ぬるめの強塩泉を楽しむ 安田温泉「やすらぎ」

 暑い日が続いたかと思うと涼しくなったりと、落ち着かない日が続いていますが、季節は早足で夏へと向かっています。
 寒い時期には「塩の湯温泉」のような熱い強塩泉が恋しくなりますが、気温が上がってきますと、ぬるめの強塩泉も気持ち良く感じます。
 新潟市周辺で、ぬるい強塩泉といいますと、かつては新発田市の「天神の湯(ヘルス天神)」がありましたが、閉館して久しくなり、現在では阿賀野市の安田温泉「やすらぎ」ということになりましょうか。

 「やすらぎ」は、2003年6月に瓦工場の敷地内で掘削に成功した温泉を利用して、2004年8月13日にオープンしました。
 かつて弥彦村にあった観音寺温泉の「やひこ乃ゆ」の経営者が運営し、当初の備品類は「やひこ乃ゆ」の物をそのまま使っていました。「やひこ乃ゆ」の名物おばあちゃんも「やすらぎ」に越してきて、売店におられたのを懐かしく思い出します。
 その後順次改修が行われ、2010年暮れに2階に岩盤浴、貸切風呂、展望風呂、さらにステージ付の大広間が整備され、2011年1月より「かわら座」として大衆演劇の公演が開始されて現在に至ります。
 温泉も、オープン当初は5倍に加水・希釈されていましたが、その後希釈せずに源泉のまま使用されるようになりました。
 これまでの変遷については過去記事にいろいろありますので、ご覧いただければ幸いです。
 水車の回転方向で悩んだり、その水車が撤去されたり、ロッカーが一新されたり、サウナの熱帯魚がなくなったり、最近では「ゆたからサーモン」を始めたりなど、いろんなことがありました。それぞれが良い思い出です。
 私の職場から近く、頻回に利用しているのですが、最近はご無沙汰していましたので、先日行ってきました。
 前回行ったのは、寒さ厳しい頃で大雪の合間でしたが、今や春が過ぎ、初夏になろうとしています。季節の移ろいの早さに驚きます。

 ということで、仕事を終えて「やすらぎ」に到着しました。阿賀野市の保田地区、いかにも農村の集落というような環境の中にあります。

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 前回は真っ暗だった時間帯ですが、随分と日は長くなり、まだ明るさが残っていました。

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 玄関を入り、下足箱に靴を入れて入館します。

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 いつもの招き猫が迎えてくれます。

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 券売機で入浴券を購入。

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 入館料は、大人はタオル付950円、タオルなし850円ですが、平日夜間割引は、タオル付700円、タオルなし600円です。私は「温パラ」のクーポンを利用して、タオルを無料サービスしていただきました。

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 コロナの時代になり、このタオルバッグが廃止されて、タオルは使い捨てのポリ袋に入れられて渡されましたが、タオルバッグが復活して、コロナ前に戻りました。

 平日夜は、混雑というほどではないですが、常連さんでかなり賑わっています。宿泊客もあるようで、受付でチェックインしている人おられました。

 食事処の広間を左に見ながら、奥の浴室に向かいます。

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 脱衣場のロッカーの多さには驚きです。その数なんと496!

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 浴室に行きましょう。

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 浴室の様子につきましては、これまで散々紹介してきましたので、詳しくは割愛させていただきます。
 ジェット浴槽、寝湯、適温の大浴槽、高温の小浴槽、ほかにドライサウナ、水風呂、木製の水風呂があります。
 洗い場は仕切り付きで、ボディソープ、リンスインシャンプーがあり、ほかにボディシャワーもあります。

 今回の大浴槽の湯温は41℃、高温の小浴槽は44.3℃を表示していました。体感的にはもっとぬるめに感じましたが、私の肌感覚が鈍っているのでしょうね。ちなみに、この高温浴層で体験した最高記録は48.2℃で、このときはさすがに熱くて降参しました。
 これらの内湯は温泉ではなく、五頭山系の伏流水、つまり地下水の沸かし湯ですが、カルキ臭くもなく、十分に楽しめます。

