「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」を楽しむ

 キャンプ用品で有名なスノーピークは、三条市の下田地区にある本社敷地内に温浴施設をメインとする複合型リゾートを建設していましたが、4月15日にグランドオープンしました。
 正式名は「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」で、カタカナにすると「スノーピーク・フィールド・スイート・スパ・ヘッドクウォーターズ」となります。
 ハイカラすぎて、田舎者の私にはなじめない名前です。「スノーピーク温泉」とでもしてくれたらわかりやすいのですが、スノーピークの高級なブランドイメージに合わないでしょうね。

 施設の概要は以前のブログで詳しく紹介しましたが、2021年に、キャンプフィールドを併設している本社の敷地を約5万坪から約15万坪に拡張し、「衣食住働遊」のすべてが詰まったライフバリューフィールドの実現を目指す「Snow Peak 未来構想プロジェクト」を始動し、そのプロジェクトの第1弾が、温浴施設を中心とした複合型リゾートの「FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」だそうです。

 施設は、温浴施設・レストラン等がある本館のほか、宿泊施設のヴィラ棟が3棟、モバイルハウス(住箱)4棟からなり、設計は隈研吾さんということで、自然と調和したデザイン性にあふれた建物も魅力です。全国的にも注目され、マスコミ報道され、情報番組でも取り上げられたりしていました。

 キャンプ場でアウトドアを楽しむ人たちをメインターゲットとしており、私のように単純に温泉を楽しみたい者にとりましては敷居が高く感じられ、行くのをためらっていました。
 しかし、温泉サイトを運営する者としましては、やはり自分の目と身体で確かめなければなりませんので、先日遅ればせながら行って参りました。

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 三条市中心部から下田市街に進みますと、要所にスノーピークへの案内板が出ていますので、案内板に従って田舎道を進んでいきます。

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 このように黒地の案内板が要所に出ていますので、迷わずたどり着けると思います。

 坂道を上がりますと、急に視界が開けて、広大なスノーピークの敷地が広がり、別世界のように感じます。

 まず、スノーピークの本社があり、その隣にはキャンプ場利用者の受付・売店等の建物があります。

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 さらに進みますと、温浴施設の「フィールド・スイート・スパ」があります。左に広い駐車場がありますので、車をとめましょう。

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 道路を挟んだ向かいには、広大なキャンプ場が広がっています。全国的にも人気のキャンプ場ですので、これからの季節はここに多数のテントが張られることでしょう。

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 本館の右側の奥には、宿泊施設のヴィラ棟が3棟ありますが、その様子を覗き見ることができます。

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 隈研吾さんの設計で、利用料金は、100㎡のスイート(1棟)が、基本定員2名で、1泊2食付き220,000円/室、50㎡のジュニアスイート(2棟)が、基本定員2名で、1泊2食付き121,000円/室となっています。
 木造のトレーラーハウスのモバイルハウス「住箱」も4棟並んでおり、こちらの料金は、基本定員2名で、1泊2食付き42,900円/室、素泊まり22,000円/室です。

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 アウトドアを楽しむなら、テントを張ってのキャンプが本筋なのでしょうが、セレブな人はこういう施設を利用してのグランピングが人気なのでしょうね。
 宿泊客がおられるようで、窓が開いていました。うらやましく思いながら本館へと向かいました。

 噂の、薪がびっしりと並べられた天井は壮観で、見応えがあります。

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 では、入館しましょう。

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 館内は予想外にコンパクトです。中に入りますと、販売スペースがあり、奥に受付があります。

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 このフロアはガラス張りで、眺めが素晴らしいです。

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 右奥にはレストラン(Restaurant 雪峰)があり、ランチタイム・ディナータイムに、地元食材を使ったコース料理をいただくことができます。いつか利用してみたいものです。

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 左手奥にクレジットカード・電子マネー専用の受付機があり、レシートを右側の受付に渡します。現金の人は、受付で直接料金を払います。混雑時は整理券を発行し、入館待ちとなるようです。
(追記:その後現金の場合もこの受付機で料金を払うようになりました。)

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 料金は、一般料金が、大人1,600円、子供1,100円、スノーピーク会員料金が、大人1,400円、子供1,100円、地元割引料金(三条市・燕市・見附市の居住者)が、大人1,400円、子供1,100円で、いずれもレンタルタオルセット付の料金で、館内着は別料金です。
 営業時間は、10:00~21:00(最終受付20:30)で、年中無休です。

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 レシートを見ますと、一般料金1600円の内訳は、温浴料金が1319円、入湯税が150円で、税額131円で、税込み総額が1600円となります。

 ロッカーの鍵とバック入りのタオルセットを受け取り、説明を受けて地下の浴室に向かいます。

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 階段を降りて地階へ降りますが、エレベーターもあります。

