寒風の中の露天風呂 「さくらの湯」 そして新しい分析書

 先日の夜、某所への出張からの帰り道、途中でひと風呂ということで、某温泉に立ち寄ったのですが、運悪く休館日でした。そこで、今回は弥彦村の「さくらの湯」にしました。前回利用したのが9月でしたので、4か月振りになります。

 雪交じりの強風か吹き荒れる中に「さくらの湯」に到着しました。平日の大荒れの夜ということもあってか、駐車場は空いていました。

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 周囲が真っ暗な中、ブルーのイルミネーションが美しく輝いていました。強風の中、玄関へと駆け足しますと、「いらっしゃいませ」という看板が優しく迎えてくれます。

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 玄関を入り、右手の小さな下足箱に靴を入れます。

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 鍵と共に受付へ。

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 料金はタオルセット・館内着付きで、大人1150円、小人650円です。平日17時以降の夜間割引は、タオルセット付で大人700円、小人450円と格安です。
 通常料金の1150円は高く感じますが、館内着は浴衣ですし、女性は色柄も選べて温泉旅館気分を味わえます。設備の充実度を鑑みますと、妥当な料金と言えましょうか。
 そして、平日17時からの夜間割引のタオルセット付で700円という料金は、昨今の値上げラッシュの中では格安です。

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 タオルセットとロッカーキーを受け取って奥の浴室に向かいます。手前が女湯で、奥が男湯です。

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 脱衣場には木製のロッカーが多数並んでいます。洗面台には整髪料とヘアブラシが置いてあり、ドライヤーは無料です。ダイソンが侵略してこないことを祈ります。

 浴室に入りますと、右に洗い場、左に掛け湯、サウナ、水風呂が並び、中央に腰掛け湯、奥に大浴槽とぬるめの小浴槽があります。

 洗い場は、仕切り付きが10か所、仕切りなしが7か所で、Phoenixブランドの豆乳ボディソープ、シャンプー、コンディショナーがあります。垢擦りが置いてあり、自由に使えるのはありがたいですね。

 洗身して、まずは大浴槽に浸かりました。大浴槽は長めの長方形で、中央に金属のバーがあります。右の注湯口から源泉が注がれ、窓際の浴槽の縁から掛け流されています。
 湯色はそのときにより変化しますが、この日はほぼ無色で微濁、硫化水素臭に加えて枯草のような臭い(?)がして、自己責任で舐めれば、薄い塩味と硫黄味がする柔らかな硫黄泉です。
 湯温は、体感で41℃程度で、個人的にはもう少し熱い方が好みですが、一般的にはちょうど良い温度です。
 隣の小浴槽はぬるめで、39~40℃程度です。ここも注湯口から注がれた源泉は、浴槽の縁から掛け流されています。

 内湯を十分に楽しんだ後、露天風呂へと移動しました。露天風呂には多彩な浴槽があり、LEDのイルミネーションがきれいに輝いていましたが、寒風が吹き荒れており、急いで浴槽に浸かりました。

 手前の軒下にある長方形の浴槽は、内湯と同様に微濁し、湯温は41℃程度。奥の注湯口から注がれた源泉が、手前の排湯口から掛け流されています。

 この浴槽の横に、浅い浴槽、深い浴槽、壺湯、寝湯など、多彩な浴槽が並んでいます。これらの浴槽は、無色透明で、臭いや味も薄く、加熱循環されているらしく、鮮度が低く感じます。
 しかし、湯温は高めで、42℃程度あって、ちょうど良く感じます。特に浴槽の底から大量に加熱源泉が吹き上げられている場所は、湯温はかなり高く、温まりは抜群です。
 また、壺湯は3つありますが、この場所に屋根がありません。冷たいみぞれ混じりの雨の中に、寒風に吹かれながら浸かりましたが、底から43℃位の加熱源泉が供給されていて、身体は良く温まりました。
 久し振りに寝湯にも浸かりましたが、気持ち良く楽しめました。オープン当初は、寝るに寝れない寝湯で、枕の位置が改修されて、今の形になったことを懐かしく思い出しました。
 露天風呂の各浴槽を順にたっぶりと楽しんで、内湯に戻りました。なお、足裏マッサージ用(?)の突起が並ぶ場所がありますが、刺激が強すぎて好きになれません。

