村杉温泉のパワーを実感!「旅館あらせい」

 阿賀野市の五頭温泉郷の中核をなす村杉温泉。全国でも有数のラジウム温泉として知られますが、素朴で静かな温泉街が魅力です。
 以前は年に何度かは宿泊する機会があったのですが、コロナ禍以後はなくなり、ときどき立ち寄り湯するだけになりました。
 天候に恵まれて快晴となった文化の日。休日ではありましたが、午前中は仕事で職場に顔を出し、仕事が終わって、ひと風呂浴びて帰ることにしました。
 秋晴れの空。気温も上がって気分も爽やかです。どの温泉行こうか思案しましたが、今回は国道290号線を走って、村杉温泉へと向かいました。
 国道から温泉街の細道を進み、共同浴場横の坂道を上って、上にある駐車場に車をとめました。

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 村杉温泉で手軽に立ち寄り湯するなら、温泉街の中央にある共同浴場「薬師乃湯」が利用しやすいのですが、人気がある分だけ混雑するのが難点です。
 今回もかなり混雑しているようでしたので、ここには立ち寄らず、すぐ横にある「旅館あらせい」にしました。
 最近掲示板に「旅館あらせい」に関しての書き込みがあり、利用したいと思っていたこともあります。前回利用したのが2022年4月でしたので、1年半以上のご無沙汰でした。

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 階段を上がって玄関へ。

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 戸を開けて中に入り、声をかけましても返事はありません。

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 スリッパに履き替え、右の受付へ。

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 入浴料金は、2023年1月から値上げされて大人600円、小学生500円です。12枚で6000円の回数券もあります。

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 缶の料金入れがありますので、600円を入れて、左奥の浴室に向かいます。

 レトロ感漂う廊下を進みますと、古ぼけた洗面台とお手洗いがあります。

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 ここの右奥に浴室があります。

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 手前が小浴槽で女湯、奥が「白鳥風呂」と書かれた大浴室で男湯です。真っ暗でしたので、照明のスイッチを入れて入浴しました。

 脱衣場には、簡素な脱衣棚に脱衣籠。

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 一応鍵付きロッカーもありますが、洗面台はなく、ヘルスメーター以外の備品もありません。

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 浴室の戸を開けますと、湯気が充満していて、もわっとした熱気が感じられました。

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 浴室内には浴槽がひとつあるのみで、壁面いっぱいに白鳥のタイル画があります。浴槽の右端は浅くなっており、中央に注湯口があり、その上に白鳥が鎮座しています。注湯口の左右にジェット付きです。

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 浴室の左右に1か所ずつ洗い場があり、ボディソープ、リンスインシャンプーがあります。

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 左隅に非加熱源泉の注湯口があります。

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 脱衣場にはこのような掲示があります。

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 非加熱源泉の注入口から飲泉しましたが、美味しかったです。

 独り占めの浴室。気兼ねなく湯と語り合い、湯を楽しみました。無色透明無味無臭の湯は、一見して特徴はありませんが、侮れません。

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 湯温は41℃程度で、決して熱めではないのですが、数分浸かるだけで身体の芯から温まり、ガツンと響いてくるパワーを感じます。
 調子に乗って長く浸かっていますと、疲労感を感じるほどで、ただの沸かし湯でないことが実感されます。
 もうもうと浴室内に充満した湯気にはラドンが豊富に含まれているはずであり、入浴とともに吸入の効能も得られます。

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 2021年8月31日付けの分析書によりますと、源泉名は、薬師乃湯3号井。泉質は、単純弱放射能温泉(低張性アルカリ性低温泉)。源泉温度 25.3℃。湧出量 239L/分(掘削自噴)。PH 8.5。
主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.0、Na 50.3、K 1.4、NH4 0.3、Mg 0.3、Ca 31.2、Sr 0.3、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F0.6、Cl 16.6、Br 0.1、I 0.0、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 0.8、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 135.6、HPO4 0.1、HCO3 37.2、CO3 0.0、メタケイ酸 26.1、メタホウ酸 0.1、遊離CO2 0.2、遊離H2S 0.0、など、ガス性除く成分総計は301mg/kgです。そのほかに、ラドン(Rn)を 89.9 x10-10Ci/kg(24.7マッヘ単位)含みます。

 源泉は自噴しており、薬師の足湯付近の貯湯タンクにポンプを用いて圧送し、貯められた源泉は加圧ポンプを用いて、道路埋設配管で当館に供給(供給量は毎分20L)しているそうです。
 源泉は入浴に適した温度に加温して浴槽に供給、衛生管理と温泉資源の保護を目的として循環ろ過装置を使用、レジオネラ菌等の細菌繁殖防止のために塩素系薬剤による消毒処理を実施、加水処理や入浴剤の使用なし、とのことです。

 源泉温度が低いですので、村杉温泉の場合は加熱循環が必須です。非加熱源泉に浸かりたい人は「長生館」の露天風呂の非加熱源泉浴槽がありますが、屋外ですのでラドンの吸入効果は少ないと思います。

 加熱循環の湯とはいえ、数分間湯に浸かっただけで汗が噴き出て、湯上がりにも汗が引かないで困るほどです。ただの沸かし湯とは大違いであり、無色透明ながらもパワーに溢れています。
 これがラジウム温泉(ラドン温泉)の持つ力であり、村杉温泉の魅力です。かつては日本でも最高レベルのラドン含有量を誇りましたが、検査の度に減少して、単純放射能泉の基準(50マッヘ単位)を下回り単純弱放射能温泉になりましたが、体感的なパワーには変化がありません。

 この魅力溢れる村杉温泉を、締め切った浴室内で吸入療法も併せて楽しめるというのは良いですね。
 料金は600円と、300円の共同浴場の倍ですが、混み合う共同浴場と違って、こちらは浴室を独り占めできます。共同浴場にはシャンプーやボディソープ類がありませんが、こちらには備わっています。共同浴場は利用客数が多く湯の鮮度が落ちますし、人の出入りが多く浴室は密閉されませんので、ラドンの吸入効果は乏しいです。さて、皆さんはどちらを選びますか。

 汗をふきふき退館して外に出ますと、休日だけあって、共同浴場は客の出入りが多く、賑わっていました。

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 駐車場へ上がる道沿いには、右に湧水の飲水所。

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 左に足湯。

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 そして、源泉小屋と源泉の汲み上げポンプがあります。

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 その向かいには、かつて共同露天風呂があったのですが、今はその面影はありません。

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 そして、駐車場横の石段の上には村杉温泉の象徴である薬師堂があります。

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 石段の左に、薬師堂の言われについての看板があります。

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 急な石段上ってみました。

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 お堂の右横には「めおと杉」があります。

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 ここからは温泉街を見下ろすことができます。

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 駐車場奥には源泉の貯湯槽があります。

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 皆さんも村杉温泉に来られましたら、散策されますことをお勧めします。

 村杉温泉のパワーを実感した癒やしのひとときを過ごし、静かな温泉街を後にしました。