安さだけなら・・「ふれあいパーク てまりの湯」

 弥彦から寺泊への県道沿いに「道の駅・国上」があります。ここには売店、直売所、休憩スペース、食堂、トイレなどの「道の駅」としての施設のほか、足湯の「酒呑童子の湯」や広い公園もあります。さらに奥には酒呑童子神社があり、小さいながらも五重塔もあります。
 この道の駅の裏の高台に燕市の温泉保養センター「ふれあいパーク てまりの湯」があります。

 ここは、合併前の分水町と吉田町が共同で建設した温泉保養センターです。隣の国上地区農村環境改善センターと棟続きで、そこを休憩所として利用し、一体化して運営されてきました。
 2006年3月20日に分水町、吉田町が燕市と合併した後は、燕市の公共日帰り温泉として親しまれています。
 老朽化により、2008年8月25日から改修工事のため長期休館し、同年12月23日に新装オープンして現在の姿となりました。当然ながら、オープン初日に駆け付けたのは言うまでもありません。

 前の県道は頻回に通り、道の駅や足湯「酒呑童子の湯」はしばしば利用しているのですが、「てまりの湯」は随分とご無沙汰してしまいました。いつも地元のご老人方や常連さんで混雑していますので、避けていたというのが真実です。

 先日、某所からの帰り道に道の駅でトイレ休憩し、足湯の「酒呑童子の湯」を覗いてみたら無人でしたので、久しぶりに足湯を楽しんだのですが、足湯だけで満足はできず、全身を温泉に浸かりたくなりました。いつもならこの先の「さくらの湯」に行くところなのですが、なぜか思い立って「てまりの湯」への坂道を登ってしまいました。
 予想通り駐車場は満車状態で、引き返そうと思ったときに、奥の駐車スペースが空き、利用することになりました。何かの導きだったのかもしれません。
 前回いつ利用したか忘れてしまいましたが、このブログとしては2011年9月の記事がありました。その後も何度か利用はしたはずですが、かなり久しぶりなことだけは確かです。

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 下足箱に靴を入れ、赤外線モニターで検温を受け、券売機で入浴券を購入。

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 入館料は、フェイスタオル付で500円ですが、夕方5時以降は夜間割引で300円になり、大変お得です。バスタオルは50円で別料金ですが、これでも格安です。
 6回分2700円、11回分4900円、夜間割引11回分3000円という回数券もあり、さらにお得に利用できます。
 10個たまると入浴が無料になるポイントカードがあるのですが、平日夜や休日はポイントをもらえなくなったのは残念です。

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 営業時間は10時から21時までで、最終受付は20時30分です。休館日は第2・第4月曜日で、休日の場合は翌日となります。 

 受付に下足箱の鍵と入浴券を提出し、連絡先を記入して受付しますと、フェイスタオル入りのバッグと鍵と引き換え用の番号札が渡されます。

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 ロビーのすぐ横に浴室があります。

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 ロッカーは鍵付きで、空いているものを自由に選びます。洗面台、化粧台にはドライヤーがあります。

 浴室に入りますと、手前に円形の浴槽があり、奥の窓際に長細いジェット付の大浴槽があります。小さめなサウナと掛け湯もあります。

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 洗い場は仕切り付きで11か所。ボディソープ、リンスインシャンプーがあり、ほかにシャワーが1か所あります。

 外には広くはないですが、露天風呂があります。この露天風呂は2008年秋の改修工事で増設されましたが、敷地いっぱいにL字型の浴槽を無理して造っていますので、狭苦しく感じます。
 塀がありますが、国上山を望みながらの入浴は気持ち良いです。混みさえしなければ・・。

 さて、浴室に入りますと、浴槽にはご老人方がずらり。入り込む余地はなく、ジジイの私も圧倒されてしまいました。
 隙間が空くのを待って入浴しましたが、決してゆったりはできませんでした。高齢者を主なターゲットとした燕市の公共日帰り温泉であり、料金を考えれば文句は言えませんけれど。

 さて、平成27年6月9日付の分析表によりますと、源泉名は、長崎温泉。泉質は、単純硫黄冷鉱泉(低帳性弱アルカリ性冷鉱泉)、源泉温度 20.8℃、湧出量 50L/分(動力揚湯)、PH 8.2 です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、LI 0.0、Na 243.9、K 1.4、NH4 2.2、Mg 2.6、Ca 34.2、Sr 0.4、Ba 0.4、Al 0.0、MN 0.0、Fe(II) 0.3、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.6、Cl 390.3、Br 1.4、I 0.6、NO3 0.0、NO3 0.0、HS 1.2、HSO4 0.0、S2O3 4.0、SO4 2.9、HPO4 0.0、HCO3 78.7、CO3 3.0、メタケイ酸 31.1、メタホウ酸 7.4、遊離CO2 0.3、遊離H2S 0.0 など、ガス性除く成分総計は807.6mg/kgです。
 入浴に適した温度に保つために加温、浴槽内の温度を一定に保つため及び浴槽内の不純物を取り除くため濾過循環装置を利用、常に一定量の源泉をかけ流し(オーバーフロー)し、衛生管理のため塩素系薬剤を使用、自動滅菌装置により常時消毒、営業時間終了後に毎日換水、営業時間終了後に浴槽、浴室の清掃を実施、配管清掃、濾過器消毒は休館日に実施、レジオネラ菌、大腸菌等の検査は年2回自主検査との掲示があります。

 前回の平成17年6月28日付けの分析表では、ガス性除く成分総計が1520mg/kgのナトリウム-塩化物冷鉱泉でしたので、硫黄分は増えているもののかなり薄くなっています。源泉が経年変化したのか、別の井戸なのかは定かでありません。

 大浴槽と露天風呂はこの源泉が利用されていますが、円形浴槽は、旧来からの長崎湯の腰源水が使用されています。この源水は、以前は硫黄泉の基準を満たして単純硫黄冷鉱泉でしたが、その後硫黄分が減少して温泉に該当しなくなり、源水という表現を使用しています。

 なお、源泉は地下500mから湧出していますが、50L/分で揚湯し、加温して、浴槽、露天風呂、足湯に供給されています。

 湯は無色透明無味無臭で、硫黄泉の面影は感じられず、温泉の味わいは乏しいと言わざるを得ません。
 湯温は41~42℃程度で、健康的な温度設定になっています。露天風呂は内湯よりぬるめで、ゆったりと入浴するには良いのですが、混雑してゆったりできないのが残念です。

 源泉温度が低いですので、加熱循環は避けられません。かけ流ししていると掲示されてはいますが、各浴槽への給湯量は少なく、このときはオーバーフローはありませんでした。
 利用客数が多いことを鑑みても、湯の鮮度の低下は否めませんが、露天風呂が少しは良いようには思われました。温泉の味わいを求めるなら、むしろ足湯が一番かもしれません。

 奥の広い休憩所には行きませんでしたが、受付横の広間は浴室同様に混みあっていましたので、長居はせずに退館しました。

 すぐ近くには「さくらの湯」がありますが、客層は全く異なり、住み分けができています。
 少し高くても、整った施設で、良質な源泉の掛け流しを楽しみ、ゆったり過ごしたいなら「さくらの湯」、低料金で気軽に入浴したいなら「てまりの湯」となりましょう。

 料金を除けば不満が多いのですが、まあ、値段相応の満足感ということでしょうか。混まなければそれなりに楽しめるのですけれど。何と言っても、タオル付で500円、5時以降は300円というのは最大の魅力です。

 館内はきれいに保たれており、職員も頻回に巡回しています。この辺の管理はしっかりとされていて良いですね。

 

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