お湯良し、眺め良し 「加茂 美人の湯」
先日の日曜日は青空が広がり、気持ち良い晩秋の休日となりました。好天に誘われて、久しぶりに加茂市の「加茂 美人の湯」に行ってきました。
前回利用したのが2013年でしたので、5年ぶりになります。こんなにもご無沙汰していたとは、自分でも驚きです。
「加茂 美人の湯」は加茂市の市民交流福祉センターで、2002年11月にオープンした公共の日帰り温泉です。
濃厚な泉質が災いして、スケール付着による源泉トラブルが頻発し、沸かし湯営業を余儀なくされたこともありました。最近トラブルの話題が聞こえてきませんので、どんな状況か視察もかねて行ってみることにしました。
加茂市街から加茂川沿いに山に向かって数キロ進みますと視界が開けて、この温泉が見えてきます。車ではちょうど良いドライブコースですが、車がなくても加茂駅から無料シャトルバスが出ていますので、利用しやすいと思います。
ということで、快適に車を進めて、「加茂 美人の湯」に到着しました。
ちょうどシャトルバスも到着したところで、ご婦人方が入館されていました。
玄関を入りますと、右手に下足箱があります。
下足箱に入っているスリッパに履き替えて入館します。天井が高くて豪華な作りは公共の日帰り温泉とは信じがたいほどです。
左手には特産品の販売所があります。
料金は大人800円、小人300円、幼児無料、タオルセット付きです。17時以降は、大人600円、小人200円と割引になります。私は某温泉本の割引クーポンがありましたので、100円引きでした。
真っ赤な制服がうるわしい受付の女性職員に料金を払いますと、ビニール袋に入ったタオルセットと番号が書かれたリストバンドが渡されます。
タオルバックでないのがユニークですね。天井が高くて、明るく開放的な廊下を進んで浴室に向かいます。
男湯は手前側でした。脱衣場には鍵付ロッカーがありますが、リストバンドの番号とは無関係に、空いているロッカーの好きなものを選びます。リストバンドの番号がなくて戸惑う人もいるかもしれませんね。
浴室は混み合っていましたので全体的な写真はありません。
内湯には、円形のジャグジー風呂が2つと大浴槽があります。打たせ湯もあるのですが、チョロチョロと湯が落ちているだけで、打たせ湯としての用は成していません。一部は浅くなっていて、寝湯として利用できます。
ドライサウナがあり、水風呂と表示された場所があるのですが、これは掛け水であり、水に浸かれるわけではありません。
浴室はガラス張りで、明るさがあり、天井も高くて開放感を感じます。内湯からもガラス窓を通して粟ヶ岳を望むことができます。
外には露天風呂がありますが、広くはありません。でも、開放感があり、粟ヶ岳の雄姿を眺めながらの入浴は格別です。
洗い場は仕切り付き10ヶ所と仕切りなしが12ヶ所あり、ボディソープとリンスインシャンプーがあります。
さて、源泉名は加茂・美人の湯。源泉温度22.1℃(気温4℃)、湧出量6.0L/分(自然湧出)、PH6.8。泉質は含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩・炭酸水素塩冷鉱泉(高張性中性冷鉱泉)です。
主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成29年3月9日分析)は、Li 0.7、Na 9409、K 129.3、NH4 12.2、Mg 18.8、Ca 388.0、Sr 10.3、Ba 0.8、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 1.9、F 12.1、Cl 12150、Br 47.8、I 4.5、HS 1.2、S2O3 0.0、SO4 332.3、HPO4 0.0、HCO3 5370、メタ珪酸 10.6、メタ硼酸 41.4、遊離二酸化炭素1134、遊離硫化水素1.7 など、ガス性除く成分総計は27941mg/kgです。
前回(平成21年2月23日分析)に比べますと、源泉温度が42.3℃だったものが22.1℃と下がって、冷鉱泉となりました。また、湧出量は動力揚湯で49L/分だったものが、自然湧出で6.0L/分となっています。
スケールでの源泉トラブルが多発して、希釈しながらの揚湯をしたりと苦労していましたので、ポンプでの汲み上げをやめちゃったのでしょうか。真相はいかに・・・。
成分は多少の変動がありますが、大きな変化はなく、炭酸水素イオンが20ミリバル%の基準を超えたため、炭酸水素塩泉が泉質名に加わっています。
硫化水素イオンが1.2mg/kg、遊離硫化水素が1.7mg/kgありますので、私の概算で総硫黄は2.7mg/kg程度あり、硫黄泉の基準を満たしますので、泉質名に「含硫黄-」を付け加えるべきと思います。
遊離二酸化炭素の多さは新潟県内でも貴重であり、炭酸水素イオンの5370mg/kgは県内最高レベルと思われます。成分表を見ているだけでわくわくしてくるのは私だけでしょうか。
