粟ヶ岳を眺めて気分爽快!「加茂七谷温泉 美人の湯」

 加茂市の日帰り温泉「加茂七谷温泉 美人の湯」は、5月8日より料金が改定されることになり、先日のブログで紹介させていただきました。
 この「加茂七谷温泉 美人の湯」に、先日好天に誘われて、久しぶりに行ってきましたので、紹介させていただきます。

 ここは加茂市の公共の日帰り温泉「市民福祉交流センター 加茂 美人の湯」として、2002年11月にオープンしましたが、濃厚な源泉が災いして、スケールによる湯量減少など、度々の源泉トラブルを繰り返し、その経緯はこのブログで何度も紹介してきました。
 源泉の維持管理にお金がかかり、集客減もあって、2004年以降赤字経営が続いて存続の危機に瀕しましたが、新しい指定管理者の下で、2021年4月1日に「加茂七谷温泉 美人の湯」として再オープンして現在に至ります。
 その変遷を見守ってきましたが、「加茂 美人の湯」の歴史は、源泉トラブルの歴史そのものと言っても良いでしょう。
 源泉の維持管理に必要なやぐらが、老朽化して倒壊する危険があるため、2020年に撤去されました。これにより源泉井戸の管理が難しくなり、温泉成分が詰まって源泉が出なくなる可能性も危惧されていました。
 こんな状況下で、今年の初めに源泉汲み上げポンプの故障により、源泉量が大変少なくなり、温泉成分を追加しての営業となり、どうなってしまうのかと心配していました。
 そこで、現在の温泉の状況を確認するためもあって、久しぶりに出かけることにしました。前回行ったのが昨年の5月でしたので、1年近くもご無沙汰してしまいました。

 加茂市街から加茂川に沿って奥へと進みます。途中正面に粟ヶ岳の雄姿を正面に望むことができます。

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 国道290号線から分かれて直進し、しばらく進みますと、右手に「美人の湯」の建物が見えます。

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 以前は温泉櫓がありましたが、撤去されて久しくなります。

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 駐車場に車をとめて、玄関に向かいます。

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 中に入りますと、20年目の歴史を感じますが、公共の日帰り温泉らしからぬ立派な館内に圧倒されます。太い円柱が立ち並ぶ様子は、ギリシャの神殿をも彷彿させ、豪華さを感じます。

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 右手に下足箱がありますので、靴を入れ、鍵とともに受付に行きます。

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 入館料は、タオルセット付で、大人800円、子供300円ですが、夕方17時以降は夜間割引で、大人600円、子供200円になります。館内着は17時まで無料で、17時以降は100円です。
 値上げラッシュの昨今にあって、この値段は良心的であり、お得に感じます。何とかこの料金を維持してほしいと思っていたのですが、先日のブログで紹介しましたように、残念ながら値上げされることになりました。
 5月8日からは、通常の入館料そのものには変更がありませんが、タオルセット、館内着が別料金となり、各150円となります。また、17時以降の夜間割引は、平日のみになります。

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 ビニール袋に入れられたタオルセットとロッカーキーを受け取り、奥にある浴室に向かいます。

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 2つの浴室が男女で交互で使用されますが、今回の男湯は手前側の浴室でした。

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 2つの浴室の基本構造・設備は同様ですが、浴槽のデザインが異なり、奥の浴室は直線基調で、手前の浴室が曲線基調となっていて、雰囲気が若干異なります。
 また、両方の浴室とも、正面に粟ヶ岳を展望することができるのですが、奥の浴室は庭木が邪魔になって見えにくいという違いがあります。今回の男湯は手前の浴室でしたので、眺めが良くてラッキーでした。

 脱衣して浴室に入りますと、すぐ右にドライサウナ、正面に2か所かぶり湯があり、左にジャグジーの小浴槽が2つ、その奥にL字型の大浴槽があります。
 壁は一面のガラス張りとなっており、ガラス越しに露天風呂と、その先の雄大な粟ヶ岳が見えます。

 浴室の右は洗い場で、仕切り付きが10か所、仕切りなしが12か所あり、ボディソープ、シャンプー、リンスがあります。ほかにシャワーが、2か所あり、その内の1つは全身シャワーです。
 2つの浴室を仕切る壁の上に、ネコが7匹いるのですが、気付かれた方はおられますでしょうか。今度利用されたら、是非探してみてください。