 再び内湯をたっぷりと楽しみ、湯と語り合いました。今回はサウナは利用しませんでしたが、サウナマットと足用のマットの両方があるのは素晴らしいです。
 水風呂は、丸い小さな浴槽が2つと、替わり湯浴槽としても使用される浴槽がありますので、好きな浴槽に浸かってととのってください。

 さて、脱衣場の温泉の分析書が、平成5年7月31日付のものになっていました。

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 源泉名は、やひこ桜井郷。泉質は、含硫黄ーナトリウム・カルシウムー塩化物泉(低張性 弱アルカリ性 高温泉)。源泉温度 44.5℃、湧出量 394L/分(動力揚湯)、PH 8.2。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.2、Na 812.6、K 13.2、NH4 0.6、Mg 3.3、Ca 226.0、Sr 5.9、Ba 1.5、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Fe(III) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 2.2、Cl 1599、Br 6.0、I 0.4、OH 0.0、HS 6.5、S2O3 0.0、HSO4 0.0、SO4 80.5、NO2 0.0、NO3 0.0、HPO4 3.0、HCO3 43.4、CO3 3.0、メタケイ酸 33.8、メタホウ酸 17.6、メタ亜ヒ酸 0.0、遊離CO2 0.6、遊離H2S 0.4 など、ガス性除く成分総計は2858mg/kgです。
 加水なし、入浴に適した温度を保つため一部加温、衛生管理のため一部循環、英英管理のため塩素系薬剤を使用とのことです。

 前回(平成28年9月30日付)の分析書と比較しますと、カルシムの含有量が増えて、23.77mval%になったため、泉質名に反映されて、含硫黄ーナトリウムー塩化物泉から含硫黄ーナトリウム・カルシウムー塩化物泉に変わりました。
 ガス性除く成分総計は、2273mg/kgから2858mg/kgと、若干増えていますが、硫黄分については大きな変化はありません。
 泉質名は変わりましたが、成分的には微妙な変化であり、泉質が前回と大きく変わったわけではありません。

 これまでの変遷を振り返りますと、当初の2002年12月付の分析書では、ガス性除く成分総計が469.4mg/kgの単純硫黄泉でしたが、2007年の分析で1000mg/kgを超えて塩類泉に昇格し、その後も検査のたびに濃くなっており、現在までその傾向が続いているのは驚異的です。
 柔らかな硫黄泉で、塩類泉としての温まりの良さも加わっています。この良質な源泉が、掛け流しで楽しめるというのは素晴らしいですね。

 温泉を十分に楽しんで浴室を後にしました。なお、浴室前には別料金で岩盤浴がありますが、浴室の隣のクールルームともども利用したことがありません。

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 外の足湯テラスを覗いてみましたが無人でした。寒風が吹く中に利用する人はいないでしょうね。

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 前回来たときまで、足湯専用のタオルが置いてあり、自由に使用できたのですが、撤去されていました。衛生管理のためと書かれていましたが、何か問題があったのでしょうか。

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 奥にある食事処は、この日は営業していませんでした。

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 大広間に行きますと、無人でした。奥に女性専用の休憩所がありますが、そちらも無人のようでした。

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 ここにある給茶器で冷茶をいただきましたが、味が濃くて大好きです。

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 しばし、独り占めの広間で足を延ばして寛ぎましたが、誰も入って来られませんでした。

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 その後は、安楽椅子が並ぶ休憩所に移動。

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 椅子に座って、この原稿を書きながら、しばし休憩しました。

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 頃合いをみて退館しましたが、外は吹雪でした。

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 車まで小走りし、風雪で視界が悪い中、慎重運転で家へと向かいました。

 泉質、設備とも高水準であり、大好きな温泉です。その分、休日は混雑しますが、平日の夜はゆったりと過ごせます。
 平日夜間割引はタオル付で700円と良心的な価格ですので、お勧めできます。皆さんも是非ご利用ください。