「明石の湯」3月末閉館!

 十日町市の「越後妻有交流館キナーレ」内にある日帰り温泉施設「明石の湯」が、来年3月末で閉館する方針になり、それについての記事が22日付の新潟日報に出ていました。

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 「明石の湯」がある「越後妻有交流館キナーレ」は、観光・交流の拠点として、2003年に十日町市が建設した施設です。
 建物は一辺42mの池を取り囲むような回廊からなり、直線を基調としたデザインが斬新です。
 ここは3年ごとに開催されている「大地の芸術祭 」のメインステージになっており、建物そのものが芸術作品ともいえます。

 私は開館当初は何度か行きましたが、その後あまり行くことはなく、久しぶりに行ったのが2018年3月で、その後利用していませんでした。
 「明石の湯」がある温泉棟は、正面入り口から入ると左奥にあります。入り口から温泉棟に向かう回廊はモダンすぎて、温泉施設らしさが感じられませんでした。コンクリート打ちっ放しの建物には、冷たさも感じてしまいました。

 「明石の湯」の閉館の要因として、入館者数の減少による経営不振による常態化した赤字があげられます。この赤字の穴埋めに、市は毎年約3900万円を支出しているそうです。
 これにコロナ禍による入館者数のさらなる減少が重なり、当初年間11~13万人あった利用者が、コロナ禍の20年以降は年間7万人台に低迷しているそうです。
 また、源泉温度が低いため、源泉の加熱が必要であり、加熱に必要な燃料費の高騰が、経営難に追い打ちを掛けました。

 閉館後は、1億5千万円をかけて改修され、現在の間取りを生かして美術作品の展示スペースとして造り変えられ、併設されている越後妻有里山現代美術館MonET(モネ)と一体化させる計画です。23年末までに完成させ、24年の第9回大地の芸術祭に合わせてオープンさせるそうです。

 「明石の湯」の源泉(十日町温泉明石の湯)は、平成24年10月5日付の分析では、メタケイ酸の項による規定泉で、療養泉に該当しないため、泉質名は付きません。源泉温度が23.6℃と低いため、加熱のための燃料費がかかるのは避けられません。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Na 15.3、K 5.9、NH4 2.5、Mg 4.1、Ca 12.9、Mn 0.1、Fe(II) 0.2、F 0.1、Cl 1.8、Br 0.2、I 0.2、SO4 2.3、HCO3 98.2、HPO4 1.6、メタケイ酸 80.5、メタホウ酸 0.1、遊離CO2 2.6 など、ガス性除く成分総計は226.0mg/kgです。
 濃度的には希薄であり、周辺にある温泉と比較して、温泉としての特徴も少ないため、入浴剤による替わり湯で楽しませてくれていました。

 「明石の湯」の閉館は誠に残念ではありますが、赤字の補填に税金が使われるのも問題です。
 十日町市は日帰り温泉施設を6つ所有していますが、人口減が進む中で、これらの施設を共倒れしないように、どのように運営していくのかが課題になります。

 「明石の湯」は閉館することになりましたが、今後他の施設の見直しへとつながる可能性もあり、注視していきたいと思います。