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 さて、L字型の大浴槽には無色透明の湯が満ちていて、浴槽の中央にある丸い柱に注湯口があり、湯が注がれています。浴槽の右端は浅くなっており、寝湯として使用できます。丸いジャグジーの小浴槽が2つありますが、1つは水風呂となっています。

 浴槽の湯は、加水されており、分析表の数字とは遠くかけ離れて薄味ですが、トロトロ・ツルスベ感はあり、温泉らしさは維持されています。湯温はぬるめで、私の体感で40~41℃程度でしたので、温まりはイマイチでした。

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 外には半円形の露天風呂があります。内湯より多少湯温は高めでしたが、やはりぬるめでしたので、加熱源泉注入口付近に浸かって温まりました。
 浴槽から塀までの距離を長く取っており、正面にそびえる粟ヶ岳の勇姿を見やすくなるよう配慮されていますが、湯に浸かった状態では、塀がじゃまになり、頂上部分しか見えません。でも、解放感があり、気分は爽快です。
 
 脱衣場にある平成29年3月9日付けの分析表によりますと、源泉名は、加茂美人の湯(源泉100%)。泉質は、含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩・炭酸水素塩冷鉱泉(高張性中性冷鉱泉)。源泉温度22.1℃、湧出量6.0L/分(自然湧出)、pH6.8。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.7、Na 9409、K 129.3、NH4 12.2、Mg 18.8、Ca 388.0、Sr 10.3、Ba 0.8、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 1.9、Cu 0.0、Zn 0.0、F 12.1、Cl 12150、Br 47.8、I 4.5、NO2 0.0、NO3 0.1、HS 1.2、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 332.3、HPO4 0.0.、HCO3 5370、メタ珪酸 10.6、メタ硼酸 41.4、遊離CO2 1134、遊離H2S 1.7 など、ガス性除く成分総計 27941mg/kgです。
 スケールを防止するため、高濃度の温泉を肌にやさしいマイルドなものにするため、高濃度の温泉なので機器の保全等のため、必要な加水を実施。入浴に適した温度に保つため加温を実施。衛生管理のため循環ろ過装置を使用。衛生管理のため塩素系薬剤を使用。とのことです。

 分析表から硫黄分を概算しますと、硫黄泉の基準の2mg/kgを超えますので、正確には泉質名に「含硫黄」を付けるべきです。
 また、炭酸水素イオンは5370mg/kgと多く、これは県内でもトップクラスの含有量だと思います。
 さらに、遊離CO2は1134mg/kgもあり、これはスーパー銭湯の高濃度人工炭酸泉の濃度を凌駕するものです。
 残念ながら、この新潟県内最強ともいえる成分豊富で濃厚な源泉を、そのまま味わえないのは誠に残念です。

 今回の浴槽の湯は、これまで以上に加水されているようで、自己責任でなめてみますと、味は薄く、ガス性除く成分総計27941mg/kgという源泉の面影は全くありません。以前は淡黄色だった湯が無色透明になっていました。
それでもトロトロ感はあり、温泉らしさは感じられました。

 今回はタイミング良く、各浴槽とも景色を眺めながら独り占めで楽しむことができました。
 加水された湯は残念ですが、この眺めの良さを前にしますと、そんなことは些細なことでしかないように思えてしまいます。

 湯上がりの休憩場所は色々あります。

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 椅子が並んだ休憩室もあります。

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 窓際には洒落た明かりがともっていて、和の風情を醸し出しています。

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 私は窓際の椅子に座って、夕日に照らされた粟ヶ岳を眺めながら、しばしの間休憩しました。

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 その後は、2階に上がって、広間でも休憩しました。

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 カラフルな和傘が、照明に照らされて美しいですね。

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 その向こうには粟ヶ岳。いい景色ですねえ・・。

 外が暗くなり、景色が見えなくなったところで退館し、家路につきました。

 前記しましたように、源泉井戸の管理用の櫓は撤去されており、退路を断って背水の陣で源泉枯渇の危機と闘っています。
 新源泉掘削の予定はなく、いつまで源泉を利用できるのか見通せない状況ですが、何倍にも希釈されているとはいえ、温泉を楽しめるのはありがたいことだと思います。
 泉質についての不満はありますが、分析表を見なければ、これはこれで十分に楽しめる温泉です。

 設備が整った施設ながら、公共の日帰り温泉として低料金で利用でき、眺めの良さも特筆できます。今回は利用しませんでしたが、2階の食堂のメニューも豊富です。
 残念ながら5月8日から料金が改定されますが、それでもなお勧めの温泉だと思います。