たまには 咲花温泉「一水荘」

 秋が深まり、気温が下がって温泉がますます恋しくなる季節を迎えました。寒い時期には強塩泉も良いですが、硫化水素臭漂う硫黄泉も良いですね。
 ということで、今回は咲花温泉に浸かることにしました。咲花温泉で立ち寄り湯といいますと、私の定番は「柳水園」であり、7月にも行っています。泉質の良さでは咲花温泉随一だと思いますが、タイミングが良くないと常連さんで混雑してゆったりできないのが難点です。
 そんなおり、掲示板(733)に「一水荘」の話題があり、今回は「一水荘」を利用することにしました。2017年7月に宿泊利用して以来6年ぶりの訪問になります。
 先週の木曜日の夜、仕事帰りに咲花温泉の「一水荘」に立ち寄り湯しました。なぜ木曜日を選んだかという理由は後でわかります。

 国道49号線を阿賀野市から阿賀町方面に進み、馬下橋で阿賀野川を渡り、すぐに左折して川沿いに咲花温泉へと進みます。
 磐越西線の咲花駅前を過ぎ、咲花温泉街を奥に進みますと、この看板が出迎えてくれます。

DSC_7243.JPG
 ここを右折して、曲がりくねった坂道を上がりますと狭い踏切があります。

DSC_7244.JPG
 脱輪しないかと注意しながら慎重に踏切を渡り、細い坂道を上りますと、その先の左側に「一水荘」があります。

DSC_7241.JPG
 小さな橋を渡った先に玄関があります。周囲は真っ暗であり、玄関の明かりが優しく迎えてくれます。

DSC_7240.JPG
 玄関を入り、右側の下足棚に靴を入れ、スリッパに履き替えて入館し、右のフロントで料金を払います。
 立ち寄り湯は、大人600円、小学生400円、3~5歳300円で、タオルは100円で販売しています。
 受付時間は、11時~20時ですが、毎週木曜日は浴室の大清掃日のため、17時からの受付になります。
 年末年始・GW・お盆の繁忙期は入浴のみの受付は行わず、それ以外でも混雑時は利用できないことがあります。
 
 受付時に日帰り入浴客用の注意書きをいただきました。
 
DSC_7236.JPG
 玄関から奥に進み、左に折れて階段を降りた先に浴室があります。手前が女湯、奥が男湯です。

DSC_7238.JPG
 この浴室とは別に右奥に進んだところに貸し切り露天風呂があるのですが、宿泊客専用です。この様子は前回のブログをご覧ください。
 
 浴室に入りますと、この看板が出迎えてくれます。

DSC_7237.JPG
 脱衣場には、脱衣棚に脱衣籠があります。

DSC_7226.JPG
 洗面台の蛇口はお湯の蛇口と水の蛇口という昭和の香りがするものです。

DSC_7225.JPG
 コップが置いてありありますが、アメニティ類はありません。ドライヤーはあります。

 浴室に入りますと、エメラルドグリーンの湯と、ほのかな硫化水素臭が心地良く感じられます。

DSC_7218.JPG
 左右の壁際には洗い場ありますが、一部の蛇口は、お湯と水を手動で調整する骨董品的な物であり、硫黄分により黒く変色しています。ボディソープ、シャンプー、コンディショナーがあります。

DSC_7215.JPG
 洗面器や洗い椅子はピラミッド状に積まれており、いい雰囲気です。

DSC_7216.JPG
 初めにも書きましたが、この浴室は毎週木曜日に大清掃を行い、浴槽の湯を全面的に入れ替えているそうです。そのとき浴槽の湯を満たすのに時間がかかるため、木曜日のみ入浴受付開始が17時になっています。
 つまり、毎週木曜日の夜の湯が一番鮮度が良く、これを狙って木曜日の夜に利用しました。
 思惑通り、私はこの日の最初の入浴者だったようで、洗面器・洗い椅子がきれいに積まれたままで、浴室内の床も濡れていませんでした。

