かなり薄めの岩室温泉 「ゆもとや」

 新潟市西蒲区の岩室温泉は、素朴な温泉街が魅力です。その温泉街の外れにあり、一番目立つ建物が「ゆもとや」です。
 これまで何度か利用させていただいていますが、2018年6月以来、ご無沙汰していました。
 こんなおり、今月初めの新聞の折り込みチラシに新潟県内の各種割引クーポンがあり、その中に「ゆもとや」の割引クーポンもありました。
 立ち寄り入浴料金1000円が700円に割引になるクーポンで、これを利用しない手はないと思い立ち、先日しばらくぶりに行ってきました。
 岩室温泉街の外れにあり、その大きな建物は遠くからでも目立ちます。向かいには岩室温泉の観光施設「いわむろや」があります。

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 玄関の構えは、高級旅館の空気感を醸し出しています。

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 入り口からは庭園の池を見渡すことができて、いい雰囲気です。

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 通路を奥に進んだ先に館内への入り口があります。

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 館内に入りますと、右手にフロントがありますので、料金を払います。入浴料は1000円ですが、割引クーポンを利用して700円になりました。立ち寄り入浴時間は、12時~15時です。
 なお、玄関前にある食事処「花なり亭」でランチを食べますと、入浴料が無料になりますので、大変お得です。食事処の営業時間は、11:30~14:30(LO14:00)で、火曜日・水曜日が定休です。

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 広いロビーを左に眺めて館内を奥に進みますと、右手に大浴場があります。

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 ここで靴を脱いで、下足棚に入れて浴室に行きます。

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 手前が「鷹の湯」、奥が「夢殿」といい、造りが異なりますが、立ち寄り入浴の時間帯の男湯は「鷹の湯」です。

 浴室内は写真撮影できませんので、中の様子は前回の記事をご参照下さい。

 脱衣場には脱衣棚に脱衣籠が多数あり、貴重品ロッカーもあります。洗面台にはドライヤー、櫛、整髪料等が揃っています。

 浴室は広々としており、入って左手に洗い場があり、仕切り付きと仕切りなしの洗い場が総計16か所あり、ボディソープ、シャンプー、コンディショナー等が何種類かあります。
 右手の窓際に大浴槽があり、壁際に小浴槽があります。浴槽の湯は両方ともに無色透明で無臭、ごくわずかな塩味がします。

 大浴槽は、奥に循環湯の注湯口から勢い良く湯が注がれているほか、小さな注湯口から源泉が少量注入されています。
 源泉はアブラ臭と塩味・苦みがある、まさに岩室温泉なのですが、浴槽の湯はかなり希釈されており、その面影は失われています。
 湯温は40~41℃程度でぬるめで、温まりが良いとは言えませんでしたが、源泉の注入口横で温まりました。

 小浴槽は、循環湯と源泉の区別はなく、注湯口から湯が供給され、排湯口に流れ込んで循環されています。大浴槽よりは、わずかながら温泉らしさが感じられました。浴槽は深めで、湯温も若干高めで、大浴槽より温まりは良かったです。

 奥に小さなドライサウナがありますが、利用時にはまだ温まっていませんでした。

 そしてサウナ横の出口から外に出ますと、岩造りの露天風呂があります。ここも循環湯と源泉の注湯口が別々にありますが、浴槽の湯は無色透明無味無臭。温泉の味わいは内湯よりさらに乏しく感じられました。湯温はせいぜい40℃程度とぬるく、温まりは良くありませんでした。
 この露天風呂の横に、源泉について書かれた木の看板があるのですが、その説明がむなしく感じられました。
 以前利用したときは、この露天の湯は白濁し、アブラ臭も漂って、紛れもない岩室温泉の源泉を味わうことができました。しかし、今回は・・・。

 内湯も露天風呂も、本来の岩室温泉の味わいとはほど遠く、この点は残念でなりません。同じ岩室温泉でも、「松屋」や「濱松屋」で味わえる岩室温泉の本来の「黒湯」の濃厚な味わいとは全く異なります。
 ただし、浴室の造りは高級感が漂い、落ち着いた雰囲気の中で湯を楽しむことができます。むしろ温泉マニアでない一般観光客は、黒い湯花が沈殿するアブラ臭い湯よりも、こちらの希釈されたクリーンな湯の方が良いのかも知れません。
 ただ、岩室温泉を知らない初めて訪れた人が、これが岩室温泉だと誤解しないと良いのですけど。そのためにも、以前のように露天だけは源泉らしさを残してほしいと、部外者は勝手に思うのでありました。全くの個人的感想ですので、あしからず。

 脱衣場入り口に、令和5年7月28日付の分析書が掲示されていました。
 源泉名は、岩室4号源泉。泉質は、含硫黄ナトリウム・カルシウムー塩化物泉(高張性 弱アルカリ性 高温泉)、源泉温度 54.3℃、湧出量 142L/分(動力揚湯)、PH 8.0。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.5、Na 3065、K 37.8、NH4 3.8、Mg 7.7、Ca 1015、Sr 10.5、Ba 2.5、Al 0.0、Mn 0.3、Fe(II) 0.2、Fe(III) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 2.5、Cl 6291、Br 21.7、I 2.3、OH 0.0、HS 45.4、S2O3 0.0、HSO4 0.0、SO4 36.0、NO2 0.0、NO3 0.0、HPO4 0.0、HCO3 136.0、CO3 1.8、メタケイ酸 44.5、メタホウ酸 58.9、遊離CO2 2.6、遊離H2S 5.8など、ガス性除く成分総計は10880mg/kgです。
 源泉の供給量を不足を補うため加水、入浴に適した温度に保つため加温、衛生管理のため循環濾過装置を使用、入浴剤使用なし、衛生管理のため演奏系薬剤による消毒を実施とのことです。

 まあ、湧出量を考えますと、各旅館に分配して、男女それぞれにある大小の浴槽と露天風呂を源泉で満たすことは不可能であり、加水は仕方ないでしょう。でも、もう少し源泉の味わいがほしいなあ・・。

 湯上がりは、浴室前のロビーで冷水を飲んでひと休み。

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 落ち着いた館内を眺め、泊まってみたいという思いを強く持ちながら退館しました。
  
 泉質としての魅力は乏しいと言わざるを得ませんが、高級旅館風のセレブな雰囲気の中で、ゆったりと湯に浸かることができますので、泉質にこだわらない人にはお勧めできます。