厳寒露天風呂 独り占めの「ヴィネスパ」

 新潟市西蒲区、角田山の麓に、ブドウ畑に囲まれてカーブドッチワイナリーがあります。宿泊施設やレストランなど、たくさんの施設が点在していますが、その内にある温泉施設が「ヴィネスパ」です。
 2009年4月22日のオープン以来のファンであり、その変遷は過去のブログで散々書いてきましたので検索してご覧ください。
 6時から500円の朝湯に毎週通い、常連を自認していましたが、2013年7月末でこの朝湯がなくなり、今となっては古き良き時代の懐かしい思い出です。

 平日はタオルなしで1000円ですが、土日祝日は休日料金として1500円となり、行く回数はすっかりと減ってしまいました。
 高額になったのは残念ではありますが、ブックカフェとして1日楽しめますから、値段分の満足感は得られるものと思います。
 でも懐と心が寂しい私は、なかなか1500円を出す勇気はなく、平日の昼間は行けませんので、平日夜間割引(17時から800円)を利用するしかありません。
 かと言って、平日の夜に出かけることも難しく、昨年11月に利用して以来ご無沙汰していました。
 今回は出張帰りに前の国道402号を通りましたので、せっかくですので立ち寄ることにしました。

 今シーズン最強の寒波が直撃していた日に、某所での仕事がありました。行きは良かったのですが、次第に予報通りに大荒れになりましたので、早めに仕事を終えて、新潟市へと急ぎました。
 高速道路や幹線国道は予防的に通行止めをするとの情報があり、単身赴任時代に通い慣れた海岸沿いを走る国道を北上して新潟市内へと向かいました。
 猛吹雪の中、交通量はほとんどなく、ホワイトアウトで視界不良のため、ノロノロ運転で進みました。私の前にも後ろにも他の車はなく、神経をすり減らしながら車を進めました。
 途中吹雪がさらに強くなり、身の危険を感じて駐車帯に車をとめて、視界が改善するのを待ちました。荒れ狂う日本海の波しぶきが容赦なく押し寄せてきて、冬の厳しさを実感しました。

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 その後も安全運転で車を進めましたが、赤信号で停止しようとしたときに、アイスバーンで車のABSが作動し、停止線で止まれず冷や冷やしたりもありました。
 交通量は皆無であり、私以外の車はなく、のろのろ運転ながらも予想よりも早く新潟市入りできました。

 シーサイドラインを通り抜けて「ヴィネスパ」前に来たとき、どうしようかと一瞬悩みましたが、ハンドルを右に切り、「ヴィネスパ」へのアクセス道路を進みました。
 駐車場奥は工事中で仕切られていましたが、何の工事をしているのか、猛吹雪の中で確認する余裕はありませんでした。

 車を出ますと猛烈な風にあおられ、足元に注意しながら吹雪に煙る玄関へと向かいました。

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 玄関を入って、館内の明るさと暖かな空気にほっとしました。

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 券売機で入浴券を購入。

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 昨年10月から料金が改定され、入館料は平日1000円、土日祝日1500円、平日17時以降の夜間割引は800円です。タオルセットは350円、館内着も350円です。
 下足箱は空いている場所を自由に選びます。

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 猛吹雪の夜ですので、さすがに館内は空いていて、他の客の姿を見かけませんでした。

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 館内のいたるところに書棚があり、書店か図書館かという趣で、まさにブックラウンジです。

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 奥の入浴受付に入浴券と下足箱の鍵を提出し、引き換えに脱衣場ロッカーの鍵を受け取ります。

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 脱衣場に入りますと、無人で、静かな空気が流れていました。

 浴室に入りますと、先客が1人おられましたが、すぐに出て行かれ、以後私だけの貸し切り状態となりました。
 まず浴室入口にある掛け湯浴槽で掛け湯をしますが、この浴槽は常にオーバーフローしており、掛け流しになっています。

 内湯大浴槽は、無色透明無臭の湯が満ちており、窓際中央の注湯口から源泉が注がれ、浴槽の窓際の縁からオーバーフローされ、掛け流しされています。
 湯温は40.8℃を表示。一般的には適温と思いますが、熱い湯が好きな私にはぬるめに感じました。

 この源泉は「ひすいの湯」と命名されている角田山2号源泉で、
泉質はアルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)、源泉温度48.0℃、湧出量記載なし、PH 9.0です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Na 258.1、K 2.0、Ca 2.3、F 1.3、Cl 147.1、Br 0.3、I 0.2、NO2 0.2、SO4 187.6、HPO4 0.1、HCO3 152.6、CO3 27.0、メタケイ酸 61.0、メタホウ酸 3.7、遊離CO2 0.1 など、ガス性除く成分総計は844mg/kgです。(平成29年9月5日付)
 トロトロ・ツルスベの湯は、アルカリ性単純温泉の魅力が十分に感じられ、肌に優しい万人に勧められる源泉です。
 この魅力的な源泉を、掛け流しで独り占めで楽しめるのですから、これ以上の喜びはありません。
 浴槽縁の木の棒を枕代わりに湯に浸かり、ボーっとしました。季節が良ければ窓から外が見えるのですが、窓ガラスは凍り付いていました。