 露天風呂は、大・中・小の3つの岩造りの浴槽からなり、各浴槽の温度設定が異なります。
 中央の柱に、天井から延びるパイプから非加熱源泉の供給があり、受け口で加熱源泉と混合されて、各浴槽に分流されおり、その供給分はオーバーフローされて掛け流されています。

 小浴槽と中浴槽の温度は42℃程度ですが、大浴槽は39~40℃程度のぬる湯で、ゆったりと浸かることができます。
 小浴槽は源泉の注入量・排出量が少なく、鮮度が落ちる印象があり、新源泉の供給量が多くてオーバーフローも多い中浴槽が好きです。隅にある浴槽内加熱源泉注入場所で背中炙りをして温まるのが好きです。
 ぬる湯の大浴槽と交互に浸かり、温泉と語り合い、大地の恵みを堪能しました。大浴槽は、ぬるめではありますが、長く浸かっていますと、体の芯へガツンと響いてくる感じがあり、強塩泉のパワーを実感します。

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 「塩の湯温泉」のような高温の強塩泉も良いですが、温かくなってきますと、このようなぬるめの強塩泉も魅力的です。
 ぬるめとはいえ、温まりは良いですので、長湯のし過ぎには十分ご注意ください。

 露天風呂に掲示されている分析表は、相変わらず平成15年8月7日付です。最新の分析表があるはずですので、掲示していただきたいものです。
 源泉名は安田温泉。泉質はナトリウム-塩化物強塩泉。源泉温度27.6℃、湧出量は200L/分、PH6.9。
 主な成分(mg/kg)は、Li 1.1、Na 9261、K 521.1、NH4 219.2、Mg 196.4、Ca 349.5、Sr 3.8、Ba 1.9、Al 2.9、Mn 0.3、Fe(II) 16.2、Cu 0.2、F 0.1未満、Cl 16480、Br 80.8、I 41.6、HS 0.1未満、S 0.1未満、S2O3 0.2、HSO4 5未満、SO4 5未満、HCO3 1481、CO3 0.9、メタ珪酸 79.0、メタ硼酸 10.6、遊離CO2 312.7、遊離HS 0.1未満、などで、ガス性除く成分総計は28740mg/kgです。
 アンモニウムイオン、臭素イオン、よう素イオンを多量に含み、茶褐色に混濁し、浮遊物・沈殿物を生じています。アンモニア臭・ヨード臭があり、飲めば塩辛さのなかに甘みも感じます。
 よう素イオンは41.6mg/kgとよう素泉の基準の10mg/kgを遙かに超えますので、現在の基準に従えば、含よう素-ナトリウム-塩化物強塩泉となります。第二鉄イオンも16.2mg/kgと、鉄泉の基準20mg/kgに及ばないものの豊富に含み、茶濁りを生じさせています。
 露天風呂浴槽には、木質ペレットを使用したボイラーで加熱された源泉が供給されているほか、非加熱源泉も供給されています。

 十分に温泉を楽しみ、浴室を出ました。脱衣場の洗面台に、これまでなかったコップが用意されていました。

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 飲水器があるわけではなく、水道の蛇口からの飲んでくれという意味でしょうか。

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 この洗面スペースは、合わせ鏡状態になっていて、不思議な間隔を体験できます。同じような合わせ鏡は、寺泊の「きんぱちの湯」でも体験できます。

 湯上りには、いつものこれ。

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 120円です。

 2階には、別料金で、玉川温泉の北投石、焼山石、地元村杉の薬師石、北海道のブラックシリカを使用した岩盤浴があります。村杉産の薬師石を使用したラジウム展望風呂や貸切風呂もありますが、利用したことがありません。
 また、2階の劇場「かわら座」では、大衆演劇の公演が行われていますので、好きな方は観劇をして、ゆっくりと1日を過ごすことができます。
 宿泊もできますし、団体での宴会も可能です。B級の雰囲気の館内は、昭和の空気感で満たされ、昔のヘルスセンターをほうふつさせます。

 広間でくつろいでいる人たちを横目に、退館しました。

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 玄関先の座敷童に挨拶して家路に着きました。