早速訪問 粟ヶ岳の眺望抜群 「加茂七谷温泉 美人の湯」

 先日のブログで速報として紹介しましたが、加茂市の「加茂 美人の湯」は新しい指定管理者の下で「加茂七谷温泉 美人の湯」として、4月1日にリニューアルオープンしました。
 オープンに関しての宣伝は十分でなく、4月1日オープン予定という情報以外、私も含めて県内の温泉愛好家は具体的情報がなくて困っていました。4月1日発売の「新潟日帰り温泉パラダイス」には載っていましたけれど・・。

 ということで、昨日の土曜日は仕事が休みでしたので、どんな様子なのか確認のために行って参りました。

 気持ちよい青空の下、新潟市西区の自宅から農道経由で白根入りし、国道8号線を南下、コメリ本社前の交差点を加茂方面に進み、後はひたすら直進するだけです。
 加茂市街を抜け、加茂川沿いを粟ヶ岳を目指して直進。国道290号線の栃尾方面に行く交差点を過ぎれば、数百メートルで「美人の湯」に到着です。

DSC_9503.JPG
 オープン後最初の土曜日であり、混み合っているものと予想していたのですが、駐車場は空いていて、数台の車のみでした。やはり、広報活動が十分でないためではないでしょうか。
 もしかしたら、新型コロナ禍であり、あえて混雑を避けようという心遣いかもしれません。いずれにしましても、徐行運転からのスタートです。

DSC_9505.JPG
 玄関には開業を祝う花輪があるわけでもなく殺風景で、営業しているのか心配になるほどでした。

DSC_9583.JPG
 中に入りますと、左手にあった直売所が閉鎖されていて、ガラーンとしていましたが、そのほかは従来のままでした。

 手を消毒し、下足箱に靴を入れ、鍵を持って受付に向かいます。

DSC_9582.JPG
 高い天井の明るい廊下とロビーは、やはり公共日帰り温泉らしからぬ豪華さを感じます。

DSC_9584.JPG
 受付前には開業を祝うきれいな花が飾られていました。

DSC_9580.JPG
 受付で検温を受けて、下足箱の鍵と引き換えに受付となります。
 入館料は従来同様に、タオルセット付で大人800円、小学生300円、17時以降は大人600円、小学生200円です。館内着は無料で、申し出れば貸してもらえるようです。
 個室利用料金は、3時間で12畳2000円、24畳4000円です。貸切風呂は1時間1000円で、障碍者、介助者利用は無料だそうです。
 営業時間は、10時~21時までで、最終受付は20時30分です。休館日は、毎月第2・4水曜日、12月31日です。

 脱衣場ロッカーの鍵と食堂での飲食時に使用するバーコード付きのリストバンドと、従来同様のビニール袋に入ったタオルセットを受け取ります。

DSC_9508.JPG
 スタンプカードがあり、20個で無料入浴券1枚もらえます。

DSC_9510.JPG
 食事・土産購入でも500円毎に1個スタンプがもらえますが、有効期限が半年というのは残念です。

 ロビーの上方には色とりどりの和傘が飾られていて、「北越の小京都 加茂」を演出しているのだそうです。

DSC_9577.JPG
 入浴前に、遅めの昼食とるため、2階の食事処(ななたに食堂)へ。

DSC_9509.JPG
 お座敷席と椅子席があり、自由に選べます。空いていて、私以外に1組の客のみでしたが、その後2組の客が来られました。

 ここからの眺めが最高です。

DSC_0129.JPG
 青空をバックにそびえる粟ヶ岳が雄大です。

 さて、今回いただいたのはチャーシュー麺(税込み990円)。

DSC_9512.JPG
 なかなか美味しくいただきましたが、メニューの写真とはちょっと違うような・・。まあいいか。

 腹ごしらえを終えて、いよいよ温泉を楽しみましょう。1階
奥の浴室へ。

DSC_9519.JPG
 今回の男湯は手前の浴室でした。浴室は従来と変わりはなく、手前の浴室は曲線を基調としてデザインで、奥の浴室は直線を基調としたデザインで、基本構造には大差ないですが、私は何となく手前側が好きです。