なお、掲示によりますと、①スケールを防止するため、②高濃度の温泉を肌にやさしいマイルドなものにするため、③高濃度の温泉なので機器の保全等のため加水、入浴に適した温度に保つため加温、衛生管理のため循環ろ過装置を使用、衛生管理のため塩素系薬剤を使用とのことでした。
実際の湯は淡黄色透明、微薬臭、薄い塩味と薬味があり、ツルスベ感があって、浴感は良好です。
ただし、源泉温度、湧出量から考えて仕方ないことではありますが、加水・加熱・循環された湯は、成分表で示された強塩泉の面影はありません。それでも浴感が良いということは、もともとの源泉が素晴らしいことを示しているものと思います。手を加えない生の源泉に浸かってみたいですね。
内湯に浸かってまどろみの時間。
角の注湯口のある場所が私のお気に入りです。そして、露天風呂へ。
晴れ渡った空。粟ヶ岳を眺めながら露天風呂に浸かっていますと、雑念が消え去り、束のまではありますが、ストレスが解消されました。
この露天風呂で驚いたことがありました。お湯をよく見ていましたら、無数の細かい泡が満ちていました。まるで寺宝温泉みたいでした。
写真ではわかりにくいですが、私の手足を見ますと、無数の細かな泡が付着していました。スーパー銭湯の人工炭酸泉の大きめの泡とは異なって、非常に細かな泡です。ツルスベ感と相まって、浴感は抜群です。
内湯ではこうはなりませんでしたので、露天風呂は鮮度が良いのでしょうか。 加水・循環されていても、これなら満足感は高く不満はありません。眺めの良さと泉質の良さで幸せなひと時を過ごしました。
これまで何度か利用してきましたが、これほどの泡付は初めてです。露天風呂の湯使いが改良・工夫されているのでしょうか。それともたまたまなのでしょうか。何か得した気分になりました。「加茂 美人の湯」侮れず。見直しました。
湯上りにロビーでクールダウン。
粟ヶ岳が一望されて、気持ちいいですね。
2階の大広間で休憩できますが、すでに多くの人たちでにぎわっていました。
これほど広い広間も珍しいのではないでしょうか。大きな窓からの眺めは気持ちいいですね。
ここで食事ができます。メニューは特に豊富とはいえませんが、標準的でしょうか。
お湯良し、眺め良し。公共の日帰り温泉としては優れていると思います。市街地からちょっと山に入りますが、気分転換するにちょうど良い距離かもしれません。
源泉原理主義者にはお勧めしませんが、一般人にはお勧めできる温泉です。
前回利用したのが2013年でしたので、5年ぶりになります。こんなにもご無沙汰していたとは、自分でも驚きです。
「加茂 美人の湯」は加茂市の市民交流福祉センターで、2002年11月にオープンした公共の日帰り温泉です。
濃厚な泉質が災いして、スケール付着による源泉トラブルが頻発し、沸かし湯営業を余儀なくされたこともありました。最近トラブルの話題が聞こえてきませんので、どんな状況か視察もかねて行ってみることにしました。
加茂市街から加茂川沿いに山に向かって数キロ進みますと視界が開けて、この温泉が見えてきます。車ではちょうど良いドライブコースですが、車がなくても加茂駅から無料シャトルバスが出ていますので、利用しやすいと思います。
ということで、快適に車を進めて、「加茂 美人の湯」に到着しました。
ちょうどシャトルバスも到着したところで、ご婦人方が入館されていました。
玄関を入りますと、右手に下足箱があります。
下足箱に入っているスリッパに履き替えて入館します。天井が高くて豪華な作りは公共の日帰り温泉とは信じがたいほどです。
左手には特産品の販売所があります。
料金は大人800円、小人300円、幼児無料、タオルセット付きです。17時以降は、大人600円、小人200円と割引になります。私は某温泉本の割引クーポンがありましたので、100円引きでした。
真っ赤な制服がうるわしい受付の女性職員に料金を払いますと、ビニール袋に入ったタオルセットと番号が書かれたリストバンドが渡されます。
タオルバックでないのがユニークですね。天井が高くて、明るく開放的な廊下を進んで浴室に向かいます。
男湯は手前側でした。脱衣場には鍵付ロッカーがありますが、リストバンドの番号とは無関係に、空いているロッカーの好きなものを選びます。リストバンドの番号がなくて戸惑う人もいるかもしれませんね。
浴室は混み合っていましたので全体的な写真はありません。
内湯には、円形のジャグジー風呂が2つと大浴槽があります。打たせ湯もあるのですが、チョロチョロと湯が落ちているだけで、打たせ湯としての用は成していません。一部は浅くなっていて、寝湯として利用できます。
ドライサウナがあり、水風呂と表示された場所があるのですが、これは掛け水であり、水に浸かれるわけではありません。
