「だいろの湯」白濁!

 2001年11月のオープン以来のファンである新潟市西蒲区の多宝温泉「だいろの湯」。県内日帰り温泉でもトップクラスの集客を誇り、休日は入館待ちも多々あります。このブログでの登場回数も多くなっていますがお付き合いください。

 温泉もさることながら、食事の美味しさもあって、度々利用していますが、昨日も夜になってから行ってきました。
 3連休の中日の日曜日ということもあってか、非常に混み合って、日中は駐車場は満杯、入館も10分待ちという状況だったそうです。

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 18時過ぎに到着。駐車場はほぼ満車という状況でしたが、出ていく車があって待つことなく駐車できました。受付も混雑が解消されてスムーズに入館できましたが、混雑によりシャワーの出が悪くなっていることを説明されました。

 入館料はタオルセット付で800円です。平日17時以降の夜間割引は500円となりますので、大変お得です。さらに、平日はスタンプカードもあり、昼の利用は2ポイント、夜間利用が1ポイント付きます。ただし、温泉本に付いてくる割引クーポンは休日には使えないのが残念です。

 早速浴室へ。浴室内は撮影禁止になっていますので、写真はありません。以前のブログをご覧ください。(サイト内検索していただきますと、いろいろ出てきます。)

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 「だいろの湯」には3つの源泉がありますが、メインになるのが多宝温泉だいろの湯1号源泉です。この源泉は開業前から水路に垂れ流しされ、付近に硫化水素臭を漂わせていた歴史ある源泉であり、50畳の広さを誇る大庭園露天風呂に使用されています。
 泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)です。源泉温度55.2℃、使用位置47℃。湧出量は162L/分、PH 8.85。地下1209mより自噴。2号源泉と熱交換により温度を47℃に下げて、無濾過で80L/分で掛け流ししているとのことです。
 主な成分(イオン濃度mg/kg、平成6年4月5日分析)は、Li 0.07、Na 561.9、K 8.8、Mg 1.2、Ca 93.6、Sr 1.8、Ba 0.3、Al 0.06、Mn 0.05、Fe(II) 0.4、F 4.2、Cl 863.9、Br 2.3、I 0.6、HS 71.6、SO4 9.4、HCO3 161.7、メタ珪酸 61.6、メタ硼酸 9.5、遊離H2S 12.8、遊離CO2 8.8 など、ガス性除く成分総計は1853mg/kgです。
 湯は硫化水素臭が強く、淡緑色透明、硫黄味と塩味がし、苦味も感じます。月岡温泉を薄くした感じですが、ツルスベ感はありません。

 次に、2号源泉は内湯に開業当初から使用されていましたが、当初は温泉としての認定を受けていませんでした。保健所の指導もあって2003年秋に正式に温泉の認定を受けました。
 泉質は含硫黄-ナトリウム-塩化物温泉(アルカリ性低張性低温泉)です。源泉温度25.8℃、使用位置42.0℃。湧出量838L/分(動力)。PH8.9。地下300mより湧出。温度が低いため、高温の1号源泉と熱交換することにより湯温を上げて、200L/分で掛け流ししているそうです。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成18年8月25日分析)は、Li 0.10、Na 1888、K 14.5、NH4 0.02、Mg 0.3、Ca 80.7、Sr 0.5、Al 0.01、Fe(II) 0.06、F 0.3、Cl 832.9、Br 2.3、HS 5.6、SO4 78.1、HCO3 26.2、CO3 3.0、メタ珪酸 26.1、メタ硼酸 2.7、遊離H2S 0.08、などガス性除く成分総計は1553mg/kgです。
 微白濁し、微硫化水素臭、硫黄味がする柔らかい湯であり、単独で考えれば十分に主役を張れる湯です。