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 靴を脱いで左手の下足箱に入れます。

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 下足箱は好きな場所を選び、鍵は自分で保管します。

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 左が女湯、右が男湯になっていて、ロッカーの鍵を入口左のセンサーにかざすとドアが開き、入室できます。

 脱衣場にはロッカーが4ブロックあり、ロッカーに挟まれるように、中央にに洗面台・化粧台が2ブロックあります。
 シンクはステンレス製で、蛇口はセンサー式。使い勝手は別にして、近未来的な初めて見るデザインです。ドライヤーはダイソンで、いかにもというような高級品です。
 男には用事ないような乳液、クレンジングオイル、ローションが置いてありましたが、高級そうです。
 また、ロッカーの各ブロックには、籐製のスツールとダイソンの空気清浄器があり、強力に風を吹かせていました。
 またロッカーに溶け込むように、紙コップ式の給水器があり、紙コップをかざすと水が出てきます。
 これら全てがデザイン性に富んでいて、高級感があり、シックで落ち着きがあります。

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 さて、浴室に入りますと、すぐ左に水風呂があり、天井から伸びた注水管から水が注がれています。水風呂の奥は深くなっていて、1.2mあります。
 正面にはサウナがあり、右側に洗い場と長方形の大浴槽があり、奥へと長く延びています。そして外には、露天風呂とデッキがあります。浴室はガラス張りで、外の景色が一望され、解放感は抜群です。

 洗い場は、4ヵ所ずつ3ブロック、計12ヵ所あり、ボデイソーブ、シャンプー、コンディショナー、洗顔用ソープがあります。
 鏡は正面ではなく左にあり、30度位斜めに取り付けられています。洗いながら外の景色を楽しめるというコンセプトのようで、こだわりを感じます。
 ちなみに、こういう景色を眺められる洗い場は、閉館してしまった上越市三和区の「米本陣」の空中風呂にもありました。

 シャワーは手元にスイッチがあって使いやすいのですが、全体的にデザイン重視で、どう使用するのか初めは戸惑ってしまいました。
 洗い椅子、洗面器は県産の杉製とのことで、高級感があります。特に洗い椅子は重厚感があって、存在感たっぷりです。

 内湯大浴槽は長さが15m位はありそうで、右奥の隅に天井から伸びる長いパイプがあり、ぬるめの湯が流れ落ちています。
 ほかに浴槽底の手前側4か所から加熱源泉が注入されています。外側4か所は吸引用のようです。
 浴槽の手前側は木製の枠になっていますが、窓側は枠がなく、入浴した状態では、湯面と景色が一体化して眺めは抜群です。湯は、外側の縁からオーバーフローされています。

 露天風呂は6畳程度の広さで、内湯と同様に、外側は枠がなく、入浴時の視線では、湯面と景色が一体化します。
 金属製の注湯口からぬるめの湯が供給されているほか、浴槽底の手前2か所から加熱源泉が供給され、外側2か所から吸引されています。
 浴槽縁からオーバーフローがあり、湯に浸かりますと、ザバーっと湯が流れ出るのは気持ち良いですね。

 さて、内湯は無色透明無臭の湯が満ちていていて、自己責任で飲んでみますと、薄い塩味が感じられました。
 天井からの注湯口横の壁は茶色に変色し、浴槽底の注湯口も茶色く変色しています。温泉の素性の良さが実感されました。

 露天風呂の湯は、内湯に比して、やや黄色がかり、軽い薬臭とわずかなツルスベ感を感じました。
 まだオープン間もないというのに、注湯口付近を中心に、浴槽は内湯以上に茶褐色に変色しており、温泉のパワーを感じます。
 湯の鮮度は露天風呂の方が良いように感じました。さらに、眺めの良さは泉質以上の喜びに感じました。

 温泉は、独自源泉が使用されています。源泉名は、雪峰(せっぽう)温泉。泉質は、単純温泉(低張性・弱アルカリ性・低温泉)で、源泉温度は32.4℃です。成分総計は、613.8mg/kgです。

 源泉温度から考えますと、加熱され、循環・ろ過装置を使用し、消毒されているはずですが、塩素臭いこともなく、気持ち良く入浴できました。
 湯温は、私の体感で41℃程度で、肌に優しい泉質で、若干のツルスベ感があって、温まりは良かったです。