 浴槽は中央の仕切りで2つに分けられており、右の大きい側は湯温が高めで、左の小さい方がぬるめになっています。

DSC_7223.JPG
 大きい浴槽に注湯口があり、源泉供給分は中央の仕切りをオーバーフローして小さい浴槽に流れ込み、奥に切られた排湯口から流れ出る構造になっています。

DSC_7227.JPG
 これとは別に、浴槽内に加熱源泉の注入があり、循環ろ過装置が使用されています。源泉供給分はオーバーフローされていますので、循環式と掛け流しの併用方式になっています。
 ちなみに、この浴室に使用されている木材はすべて古代檜だそうです。

DSC_7224.JPG
 独り占めの浴室を堪能しました。

DSC_7219.JPG
 大きい浴槽の湯は私の体感で40~41℃程度で、ぬるめでしたが、鮮度は高く感じられました。自己責任で飲めば硫黄味がして、浴感は良好です。「柳水園」で感じられるキシキシ感は感じられず、柔らかく感じられました。

 小さい浴槽の湯も、湯温がぬるめのはずですが、39~40℃程度で、それほどぬるくはなかったです。

DSC_7220.JPG
 この小さい浴槽の湯には新源泉の供給はなく、大きい浴槽の湯のオーバーフロー分がたまった形のため、湯が劣化(酸化)して、濁りを生じて白濁しやすいため、2色の湯を楽しめるのがこの浴室の売りになっています。
 今回は湯の入れ替え直後のため、源泉の劣化がなく、濁りは生じていなかったものと思います。

 独占入浴を楽しんでいますと、次の客が来られましたので、ほどほどに楽しんで浴室を後にしました。

 湯温は低めながら新潟県内でも有数の硫黄分を誇る温泉だけあって、強力な血管拡張作用により温まりは良好です。

 平成26年10月22日付の分析書によりますと、源泉名は、咲花温泉6号。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉。源泉温度 48.3℃、PHの表示なしです。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.2、Na 233.1、K 7.0、MH4 0.8、Mg 0.8、Ca 75.7、Sr 1.2、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.7、Cl 286.4、Br 0.9、I 0.4、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 20.5、HSO4 0.0、S2O3 7.6、SO4 281.7、HCO3 45.2、CO3 0.0、メタケイ酸 55.5、メタホウ酸 3.4、遊離CO2 2.5、遊離H2S 3.7 など、ガス性除く成分総計は1022mg/kgです。
 湯は、加水なし、冬のみ加温、循環・ろ過あり、入浴剤なし、浴槽水の消毒処理あり(法定)、浴槽水換水・清掃は週1回・簡易的には1日1回、レジオネラ検査は年2回実施とのことです。

 この宿のご主人の温泉への思い入れは強く、咲花温泉への熱い思いや浴槽の湯使いについてはホームページに詳しく書かれていますので、じっくりとお読みください。
 循環式ながらも、新源泉供給分はオーバーフローされていますので、湯の使い方としては良いものと思います。
 これを掛け流しと表現して良いかということまでQ&Aという形で見解を記事にしているのは大したものですね。感銘しました。

 流れ出る汗を拭きながら着衣していますと、次の客が入って来られました。タイミング良く独泉できて幸運でした。
 帰り際、ロビーでは女将さんがTVを観ておられおられましたので、ご主人ともども挨拶して退館しました。

 狭い坂道の踏切を慎重に渡って帰路につきました。「柳水園」の泉質にはかないませんが、浴室の雰囲気、広さ、混み具合を勘案しますと、100円高いですが「一水荘」を選択するのも良いかなと思います。

 それにしましても、咲花温泉は良い温泉ですよね。新潟を代表する硫黄泉といえば月岡温泉ですが、咲花温泉も負けていません。
 咲花温泉に重曹を混ぜて、石油を1滴垂らせば、月岡温泉に変身するのではないかと、エメラルドグリーンの湯に浸かりながら妄想していました。