 洗い場は仕切り付きで8か所あり、ボディソープ、シャンプー、コンディショナーがあります。洗い椅子、洗い桶がちょっと洒落た感じで、「ヴィネスパ」らしさを感じさせます。

 温まったところで露天風呂へ。外へのガラス戸が凍り付いていて、一瞬躊躇しましたが、思い切って戸を開けますと猛吹雪。一面真っ白で、雪面に足跡はありません。浴槽を見回しても誰もいません。
 吹雪の中、雪の上に私が足跡を付けて、左手の小露天風呂へと急ぎました。湯に浸かって温まろうと思いましたが、雪に埋もれた湯温計は38.5℃を表示。掛け流しの湯ではありましたが、温まり切れませんでした。

 この源泉は「るりの湯」と命名されている角田山温泉1号源泉で、泉質はアルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)、源泉温度42.7℃、湧出量記載なし、PH 9.0です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Na 192.2、K 3.0、Mg 0.2、Ca 2.5、F 0.9、Cl 55.1、Br 0.2、I 0.2、NO2 0.5、SO4 123.9、HCO3 245.9、CO3 27.0、メタケイ酸 46.3、メタホウ酸 2.1、遊離CO2 0.3 など、ガス性除く成分総計は700mg/kgです。(平成29年9月5日付)

 無色透明無味無臭の湯は「ひすいの湯」と同様の泉質ですが、トロトロ・ツルスベ感は軽く、さらりとした印象の湯です。掛け流しの湯を独り占めできて良かったのですが、氷点下の猛吹雪状態ですので、湯温は下がって、入浴を楽しむには厳しい状態でした。

 続いて雪面に新たな足跡を付けて大露天風呂に向かいました。ここは内湯と同じ2号源泉の「ひすいの湯」が使用されていますが、こちらは循環式です。
 こちらの湯温も37℃台とぬるく、寒風に吹かれて、ゆったりと入浴を楽しめる状況にはなく、特に屋根なしの部分は厳しい状況でした。

 サウナに明かりが灯っていましたので、雪面に足跡を付けて向かいました。サウナマットが積んでありますが、私の前に使用された形跡はありませんでした。
 無人で貸し切りのサウナ。90℃超えの室内は気持ち良かったです。砂時計で5分を計り、10分ほど汗を流しました。
 コロナ禍でサウナ利用は控えていたのですが、貸し切りのサウナですので、気兼ねなく楽しみました。

 サウナ後は、さすがに水風呂(水温13.8℃を表示)に入る状況ではなく、氷点下の室外に出ただけで、ととのうことができました。

 猛吹雪で私が付けた足跡は消されており、新たな足跡を付けて内湯へと戻りました。
 再び内湯に浸かり、注湯口前は湯温が高めでしたので、その場所で冷えた体を温めました。

 結局私がいる間に次の客は来られず、完全な貸し切り状態で温泉を思う存分に楽しみました。

 浴室を出ますと、浴室への入り口のガラス戸に重要な掲示があったことに気付きました。
 「露天風呂は利用禁止 強風で物が飛んでくる等 大変危険な状態です」
 私が浴室に入るときにはこんな掲示はなかったはず。私が入った後に掲示したのでしょうか。
 ともかく後の祭り。厳寒の中に、ぬるい露天風呂を楽しんでしまいました。サウナも楽しめましたし、良かったというべきでしょう。

 氷点下の中の猛吹雪。内湯との気温差、浴槽との温度差を考えますと、決して健康的ではなく、ヒートショックのリスクの見本ともいえる悪い状況です。善良なる市民の皆さんは、私の真似などされませんように。でも、サウナ後の寒風は気持ち良かったです。

 私が浴室を退室するとき、次の客が1人来られました。こんな夜に来るなんて、物好きな人がいるんだなあと感心しましたが、私もその仲間でしたね。

 凍り付いた中庭を見ながらクールダウン。

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 2階に上がってひと休み。

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 本まみれの世界は非日常的で良いですね。

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 個人では買えないような高額な本が多数あり、じっくり読んでいますと時間がたつのも忘れてしまいます。

 ソファに座ってひと休み。

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 高額な入館料分は十分に楽しみめると思うのですが、猛吹雪の夜ですので、早めに退館しました。

 視界不良の国道402号線を慎重に進み、家へと向かいました。事故なく無事に到着できて何よりでした。寄り道もできましたし・・。