安価で便利な・・「てまりの湯」

 先回「ひんやり足湯」ということで、「道の駅 国上」の「足湯テラス(酒呑童子の湯)」を紹介しましたが、足湯だけでは満足できませんので、「てまりの湯」を紹介しましょう。道の駅の後方の高台にあり、ついでに寄るには便利な温泉です。

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 この施設は、合併して燕市になる前の分水町と吉田町が共同で建設した温泉保養施設「ふれあいパーク てまりの湯」で、左隣の国上地区農村環境改善センターを休憩所として利用し、一体化して運営されてきました。
 2006年3月に合併して燕市になり、燕市内唯一の公共日帰り温泉として地元の人中心に親しまれていました。
 施設の老朽化により改修工事が行われ、露天風呂を新設したりして、2008年12月23日にリニューアルオープンし、私は一番乗りを目指してオープン日に駆け付けたことを思い出します。
 フェイスタオル付きで500円、17時以降は300円と格安で、泉質にこだわらなければ、気軽に利用できる便利な施設でしたが、社会情勢の変化により、料金はそのままながらタオルなしになりました。
 2022年7月から「道の駅 国上」と周辺施設は新しい指定管理者を迎えてリニューアルされ、道の駅のイメージが一新されました。これに伴い「てまりの湯」も基本構造は変わらないものの、こぎれいになりました。
 
 前置きはこれくらいにして「てまりの湯」に行きましょう。

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 玄関を入り、下足箱に靴を入れて入館します。

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 券売機で入浴券を購入し、下足箱の鍵と引き換え用の番号札を受け取ります。

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 入館料は、大人500円、小中学生300円で、17時以降は、大人300円、小中学生100円です。タオルセットは200円、タオル・館内着セットは300円です。6回分2700円、11回分4900円、夜間割引11回分3000円という回数券の販売もあります。
 営業時間は、10時~21時で、最終受付は20時30分です。休館日は、第2・第3月曜日で、祝日の場合は翌日になります。

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 玄関ロビーのすぐ左に浴室があり、手前が男湯、奥が女湯で固定されています。

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 脱衣場には鍵付き木製ロッカーがあり、空いている好きな場所を選びます。

 自動扉を開けて浴室に入りますと、手前に円形の小浴槽、奥の窓際に長細いジャグジー付の大浴槽があります。大浴槽は温泉ですが、円形浴槽は天然水(地下水)の水風呂になっています。
 小さなドライサウナがあり、その横には掛水用の小さな浴槽があります。

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 洗い場は仕切り付きで、内湯内に6ヵ所と外側に増設された場所に5ヵ所の計11ヵ所あり、ほかにシャワーが1ヵ所あります。
 洗い場には、ボディソープ、シャンプー、コンディショナーが置いてあります。

 大浴槽には無色透明無味の湯が満ちています。「足湯テラス」と同じ源泉なのですが、足湯で感じられた硫黄泉の面影は感じられないのが残念です。
 湯温は42℃程度で、温まりは良好であり、ただのお湯でないことは感じられますが、カルキ臭が強く感じられるのが難点です。その分、衛生管理がしっかりされていると理解しましょう。

 円形浴槽は天然水の水風呂だそうですが、水温は20℃程度で、冷たすぎることなく、この暑い時期には気持ち良く感じられます。

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 以前は、この円形浴槽に大浴槽とは別の源泉(単純硫黄冷鉱泉)が使用されていたのですが、経年変化で濃度が下がって温泉の基準を満たさなくなり、温泉を名乗れなくなったため、天然水と称しているものと思います。以前は加熱して使用されていましたが、いつの間にか水風呂になっていました。

 外側の洗い場から狭い通路を通って外に出ますと、狭い露天風呂があります。軒下に無理に増設した感じで、木の塀が迫っていて、窮屈館は否めません。塀の外には、国上山の穏やかな山容を望むことができます。
 内湯大浴槽と同じ源泉が使用されていますが、内湯より若干湯温は低めで、ゆったりと湯に浸かることができますが、狭い浴槽ですので、混み合うとリラックスできません。
 幸い私は、タイミングが良くて独占入浴ができました。軒先につるされた
ガラスの風鈴がカラカラと音を立て、爽やかな風が吹き抜けて気持ち良く、暮れゆく空を眺めながら至福のひとときを過ごせました。

 さて、平成27年6月9日付の分析表によりますと、源泉名は、長崎温泉。泉質は、単純硫黄冷鉱泉(低帳性弱アルカリ性冷鉱泉)、源泉温度 20.8℃、湧出量 50L/分(動力揚湯)、PH 8.2 です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、LI 0.0、Na 243.9、K 1.4、NH4 2.2、Mg 2.6、Ca 34.2、Sr 0.4、Ba 0.4、Al 0.0、MN 0.0、Fe(II) 0.3、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.6、Cl 390.3、Br 1.4、I 0.6、NO3 0.0、NO3 0.0、HS 1.2、HSO4 0.0、S2O3 4.0、SO4 2.9、HPO4 0.0、HCO3 78.7、CO3 3.0、メタケイ酸 31.1、メタホウ酸 7.4、遊離CO2 0.3、遊離H2S 0.0 など、ガス性除く成分総計は807.6mg/kgです。
 入浴に適した温度に保つために加温、浴槽内の温度を一定に保つため及び浴槽内の不純物を取り除くため濾過循環装置を利用、常に一定量の源泉をかけ流し(オーバーフロー)し、衛生管理のため塩素系薬剤を使用、自動滅菌装置により常時消毒、営業時間終了後に毎日換水、営業時間終了後に浴槽、浴室の清掃を実施、配管清掃、濾過器消毒は休館日に実施、レジオネラ菌、大腸菌等の検査は年2回自主検査との掲示があります。

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 前回の平成17年6月28日付けの分析表では、ガス性除く成分総計が1520mg/kgのナトリウム-塩化物冷鉱泉でしたので、硫黄分は増えているものの、かなり薄くなっています。源泉が経年変化したものと思います。

 新源泉の投入分は掛け流ししているとのことですが、注湯口からはかなりの量が供給されているものの、オーバーフローはありませんでした。新源泉の投入量は少ないのでしょうね。

 前記しましたように、浴槽の湯はカルキ臭こそすれ、硫化水素臭や硫黄味はなく、硫黄泉としての味わいはありません。源泉温度が低いので、加熱・循環・ろ過・塩素消毒は避けられず、仕方ないところでしょう。
 足湯は非加熱源泉がそのまま掛け流しされていますので、源泉の味わいがダイレクトに感じられます。あの足湯に全身浸かりたいという思いがますます強くなります。

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 館内は廊下でつながった隣の建物(国上地区農村環境改善センター)に休憩所がありますし、玄関ロビー奥に食堂があり、飲食が可能です。なお、4月より飲食物の持ち込みはできなくなりましたのでご注意ください。

 設備的、泉質的に難点はありますが、気軽に安価で利用できるのが利点です。すぐ近くには「さくらの湯」がありますが、料金は大きく違いがありますので、客層の住み分けができているようです。料金に見合った満足感というべきでしょうか。

 「道の駅 国上」全体として多彩な施設があり、手ぶらでバーベキューを楽しめたりできますし、キャンプ場まであります。

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 この道の駅のすぐ奥の高台にあり、行楽のついでの利用には便利な温泉です。泉質にこだわらず、楽な気持ちで利用しましょう。