浴室はガラス張りで、明るさがあり、天井も高くて開放感を感じます。内湯からもガラス窓を通して粟ヶ岳を望むことができます。
外には露天風呂がありますが、広くはありません。でも、開放感があり、粟ヶ岳の雄姿を眺めながらの入浴は格別です。
洗い場は仕切り付き10ヶ所と仕切りなしが12ヶ所あり、ボディソープとリンスインシャンプーがあります。
さて、源泉名は加茂・美人の湯。源泉温度22.1℃(気温4℃)、湧出量6.0L/分(自然湧出)、PH6.8。泉質は含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩・炭酸水素塩冷鉱泉(高張性中性冷鉱泉)です。
主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成29年3月9日分析)は、Li 0.7、Na 9409、K 129.3、NH4 12.2、Mg 18.8、Ca 388.0、Sr 10.3、Ba 0.8、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 1.9、F 12.1、Cl 12150、Br 47.8、I 4.5、HS 1.2、S2O3 0.0、SO4 332.3、HPO4 0.0、HCO3 5370、メタ珪酸 10.6、メタ硼酸 41.4、遊離二酸化炭素1134、遊離硫化水素1.7 など、ガス性除く成分総計は27941mg/kgです。
前回(平成21年2月23日分析)に比べますと、源泉温度が42.3℃だったものが22.1℃と下がって、冷鉱泉となりました。また、湧出量は動力揚湯で49L/分だったものが、自然湧出で6.0L/分となっています。
スケールでの源泉トラブルが多発して、希釈しながらの揚湯をしたりと苦労していましたので、ポンプでの汲み上げをやめちゃったのでしょうか。真相はいかに・・・。
成分は多少の変動がありますが、大きな変化はなく、炭酸水素イオンが20ミリバル%の基準を超えたため、炭酸水素塩泉が泉質名に加わっています。
硫化水素イオンが1.2mg/kg、遊離硫化水素が1.7mg/kgありますので、私の概算で総硫黄は2.7mg/kg程度あり、硫黄泉の基準を満たしますので、泉質名に「含硫黄-」を付け加えるべきと思います。
遊離二酸化炭素の多さは新潟県内でも貴重であり、炭酸水素イオンの5370mg/kgは県内最高レベルと思われます。成分表を見ているだけでわくわくしてくるのは私だけでしょうか。
なお、掲示によりますと、①スケールを防止するため、②高濃度の温泉を肌にやさしいマイルドなものにするため、③高濃度の温泉なので機器の保全等のため加水、入浴に適した温度に保つため加温、衛生管理のため循環ろ過装置を使用、衛生管理のため塩素系薬剤を使用とのことでした。
実際の湯は淡黄色透明、微薬臭、薄い塩味と薬味があり、ツルスベ感があって、浴感は良好です。
ただし、源泉温度、湧出量から考えて仕方ないことではありますが、加水・加熱・循環された湯は、成分表で示された強塩泉の面影はありません。それでも浴感が良いということは、もともとの源泉が素晴らしいことを示しているものと思います。手を加えない生の源泉に浸かってみたいですね。
内湯に浸かってまどろみの時間。
角の注湯口のある場所が私のお気に入りです。そして、露天風呂へ。
晴れ渡った空。粟ヶ岳を眺めながら露天風呂に浸かっていますと、雑念が消え去り、束のまではありますが、ストレスが解消されました。
この露天風呂で驚いたことがありました。お湯をよく見ていましたら、無数の細かい泡が満ちていました。まるで寺宝温泉みたいでした。
写真ではわかりにくいですが、私の手足を見ますと、無数の細かな泡が付着していました。スーパー銭湯の人工炭酸泉の大きめの泡とは異なって、非常に細かな泡です。ツルスベ感と相まって、浴感は抜群です。
内湯ではこうはなりませんでしたので、露天風呂は鮮度が良いのでしょうか。 加水・循環されていても、これなら満足感は高く不満はありません。眺めの良さと泉質の良さで幸せなひと時を過ごしました。
これまで何度か利用してきましたが、これほどの泡付は初めてです。露天風呂の湯使いが改良・工夫されているのでしょうか。それともたまたまなのでしょうか。何か得した気分になりました。「加茂 美人の湯」侮れず。見直しました。
湯上りにロビーでクールダウン。
粟ヶ岳が一望されて、気持ちいいですね。
2階の大広間で休憩できますが、すでに多くの人たちでにぎわっていました。
これほど広い広間も珍しいのではないでしょうか。大きな窓からの眺めは気持ちいいですね。
ここで食事ができます。メニューは特に豊富とはいえませんが、標準的でしょうか。
お湯良し、眺め良し。公共の日帰り温泉としては優れていると思います。市街地からちょっと山に入りますが、気分転換するにちょうど良い距離かもしれません。
源泉原理主義者にはお勧めしませんが、一般人にはお勧めできる温泉です。