用され、大きな浴槽ながら、利用客数は少ないので、湯の鮮度は申し分ありません。
 浴槽の底には湯花が沈殿し、浴槽内を移動すると舞い上がってきます。

 さて、「西方の湯」のファンの方なら、これまで2つの源泉が使用されてきたことをご存知でしょう。現在の源泉と同じ茶濁りの大人しい源泉と、強烈な臭気が漂う黒湯の源泉です。

 ちなみに、黒湯の源泉は、下の写真のように、まさに真っ黒で、怪しげな泡が浮いていました。

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 黒湯の源泉は全国的にもファンが多く、イメージソングまで作られたことは以前のブログでご紹介しています。

 超個性的な湯は一般人向けではありませんでしたが、全国に誇りうる新潟の名湯であり、私も大好きでした。クレゾール臭、口の悪い人は便所臭と表現した源泉は、ストレスがたまったときや、心身に喝を入れ、なまった体を「消毒」したいときには最適の湯であり、このブログでも度々紹介してきました。

 しかし、昨年の定期点検後は茶濁りの湯に変更となり、以後黒湯を楽しむことはできまくなりました。現在の源泉も、単独で考えれば、十分に個性的であり、ヘビーな湯なのですが、黒湯を知っている者には物足りなく感じられてしまいます。

 浴槽に入ったり出たりを繰り返し、のぼせて浴槽の縁で休んでいると、ようやく次の客がこられました。ちょっと声をかけてお話をし、浴室を後にしました。

 ご主人に挨拶して帰ろうと思いましたが、来客中であり、女将さんに挨拶して帰りました。
 帰り際に立ち話をし、黒湯の復活をお願いしましたが、源泉のパイプが破損しているため、復旧は困難とのことでした。残念ですね。

 今の源泉は、泉質的には「塩の湯温泉」と大差ないですが、混み合う「塩の湯温泉」より「西方の湯」は数倍ゆったりできます。休日でも混み合うことはなく、多くの場合は貸切状態で入浴できますから。

 人の気配がなく、怪しげな雰囲気は、温泉巡り初心者の皆さんには敷居が高く感じられるかもしれませんが、お湯は良いですので、勇気をもってご利用されますことをお勧めします。

 温まりはよく、帰り道も汗が引かないで困りました。黒湯でなくても「西方の湯」はやっぱり「西方の湯」。良い温泉です。

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