 最後に、3号源泉は露天岩風呂・打たせ湯に2007年7月から使用されている新しい源泉です。
 泉質は含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物温泉(アルカリ性低張性高温泉)です。源泉温度45.7℃、使用位置43.0℃。湧出量1140L/分(動力)。PH 9.6。地下1000mより湧出しているそうです。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成19年3月29日分析)は、Li 0.03、Na 491.4、K 3.3、Mg 0.2、Ca 681.2、Sr 6.3、Ba 1.3、Mn 0.03、Fe(II) 0.08、F 1.3、Cl 3967、Br 12.4、I 1.2、HS 5.4、SO4 5.6、HCO3 14.3、CO3 27.3、メタ珪酸 33.1、メタ硼酸 37.1、遊離H2S 0.08、などガス性除く成分総計は6696mg/kgです。
 湯は、無色透明ですが、薄い塩味とわずかな硫黄味がするいいお湯です。ぬるめに設定されており、ゆっくりと浸かることができます。
 湯量は豊富であり、この源泉は姉妹旅館の「めんめん亭わたや」に供給され、岩室温泉との混合で「わたやの湯」として使用されているほか、新潟駅前の「ドーミーイン新潟」でも使用されています。

 前置きが長くなってしまいましたが、浴室に入って、まずは掛け湯です。いつもは熱いのですが、湯温が低く、ほとんど水状態でしたので、洗い場のシャワーで掛け湯しました。

 そして、2号源泉の内湯です。微白濁の湯は熱めで、右隅の浴槽内注湯口付近の泡付きのする場所で温まりましたが、いつもより泡の出が激しかったです。

 外に出て、メインの大庭園露天風呂へ。ここで驚愕の光景が広がっていました。浴槽にたたえれていた湯は見事に白濁していました。
 以前にも白濁した光景を目にしたことがありましたが、非常に珍しい光景です。
 この1号源泉は、ときどき源泉が不調になることがありますが、本来の湯は淡緑色透明です。コンディションが良いときは黒い湯花や沈殿物があり、足の裏やお尻が黒くなったりすることもあり、黒濁したこともありました。

 では、どうして白濁してしまったのでしょうか。

 硫黄泉については以前のブログもご覧いただきたいですが、総硫黄(硫化水素イオン+チオ硫酸イオン+遊離硫化水素の中の硫黄分)を2mg/kg以上含むものを硫黄泉といいます。なお、総硫黄は、0.941 x H2S+0.970 x HS-+0.572 x S2O32-で概算されます。
 また、遊離硫化水素<硫化水素イオン+チオ硫酸イオン(モル濃度:mmol/kg)の場合を硫黄型といい、月岡温泉のようにエメラルドグリーンの湯になることがあるのが特徴です。
 一方遊離硫化水素>硫化水素イオン+チオ硫酸イオンの場合を硫化水素型といいます。湧出時は透明ですが、次第に硫黄分が沈殿して白濁しやすいのが特徴です。火山性温泉のように酸性泉の場合はこの変化が起きやすく、典型的な白濁湯を呈します。

 1号源泉は総硫黄が81.5mg/kgあり、県内では月岡温泉に次ぐ硫黄分を誇り、遊離硫化水素も12.8mg/kgと高濃度に含まれますので、状況によっては硫黄分が析出して白濁する可能性はあります。

 今回の大庭園露天風呂の状況を見てみますと、隅にある噴湯口から流れ出る湯は無色透明ですが、浴槽の湯は白濁し、白い細かな粒状物が浮遊していました。
 湯温がいつもより高く、ろ過せず撹拌だけが目的のはずの浴槽内注湯口から噴出される湯の温度も高く、気泡がたくさん発生していました。
 そして湯面をよく見ますと、体毛や垢らしき浮遊物がやたらに多いことに気づきました。もしかしますと、 オーバーフローが少ない可能性があります。
 連休の中日で混みあっていたというのも重要かもしれません。50畳の大浴槽に供給される源泉は、施設発表で80L/分であり、浴槽の大きさと利用者数で考えますと十分とはいえず、湯の鮮度は落ちていたことが考えられます。

 いろいろ考えますと、通常より湯温が高く、気泡の発生も多かったことから、通常より加熱がなされ、撹拌というより循環されていた可能性も疑われます。いずれにせよ、湯の酸化を進ませる機転が働いており、湯のコンディションに問題があったものと推測します。
 白濁湯とありがたがる前に湯の劣化の可能性もあり、ちょっと心配になりました。源泉は生き物ですので、たまたまの条件変化で生じた偶然の産物かもしれません。それなら素晴らしいことですけれど・・。

 などと、いろいろなことを思いめぐらせ、想像を膨らませながらロビーの椅子で、噴き出る汗を拭きながらクールダウンしていました。

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 夕食は刺身定食。美味しくいただきました。

 何だかんだ議論するのは別にしまして、やはりいいお湯ですね。

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