 脱衣場は無人でした。ロッカーは従来と同様です。

DSC_9569.JPG
 洗面台にはドライヤー、綿棒のほか、ヘアブラシがありました。

DSC_9568.JPG
 タイミング良く、浴室内は何と無人でした。浴室内は従来と全く同じで変化はありません。

 正面に水風呂と表示された掛け水浴槽。その裏に隠れるように掛け湯浴槽があります。

 右手にはドライサウナと洗い場。

DSC_9551.JPG
 洗い場は仕切り付きと仕切りなしがあり、ボディソープ、リンスインシャンプーがあります。

 左手には円形のジェット浴槽とジャグジー浴槽、その奥にL字型の大浴槽があり、大きなガラス窓で明るく、開放感があります。

DSC_9531.JPG
 円形の2つの浴槽のうち、手前のジェット浴槽は沸かし湯、奥のジャグジー浴槽は源泉でした。

DSC_9535 1.JPG
 大浴槽には淡黄色透明な湯が満ちています。ガラス窓越しに粟ヶ岳が一望できます。浴槽の一部は浅くなっていて、寝湯にも対応できます。

DSC_9536.JPG
 角にある大きな柱に注湯口があり、湯が注がれていますが、もちろん循環湯です。湯温は私の体感で41℃程度でしょうか。

DSC_9548.JPG
 掲示された源泉の成分表とはかけ離れた源泉ですが、それを知らなければ、十分満足できる湯です。

DSC_9545.JPG
 しばし湯に浸かり、温泉を楽しみました。

 そして露天風呂へ。先客が出たタイミングで移動しましたので、ここも無人で独占入浴を堪能しました。

DSC_9553.JPG
 半円形の浴槽があり、ここも淡黄色透明な湯が満ちています。

DSC_9547.JPG
 左右の幅は狭いですが、粟ヶ岳が一望され、開放感を感じます。塀までの距離を長くとっており、湯につかった状態でも粟ヶ岳を眺められるよう工夫されているものと思います。
 丸い和紙で作られたという照明が並べられていますが、夜には明かりをともして幻想的な雰囲気を演出するそうです。

DSC_9561.JPG
 しばし、湯に浸かっていい気分。この気持ち良さの前では、泉質を論じることは無意味に思えました。

 遠くの景色ばかり見ていましたが、ふと手前を見ますと、浴槽の前にたくさんの土筆が群生していました。

DSC_9554.JPG
 ここにも春を感じました。遠くばかり見るのでなく、足元を見るのも大事ですね。

 さて、源泉について紹介しましょう。源泉は従来と全く変わりはありません。

 源泉名は加茂美人の湯。泉質は含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩・炭酸水素塩冷鉱泉(高張性中性冷鉱泉)。源泉温度22.1℃、湧出量6L/分(自然湧出)、PH6.8。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg、平成29年3月9日分析)は、Li 0.7、Na 9409、K 129.3、NH4 12.2、Mg 18.8、Ca 388.0、Sr 10.3、Ba 0.8、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 1.9、Cu 0.0、Zn 0.0、F 12.1、Cl 12150、Br 47.8、I 4.5、NO2 0.0、NO3 0.1、HS 1.2、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 332.3、HPO4 0.0.、HCO3 5370、メタ珪酸 10.6、メタ硼酸 41.4、遊離二酸化炭素1134、遊離H2S 1.7 など、ガス性除く成分総計 27941mg/kgです。
 湯使いについての掲示を見つけられませんでしたが、源泉は加水、加熱、循環・濾過されており、塩素系消毒剤が使用されているはずです。

 実際の湯は、淡黄色透明で、わずかな薬臭があり、塩味・薬味、ツルスベ感があり、浴感は良好です。湧出量がわずか6L/分しかなく、源泉温度も低いため、加水・希釈、加熱、循環ろ過は避けられません。
 成分表上の源泉は、遊離二酸化炭素1134mg/kgと、スーパー銭湯の高濃度人工炭酸泉をも凌駕する新潟県内では貴重な二酸化炭素泉ですが、残念ながら希釈されて加熱・循環ろ過された浴槽の湯は、炭酸泉の面影は失われています。
 また、炭酸水素イオンの量は県内最高レベルであり、泉質名には載っていませんが、硫化水素イオン1.2mg/kg、遊離硫化水素1.7mg/kgと、総硫黄を概算しますと硫黄泉の基準(2mg/kg)を十分に満たしています。

 源泉の成分表をみますと、とんでもなく素晴らしい源泉あり、魅力たっぷりです。この源泉を生で楽しめたら最高ですが、見果てぬ夢ですね。
 
 まあ、細かなことにはこだわらず、ここは素直に浴槽の温泉を楽しみましょう。何も知らなければ十分に満足できます。景色もいいですし、気持ちよければそれでいいですものね。

 湯上がりには、2階の食堂隣の広間で仮眠もできますが、ロビーで休憩しましょう。

DSC_9517.JPG
 窓際には有料マッサージ機のほか、安楽椅子があって気持ちよいです。

DSC_9573.JPG
 ここからの眺めも最高ですね。

DSC_9572.JPG

 さて、これまでのブログで何度も紹介してきましたが、加茂市の公共日帰り温泉施設として建設された「加茂 美人の湯」は、濃厚な泉質が災いして、開業前からスケールによる揚湯管閉塞などによる源泉トラブルを頻回に繰り返しています。
 源泉の維持管理に多大な経費がかかり、源泉が使用できずに、長期の沸かし湯営業も何度か行ってきています。
 現在もその源泉の問題は解決されておらず、昨年源泉管理用の老朽化した温泉櫓も撤去しています。市からの税金投入は見込めず、あとは天に祈るのみでしょうか。

 源泉枯渇のリスクを背負いながらのリニューアルオープンです。経営を引き受けた地元の有志の方々にエールを贈り、応援したいと思います。

この記事へのトラックバック