木の香漂うハニカムサウナ 「加茂七谷温泉 美人の湯」

 某日の午後、加茂市の日帰り温泉「加茂七谷温泉 美人の湯」に行って来ました。前回行ったのは3月末でしたので半年以上ぶりです。

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 駐車場に車をとめて玄関へ向かいます。

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 中に入って、右にある下足箱に靴を入れ、鍵とともに受付します。

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 入館料は、大人800円、小学生300円、幼児無料で、平日の17時以降は夜間割引で、大人600円、小学生200円になります。
です。タオルセット150円、館内着150円です。

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 料金は5月8日から値上げされ、タオルセット付料金がタオルなしになり、夜間割引は平日のみになりました。

 回廊の様な廊下を置くに進みますと浴室があり、男女交互に使用されます。

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 左右対称の配置で、基本的には同じですが、奥の浴室は、浴槽の形が直線を基調としているのに対して、手前の浴室の浴槽は曲線が基調です。
 また、奥の浴室にはミストサウナ、手前の浴室にはドライサウナという違いもあります。この日の男湯は奥の浴室でした。

 浴室に入りますと、左に仕切り付きの洗い場が並び、PHOENIXブランドのボディソープ、シャンプー、リンスがあります。

 中央には小さな掛け湯浴槽があり、右に水風呂とジャグジー風呂、そして奥に大浴槽があります。円柱状の柱の部分に注湯口があり、その横の浴槽の角で湯に浸かるのが好きです。

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 浴室はガラス張りになっていて、外の景色を見通すことができ、明るく開放感があります。男女の浴室を仕切る壁の上にネコがいるのも良いですね。

 浴槽の湯は、以前は淡黄色だったと記憶していますが、ほとんど無色透明で無臭。自己責任でなめてみますと、わずかに塩味がするのみでした。ツルスベ感はあって浴感は良いのですが、分析表から想像される泉質とは大きく掛け離れています。相当に加水されているものと思います。

 そして、外には露天風呂。内湯同様に無色透明で、薄い塩味のみです。粟ヶ岳を見ながら湯を楽しめるのですが、天気が悪くて、雲に隠れていました。

 そして、今日の本題に移りましょう。9月20日(水)~10月4日(水)まで、露天風呂が閉鎖され、露天風呂の敷地内に「ハニカムサウナ」が増設されました。10月5日(木)は、サウナの稼動テストのため臨時休館し、10月6日(金)から使用開始されました。

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 ハニカムサウナというのは、7角形の筒状になっている木製のサウナです。

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 滑りやすい木の階段を上って中に入りますと、左右に座席があります、最大で左右4人ずつ程度でしょうか。奥に円形のサウナストーンが積まれたサウナストーブがあり、その奥に窓があり、隙間から外が見えます。ロウリュはできません。
 温度計や時計がないのは不親切ですが、いずれ設置されることを期待します。まだ稼働したばかりですので、木の香りか漂って気持ち良かったです。

 内湯に戻ってスチームサウナも利用しました室温は50℃程度ですが、熱気は十分であり、タオルで仰ぎますと、ロウリュしたような熱波を感じて、ドライサウナ以上に楽しめました。

 平成29年3月9日付けの分析表によりますと、源泉名は、加茂美人の湯(源泉100%)。泉質は、含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩・炭酸水素塩冷鉱泉(高張性中性冷鉱泉)。源泉温度22.1℃、湧出量6.0L/分(自然湧出)、pH6.8。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.7、Na 9409、K 129.3、NH4 12.2、Mg 18.8、Ca 388.0、Sr 10.3、Ba 0.8、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 1.9、Cu 0.0、Zn 0.0、F 12.1、Cl 12150、Br 47.8、I 4.5、NO2 0.0、NO3 0.1、HS 1.2、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 332.3、HPO4 0.0、HCO3 5370、メタ珪酸 10.6、メタ硼酸 41.4、遊離CO2 1134、遊離H2S 1.7 など、ガス性除く成分総計 27941mg/kgです。
 スケールを防止するため、高濃度の温泉を肌にやさしいマイルドなものにするため、高濃度の温泉なので機器の保全等のため、必要な加水を実施。入浴に適した温度に保つため加温を実施。衛生管理のため循環ろ過装置を使用。衛生管理のため塩素系薬剤を使用。とのことです。

 なお、硫化水素イオンが1.2mg/kg、遊離硫化水素が1.7mg/kgあり、総硫黄を概算しますと、2.76mg/kgと硫黄泉の基準の2mg/kgを超えますので、正確には泉質名に「含硫黄」も付けるべきです。

 濃厚な源泉であり、炭酸水素イオンの5370mg/kgは県内でもトップクラスの含有量であり、遊離二酸化炭素が1134mg/kgというのはスーパー銭湯の高濃度人工炭酸泉をも凌駕するのですが、実際の湯は、かなり希釈されており、分析表から想像されるの源泉の面影は全く感じられないのが残念です。
 この温泉の歴史は、正に源泉トラブルの歴史です。2002年11月に「加茂 美人の湯」としてオープンして以来、濃厚な源泉が災いして、スケールによる源泉トラブルが度々あり、その都度沸かし湯営業を余儀なくされました。
 存続の危機もありましたが、何とか乗り越えて、源泉メンテナンス用の温泉櫓を撤去して、背水の陣で臨んでいます。
 そして、2021年4月1日に、新しい指定管理者の下で「加茂七谷温泉 美人の湯」としてリニューアルオープンして現在に至ります。

 源泉の希釈に文句を言うのもはばかれる現実があり、ここは素直に温泉を楽しみましょう。
 設備は充実感しており、温泉の分析表を見さえしなければ、何の不満もなく楽しめることでしょう。もっとも、こんなことを気にしているのは私くらいでしょうけれど。

 なお、脱衣場の洗面台には6台のドライヤーがありますが、そのうちの1台は例によって5分100円のダイソン製ドライヤーになっていました。

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 製品も料金箱も他館と全く同じで、同じ業者から納入されたものと思います。急速に拡大を続けるダイソン・ドライヤー、恐るべしですね。

 館内には休憩場所がたくさんあって、たっぷりとくつろげます。

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 ロビーからは粟ヶ岳がみえるのですが、雨が降り、山頂は雲に隠れて見えませんでした。

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 2階に上がって広間で休憩。

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 空いていて、広間を独り占め。

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 この原稿を書きながらリラックスしました。

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 傘のディスプレイがきれいですね。ゆっくりとくつろぐうちに、雨雲が去って、夕暮れの粟ヶ岳が顔を出しました。照明も灯されて、ムードがいいですね。

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 その後は、安楽椅子が並ぶ休憩所でもひと休み。ここも独り占めでした。

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 ゆったりと、しばし現実を忘れてストレスから解放され、癒しの時間を過ごしました。館内の照明もきれいですね。

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 館内の各所にはハロウィンのディスプレイがされていました。

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 日は暮れて外は真っ暗となり、もう一度館内を眺めて退館しました。

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 雨が降る合間を狙って車へと駆け足し、癒しの空間からストレスに満ちた現実の世界へと戻りました。