夏季限定の露天風呂を楽しむ  暑い夏こそ「西方の湯」

 胎内市の海岸部にある「西方の湯」は、通い始めて20年以上になります。この間いろんなことがあり、その変遷を見守ってきました。
 毎年新年の一番湯はここですし、年に何度かは行っているのですが、今年は正月以来行っていませんでした。現在夏季限定の露天風呂をやっていることもあり、久しぶりに行ってきました。With コロナになってからは初めてです。

 在宅ワークを片付け、2時前に「西方の湯」に向かいました。新新バイパス・蓮野ICから国道113号線へ降り、信号の少ない海岸道路を北上し、たいして時間もかからず快適に到着しました。

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 玄関でスリッパに履き替え入館しましたが、いつものように受け付けは無人。

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 呼び鈴を鳴らしても誰も出て来ませんので、勝手知ったる「西方の湯」ですので、料金皿に500円を置いて浴室に向かいました。

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 脱衣場は無人で、静かな空気が流れていました。

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 ロッカーがかなり撤去されており、広々した感じになっていました。3蜜を避けるためでしょうか。

 洗面台にはドライヤーがあります。

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 浴室に入りますと、内湯に1人、露天風呂に3人と、いつになく混み合っていて、女湯からも若い女性の話し声がして賑やかでした。繁盛して何よりです。

 内湯にゆっくり浸かり、露天風呂で日光浴しているうちに他の客が順に帰られて、浴室には私一人となり、以後退館するまで独り占めとなりました。女湯の客も帰ったらしく、浴室には静寂が訪れました。

 改めて紹介するまでもないでしょうが、内湯は高温の大浴槽とぬるめの小浴槽、そして水風呂があります。

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 大浴槽の隅にある注湯口から高温の源泉が注がれています。

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 注がれた源泉は小浴槽へと流れ込み、小浴槽の縁から掛け流しされています。小浴槽にも源泉の注湯口があります。水風呂も掛け流しされています。

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 浴室は、壁一面がガラス窓になっていて、露天風呂や、その先の日本海を見渡すことができます。

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 高温の大浴槽には湯もみ板が置いてあるのですが、湯温はいつもより低めで、私の体感で43℃程度の適温であり、湯もみするまでもありませんでした。

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 茶褐色で混濁した湯は、よう素臭・アンモニア臭が混じった芳香があり、なめれば塩辛いです。
 古いファンならご存知でしょうが、「西方の湯」といえば、今や伝説となった「黒湯」が名物であり、イメージソングまで作られました。
 源泉井戸の破損により現在の源泉に変更されて久しくなり、もはや「黒湯」の復活は困難となりましたが、大人しい現在の源泉も魅力はあります。個人的にはもう少し熱めだと良かったのですけれど。

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 いつもの激熱ではありませんでしたので、ゆっくりと、ゆったりと浸かることができました。

 洗い場は左右に3ヶ所ずつあり、ボディソープとリンスインシャンプーがあります。

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 そして、今日の本題である夏季限定の露天風呂です。この温泉は「塩の湯温泉」と同様に、6月に年1回の源泉のメンテナンスが行われ、その間は休館になります。
 そして、この休館を終えて、梅雨が明けると露天風呂に湯が張られ、露天風呂が始まると本格的な夏になり、毎年恒例の風物詩となっていました。伝え聞くところによりますと、今年は露天風呂の開始時期が例年より遅かったらしいです。

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 浴槽は2つあるのですが、右側が露天風呂として使用されています。

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 左側の浴槽は汚い水が溜まっていて、藻が浮かび、時々ぼこぼこと気泡が水面に出てきて不気味さを醸し出しています。

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 かつてここにも湯が張られていたこともあったのですが、遠い昔の思い出です。

 露天風呂には源泉のバルブから源泉が注がれています。

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 注がれた分だけ排湯口から排出されていますから、一応ここも掛け流しということになりますが、ごみや毛虫などが湯面に浮かんでいて、野趣満点です。ここは野湯という気分で素直に楽しみましょう。

 湯温は高くなく、私の体感で40~41℃程度で、この温泉にしてはぬるめに感じました。その分ゆったりと浸かることができました。

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 親鸞聖人の横顔を拝みながら、入浴できるというのは魅力です。きっとご利益があることでしょう。

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 入浴しながら家内安全と健康を祈願しました。いいことがありますように・・。

 露天風呂からは日本海を望むことができます。

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 日差しが強く、猛暑ではありますが、さわやかな風が気持ちよかったです。そのときによっては、日光で石が熱くなり、火傷しそうになることもあるのですが、今回はそれほどの熱さはありませんでした。

 さて、源泉名は、N12-1井。泉質は、ナトリウム-塩化物強塩温泉(高張性弱アルカリ性高温泉)。源泉温度 78.9℃。湧出量は測定不能(動力揚湯)。PH 7.7(試験室では8.0)です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成30年12月14付)は、Li 2.1、Na 10300、K 118.8、NH4 169.7、Mg 57.3、Ca 200.5、Sr 10.0、Ba 7.3、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 1.1、Cu 0.0、Zn 0.0、F 0.5、Cl 14240、Br 109.5、I 69.4、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 0.0、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 32.1、HPO4 0.7、HCO3 2246、CO3 0.0、メタケイ酸 91.3、メタホウ酸 430.2、遊離CO2 37.7、遊離H2S 0.0、など、ガス性除く成分総計は28087mg/kgです。
 毎回書いていますが、よう素イオンが69.4mg/kgあり、よう素泉の基準(10mg/kg)を満たしますので、正確な泉質名は、含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉となります。

 本来よう素を採取している工業用源泉というのに、泉質名に「含よう素」を付けないのはどうしてなんでしょうね。ちなみに、この源泉で塩を採ったりもしているのですが、商売にはなっていないようですね。

 胎内市の海岸沿いには、JX石油開発の工業用井戸が何キロにも渡って多数あり、よう素採取、天然ガス採取、さらには原油採取も行っています。そのおこぼれを「塩の湯温泉」とともに頂戴しているわけです。数ある源泉の中には「伝説の黒湯」みたいな超個性的な源泉があるものと推測されますが、どうでしょうか。
 またあの「黒湯」に浸かれたらなあと、かなわぬ思いを巡らしながら湯に浸かっていました。

 大浴槽に小浴槽、そして水風呂と、しばし独り占めの入浴を楽しみましたが、独り占めというのは泉質を論じる以上に、大きな喜びを感じます。

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 露天風呂にも出たり入ったり。

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 十分に温泉を楽しみましたが、私がいる間に、次の客はとうとう来られませんでした。

 脱衣場にはエアコンがあるのですが作動しておらず、扇風機で涼みました。

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 この扇風機は年代物で、私が小学生の頃に実家で使っていたものと同じナショナルの扇風機です。この扇風機を見るたびに少年時代を思い出し、感傷に浸っています。でも、長持ちしていますね。

 帰り際に女将さんに挨拶。「久しぶりですね」と言われましたが、確かに正月以来ですので、随分とご無沙汰してしまいました。

 女将さんに見送ってもらって家路につきましたが、車のエアコンが不調で、汗を拭きながら車を走らせました。

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