嗚呼! 「じょんのび館」が・・・

 新潟市西蒲区の日帰り温泉「じょんのび館」に関して、4月28日に気になるニュースが報道されました。

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 これは朝日新聞新潟版(2023.4.28)の記事ですが、NHKのニュースでも大きく報道されましたので、ご覧になった方も多いものと思います。

 その内容は、浴室内の掲示では、浴槽の温泉水の張り替えが毎日となっていますが、実際は2週間に1回だったというものです。
 開館当初から、湯の張り替えは1日おきで、最初から看板に偽りがありましたが、それが2019年11月に、指定管理者の福井開発が関越サービスの傘下になった後から、原則2週間おきに変更されたそうです。
 2週間に1回の張り替えそのものには違反はありませんが、変更後も毎日張り替えているという掲示はそのままに営業を続けていたことは大きな問題です。

 新潟市の条例では、浴槽水は2週間に1回以上完全に取り替えて、浴槽は2週間に1回以上清掃し、消毒することが義務づけられていますが、これは衛生管理をする上での最低限の基準です。
 人件費などのコスト削減を追求してのことでしたが、従来からの衛生管理を大幅に緩めたということになります。

 これが直接の原因とは言えませんが、今年3月の定期検査で、打たせ湯で基準の140倍、ジャグジーで基準値の4倍、全身浴槽と露天風呂で基準値を少し超えるレジオネラ属菌が検出され、3月27日から臨時休館となり、4月9日から営業再開しました。
 また、昨年の3月にもレジオネラ属菌の検出があり臨時休館しています。指定管理者が代わってから2年連続してレジオネラ騒ぎを起こしたということは問題であり、衛生管理の徹底が求められます。

 今年の3月のレジオネラ属菌検出のときに、すでに浴槽水の張り替えは2週間おきと報道されていましたが、そのときの報道では館内掲示の問題については触れられませんでした。どうして今頃になってこのような報道がなされたのかも不思議です。

 市の条例の基準を満たしていますから、2週間に1回の張り替えそのものには問題がありませんが、館内表示に問題がありました。
 今回のレジオネラ属菌検出に伴う臨時休館中に、パート職員からの指摘で看板を撤去したそうです。それまで経営者側は問題視していなかったということも大きな問題です。

 本来であれば、看板を撤去するのではなく、看板の表示通りに毎日湯の張り替えを行うというのが筋だと思います。でも、湯量の少なさと、コスト増を考えますと実際は困難だということなのでしょう。
 施設側としては2週間に1回の張り替えと清掃であることをしっかりと表示し、利用者もその現実を良く理解して利用する必要があります。
 衛生管理の基本は、湯を抜いて、浴槽をブラシでゴシゴシとしっかりと清掃することです。
 毎日多数の人が利用する人気施設の浴槽が、2週間に1回しか清掃されていないという現実は、決して気持ち良いものではありません。
 私は、湯の性状を評価するために、自己責任で湯を舐めたりしていますが、注意せねばなりませんね。

 今回の報道で1番驚いたのは、1993年の開業当初から1日おきの張り替えで、毎日張り替えているという表示が初めから偽りだったということです。
 私は「温泉は毎日張り替えております」という掲示を信じて、長い間安心して利用してきました。開業時からのファンとしましては裏切られた思いを強く感じました。

 毎日浴槽を掃除して、湯の張り替えを毎日行っていることを売りにしている施設も多いですが、看板に偽りありという施設がないこと信じたいと思います。

 なお、公衆浴場の衛生管理については、公衆浴場法で、都道府県で条例で定めると規定されており、新潟県では、「循環ろ過装置を使用していない浴槽水は、1日に1回以上完全に取り替えること。循環ろ過装置を使用している浴槽水は、おおむね2週間に1回以上完全に取り替えるとともに、塩素による消毒その他の方法により消毒すること。」そして、「循環ろ過装置を使用していない浴槽は、1日に1回以上清掃し、及び消毒すること。循環ろ過装置を使用している浴槽は、おおむね2週間に1回以上清掃し、及び消毒すること。」と規定されています。政令市である新潟市も新潟県の基準で運用されているものと思います。(→ 私のHPに詳記していますのでご覧ください。)
 県によっては、1週間に1回という所もあり、2週間に1回が妥当かどうかも気になるところです。
 最近話題になった福岡県の某温泉では、年に2回しか張り替えていなかったとのことでしたが、これは例外中の例外であることを信じたいです。