掛け流しの露天風呂を楽しむ 咲花温泉「佐取館」

 仕事帰りのひと風呂で咲花温泉といえば「柳水園」が私の定番であり、先日も行ってきたばかりなのですが、今回は趣向を変えて「佐取館」にしました。その理由は後でお話します。
 「佐取館」は、これまでプライベートで宿泊したことがあるほか、仕事がらみで宿泊したり、新年会や忘年会で宿泊したりで、何度か利用させていただいていますが、コロナ禍で宴会がなくなったこともあり、最近はすっかりとご無沙汰しています。2016年12月に宿泊して以来ですので、7年半ぶりになります。

 国道49号線から馬下橋で阿賀野川を渡り、左折して川沿いを進み、咲花温泉街に入ります。温泉街とはいうものの、平日の夜は人通りが全くなく、落ち着いた雰囲気とも言えましょうが、寂しさを禁じえません。
 「望川閣」の前を通り、「柳水園」への坂道を右に見て過ぎ、昨年9月末で閉館した「ホテル平左エ門」を左に見て進みますと、「ホテル丸松」の手前に「佐取館」専用の広い駐車場があります。駐車場の反対側の磐越西線の踏切を渡った先には「一水荘」があります。

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 この駐車場に車をとめて、小さな川を渡って奥に進みますと「ホテル丸松」の先に「佐取館」があり、さらに奥に進みますと閉館した「湯元館」があり、その先に「碧水荘」があります。

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 玄関先は落ち着いた和の雰囲気が感じられます。歓迎の看板を見ますと、団体さんや外国の方も泊まられているようでした。

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 階段を上り、自動扉を通って玄関を入りますと、高級感が漂う静かな空気感が魅力的です。右にフロントがあり、奥のロビーからは阿賀野川が見渡せます。

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 フロントで立ち寄り入浴をお願いしますと、快く迎えてくれました。入浴料金は、大人1000円、小人500円です。タオルは借りられるようですが、バスタオルを借りると500円です。
 利用可能時間は、昼は11:00~15:00までで、最終受付は14:00です。夜は18:00~21:00までで、最終受付は20:00です。

 さて、本来の入浴料は1000円なのですが、今回は500円で入浴できました。
実は、五泉市では3月16日(土)~6月16日(日)までの期間「春のごせんスタンプラリー2024」が開催されており、スタンプを3つ集めて応募すると咲花温泉の利用券や特産品等が当たります。

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 このイベントに関連して、パンフレットに参加店舗で使用できるクーポン券が付いており、「佐取館」の入浴料金が500円になるクーポンもありました。これを利用しない手はないと思いたち、チャンスを狙っていたのでした。
 ということで、クーポンが使用できる期間内に行こうと思い、実際に行ってみたことがあったのですが、たまたま休館日で断念したことがありました。
 今回はそのときのリベンジということで、再度挑戦したというのが今回訪問した真相です。

 エレベーターで最上階の5階に上がりますと、浴室があります。

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 左が「水鏡」、右が「花鏡」で、さらに右奥に貸し切り露天風呂が2つあります。時間帯により男女が入れ替わりますが、今回の男湯は「水鏡」でした。

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 浴室には先客が1人おられましたが、先客が露天風呂におられたときに内湯を独り占めし、先客が出て行かれたときに露天風呂を利用し、結果として、内湯も露天風呂も独り占めでの利用することができました。

 脱衣場には脱衣棚に脱衣籠があります。

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 窓からは阿賀野川や対岸の山々を展望できます。

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 洗面台にはドライヤーのほかに、整髪料等が揃っています。

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 浴室に入りますと大浴槽があり、2面がガラス張りで展望は抜群です。

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 仕切り付きの洗い場が3か所あり、ボディソープ、シャンプー、コンディショナー等があります。

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 浴槽には無色透明の湯が満ちており、カルキ臭が感じられます。注湯口から湯が注がれていますが、循環されておりオーバーフローはありません。

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 残念ながら、この内湯大浴槽は地下水の沸かし湯であり、加熱・循環ろ過されており、十分な塩素消毒がされています。

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 湯温は41~42℃程度でしょうか。眺めが良いですので、泉質というより展望を楽しみましょう。

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 内湯を楽しんで奥に行きますと、すぐ右に仕切りなしの洗い場が4か所あり、ボディソープ、シャンプー、コンディショナー等があります。

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 戸を開けて外に出ますと、小さめな露天風呂があり、ここは咲花温泉の源泉が使用されています。

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 エメラルドグリーンというには若干薄め気味ですが、淡緑色透明の湯が満ちており、注湯口から注がれた源泉は浴槽の縁からオーバーフローされており、掛け流しされています。
 ここからの眺めも抜群です。阿賀野川のほか、眼下に閉館した「湯元館」の建物があり、その右先に磐越西線のトンネルも望めます。

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 見上げれば月も出ていて、月見風呂も楽しめました。

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 源泉100%で、加温・加水・消毒なしで、そのまま掛け流しされており、鮮度は抜群です。ただし、同じ掛け流しでも、「柳水園」のような高温ではなく、湯温は40~41℃程度で若干ぬるめです。5階まで引き湯していること、露天風呂であることなどで湯温が下がっているものと思います。

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 淡緑色の湯は、ほのかに硫化水素臭がありますが、味はほとんど無味でした。浴槽に浸かって湯と対話し、至福の時間を過ごしました。

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 平成26年10月26日付けの分析表によりますと、源泉名は,咲花温泉6号。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)。源泉温度 48.3℃、使用位置 46.3℃で、PHの記載はありません。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.2、Na 233.1、K 7.0、NH4 0.8、Mg 0.8、Ca 75.7、Sr 1.2、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.7、Cl 286.4、Br 0.9、I 0.4、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 20.5、HSO4 0.0、S2O3 7.6、SO4 281.7、HPO4 0.2、HCO3 45.2、CO3 0.0、メタケイ酸 55.5、メタホウ酸 3.4、遊離CO2 2.5、遊離H2S 3.7 など、ガス性除く成分総計は、1022mg/kgです。
 加水なし、加温なし、循環ろ過装置の使用なし、入浴剤・着色剤使用なし、塩素消毒なし、浴槽の換水・清掃は毎日実施、レジオネラ菌・大腸菌の検査は年1回以上実施とのことです。

 温泉を十分に楽しみ、浴室を後にして、奥の湯上り処にある冷水器でのどを潤しました。

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 エレベーターで1階に降りて退館し、人通りのない温泉街を抜けて、家へと車を進めました。

 ちょっと寂れた印象の咲花温泉街の中にあっては、高級感の感じられる規模の大きい温泉旅館ですが、露天風呂で源泉かけ流しを楽しめるのは素晴らしいですね。浴室からの眺めも良いですし、ゆったりと湯を楽しめます。
 今回は女湯だったもう一つの大浴場の「花鏡」は、少し狭く、眺望が若干劣りますが、円形の露天風呂で掛け
流しを楽しめます。宿泊すると両方楽しめますので、また泊まってみたいです。

 咲花温泉の源泉をダイレクトに楽しむなら「柳水園」が一番だということに異論はないと思いますが、朽ち果てた昭和レトロの狭い浴室を受け入れる必要があり、料金は600円です。
 一方「佐取館」は、源泉かけ流しの展望露天風呂があり、沸かし湯ながらも眺めの良い内湯もあって、大きな浴槽でリラックスできますし、温泉旅館としての十分な設備・備品があり、料金は1000円です。
 さて、皆様方はどちらを選択されますでしょうか。私は、500円の割引クーポンが使用できる間に、また利用しようかと思っています。