 サウナは、定員10~12人に制限され、他施設と同様に、1人用のサウナマットを持って入室して使用します。室内は黒を基調として、落ち着いた雰囲気です。
 中央に、高さが1.5m位の円筒状のサウナヒーターがあり、サウナストーンが積み上がっています。周囲は8角形の黒い木枠で囲まれています。
 たき火を囲む時間を味わうのがコンセプトだそうで、360度型のサウナヒーターを取り囲む様に、階段状に席が設定されており、1面ガラス張りで、外の雄大な景色を眺めながら、サウナを楽しむことができます。
 水が入ったバケツと柄杓があり、サウナストーンに水を掛けて蒸気を発生させて体感温度を高めるセルフ・ロウリュが可能です。
 室温は95℃位でしたが、ロウリュしますと、体感温度がぐっと高まるのが実感されました。

 外にはデッキがあり、スノーピーク製の高級折り畳み椅子が多数並べられていて、クールダウンに便利です。

 脱衣場、浴室とも、決して広くはないのですが、浴室は外側が全面ガラス張りで、内湯・洗い場・露天風呂・サウナのいずれからも開放感溢れる景色を楽しむことができます。
 眺めは抜群で、正面右手に粟ヶ岳の美しい雄姿を望めます。その左の山は、白山でしょうか。
 鳥のさえずりと蛙の鳴き声が聴こえ、ゆったりとした時間を過ごすことができ、心身ともに癒されました。

 湯上がりには、待ち合わせ用休憩所がありますが、板張りのベンチで、素っ気なく感じます。縁側というコンセプトのようです。

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 奥には、湯上がり処・食事処(Snow Peak Eat)があり、飲食が可能です。

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 今回は利用しませんでしたが、地元の食材を使用した単品メニューがいろいろあるほか、地元の郷土料理の定食(郷土のおばんざい定食)もいただくことができます。テイクアウトも可能です。
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 外にも白いテーブルと椅子席があり、椅子に座って外の景色を眺め、リラックスできます。

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 ただし、休憩場所としてはこの程度で、ごろ寝できるような場所はなく、ソファや安楽椅子があるような休憩所もありません。清涼飲料の自販機もありません。したがって、1日ゆったり過ごすというわけにはいかないようです。

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 帰りには、ロッカーキーは浴室入り口にあるボックスに投入し、タオルセットは浴室前のボックスに入れて退館するシステムで、受付を経由することなく帰れます。

 帰り際、駐車場の横にこんなものを見つけました。

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 温泉関係のタンクでしょうか。

 クネクネ道を戻って家路につきましたが、帰り道の看板はよくわからず、途中どっちへ行くか迷ってしまいました。でも、無事に帰れました。

 料金は高めですが、映画1本分と考えれば安いものです。料金分の満足感は十分に得られるものと思います。

 さて、残念ながら大きな問題点がありました。義務付けられているはずの温泉についての掲示が全くないのです。
 分析表、効能効果・禁忌症、湯の使い方などは、見やすい場所に掲示しなければならないのですが、どこにも見当たらず、温泉の「お」の字もありません。デサイン優先の施設ですので、無粋な掲示など無用と考えたのでしょうか。
 帰り際に受付に寄って、温泉の分析表はないのかと尋ねてみましたが、ないとのことでした。
 掲示義務があるので掲示するようにと申し入れさせていただきましたが、どうなりますか。
 ちなみに掲示がない場合、温泉法第14条に規定された掲示義務違反で、30万円以下の罰金に処せられます。
 私が指摘したホームページの温泉についての記載の間違いはすぐに訂正してくれましたので、温泉についての掲示もすぐに対処してくれるものと期待したいと思います。
(追記:私が申入れをさせていただいた後、すぐに分析表を掲示したそうです。迅速な対応ありがとうございました。)

 隈研吾さん設計による施設はデサイン性に優れて、高級感に溢れ、一般の日帰り温泉とは一線を画します。
 1,600円という料金に見合ったセレブな雰囲気と眺めの良さ、備品類の上質さなどは素晴らしいと思います。
 温泉としても泉質は良いように感じましたので、施設や景観だけでなく、温泉そのものでもセールスポイントになるように思います。

 ただし冷静に考えますと、休憩場所は乏しいですし、食事処の料金もそれなりのようです。
 まあ、高級ブランドのスノーピークの施設ですので、そのブランドイメージは維持しているものと思います。

 たまにセレブな気分で楽しむには良い施設であり、入浴に限れば素晴らしい施設だと思います。
 混雑時は入館制限されるようで、混雑状況は、ホームページで確認できます。したがって、芋洗いにはならず、ゆったりと過ごせそうです。

 近くには「いい湯らてい」がありますが、客層の住み分けはされるものと思います。
 全国的にも有名な広大なキャンプ場があり、高級な宿泊施設やレストランもあります。全国からの集客も期待でき、独自路線で発展していくものと思います。
 可能なら、ヴィラ棟に宿泊し、温泉をたっぷりと楽しみ、レストランでフルコースのディナーをいただきたいのですが、懐以上に心が貧しい私には、叶わね夢でしょうね。



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