安価に岩室温泉を楽しむなら 「よりなれ」

 新潟市西蒲区の岩室温泉は、素朴で閑静な温泉街が魅力です。2015年3月から新源泉(岩室4号源泉)が供給開始され、黒い湯花が特徴のため、「黒湯」として売り出し、昨年から9月6日は「岩室温泉・黒湯の日」に認定されました。
 この岩室温泉を楽しむには、当然ながら旅館を利用するのが一番なのですが、それを除けば「いわむろや」の足湯か日帰り温泉の「よりなれ」ということになります。

 ということで、少し前になりますが、先週の土曜日の夕方に「よりなれ」に行ってきました。昨年11月以来ですので、7か月ぶりになります。随分とご無沙汰していたことに気付き、自分でも驚いています。
 「よりなれ」は、1970年に岩室村の老人憩いの家「静閑荘」として開業し、そのうちの浴室部分は、1995年に「遊雁の湯 よりなれ」として日帰り温泉の営業を開始しました。当時は日帰り温泉施設がまだ少なかったですので、我が家は頻回に利用していました。
 2005年3月21日に岩室村が新潟市に合併した後は新潟市に移管され、「新潟市岩室健康増進センター」となり現在に至ります。新潟市の公共日帰り温泉ですので、料金は安価に抑えれれているのが最大の魅力です。

 岩室温泉街を「だいろの湯」方面に進み、病院の手前の駐在所前を右折し、公園の横の坂道をくねくねと上って行った先に「よりなれ」があります。坂道の途中と坂を上った先に駐車場があります。

DSC_9028.JPG
 車をとめて玄関に向かいます。

DSC_9029.JPG
 玄関を入り、左手にある下足箱に靴を入れて、右手の窓口で、下足箱の鍵とともに受付します。
DSC_9030.JPG
 料金は、タオルセット付きで、大人500円、小人300円、新潟市民の65歳以上は300円です。11枚で5000円(65歳以上3000円)の回数券もあります。値上げラッシュの時代にあって、この料金は格安と言えましょう。
 タオルバッグと脱衣場のロッカーキーを受け取って浴室に向かいます。

DSC_9033.JPG
 玄関を上がってすぐ左右に男女浴室があります。コロナ禍前は男女交互に使用されていましたが、現在は右が女湯、左が男湯に固定されています。

DSC_9035.JPG
 右の浴室は檜造りの「木風呂」で、左の浴室は大理石風造りの「岩風呂」となっていて、浴槽の形や大きさが異なり、浴室が面する方角も異なりますので、印象はかなり違います。

DSC_9032.JPG
 脱衣場に入りますと、左にスチール製脱衣ロッカーが並び、右に洗面台があり、無料のドライヤーがあります。

DSC_9034.JPG
 浴室に入りますと、窓際に2つの浴槽がありますが、左側の浴槽はかなり細い浴槽です。窓の向こうに露天風呂が見えます。
 手前の壁際には仕切りなしの洗い場が7か所あり、ボディソープ。リンスインシャンプー、固形石鹸があります。

 内湯は残念ながら温泉ではなく、水道水の沸かし湯です。無色透明無味ですが、若干のカルキ臭があるものの気になるほどではありません。
 湯温は41~42℃程度の適温で、沸かし湯というのは残念ですが、気持ち良く温まれます。

 露天風呂は岩造りで、3~4人で満員の小さな浴槽です。ここには岩室温泉の源泉が使用されており、微白濁の湯が満ちています。
 湯温は内湯より高めで、42℃程度でしょうか。注湯口からは45℃程度の高温の源泉が注がれており、この近くでは湯温も高くて、温まりも良好です。
 自己責任でなめますと、わずかに塩味がしますが、ほぼ無臭で、かなり希釈されていると思われます。黒い湯花もなく「黒湯」の面影はありませんが、オーバーフローもあって、掛け流しということになりましょうか。これはこれで満足できる湯です。
 私の行いが良いのか、単にタイミングが良かっただけなのか、他の客はなく、露天風呂を独り占めで楽しみました。次の客が入って来るまでは浴槽から出ないぞと頑張り、
ゆでだこ状態になりました。

 脱衣場にはこれまであった分析書が掲示されていませんでした。これまでは平成26年3月22日付の分析書でしたが、「穂々-hoho-」にあった最新の令和5年7月28日付の分析書に変更するため、一時的に外されたものと推測しますが、いかがでしょうか。

 これまで掲示してあった平成26年3月22日分析による成分表によりますと、源泉名は、岩室4号源泉。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性 弱アルカリ性 高温泉)。源泉温度52.2℃。PH 7.96。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.4、Na 2844、K 36.3、Mg 10.6、Ca 1422、Sr 13.0、Ba 3.1、Mn 0.3、Fe(II) 0.2、NH4 5.9、F 2.7、Cl 6869、I 2.1、SO4 42.7、HCO3 103.7、CO3 0.5、HS 33.3、HPO4 4.8、メタケイ酸 30.9、メタホウ酸 61.8、遊離CO2 3.3、遊離H2S 5.8 など、ガス性除く成分総計は11490mg/kgです。

 令和5年7月28日付の分析書によりますと、源泉名は、岩室4号源泉。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性 弱アルカリ性 高温泉)。源泉温度 54.3℃。湧出量 142L/分(動力用湯)。PH 8.0。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.5、Na 3065、K 37.8、NH4 3.8、Mg 7.7、Ca 1015、Sr 10.5、Ba 2.5、Al 0.0、Mn 0.3、Fe(II) 0.2、Fe(III) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 2.6、Cl 6391、Br 21.7、I 2.3、OH 0.0、HS 45.4、S2O3 0.0、HSO4 0.0、SO4 36.0、NO2 0.0、NO3 0.0、HPO4 0.0、HCO3 136.0、CO3 1.8、メタケイ酸 44.5、メタホウ酸 58.9、メタ亜ヒ酸 0.0、遊離CO2 2.6、遊離H2S 5.8 など、ガス性除く成分総計は10880mg/kgです。

 いずれにしましても、硫黄分(硫化水素イオン、遊離硫化水素)を豊富に含む素晴らしい泉質です。源泉中の硫黄分と鉄分が反応して硫化鉄になるため、黒い湯花を生じて「黒湯」となりますが、各施設の湯の使用法により「黒湯」を感じられないところもあります。

 現在の湯の使用法についての掲示はありませんでしたが、従来通りであれば「温泉量を補給するため加水、入浴に適した温度を保つため加温、循環ろ過装置の使用なし、入浴剤の使用なし、衛生管理のため塩素系薬剤による消毒を実施」だと思います。
 希釈されていますが、「ゆもとや」よりは温泉らしさは感じられ、本来の「黒湯」のことを知らなければ、十分に満足できる湯だと思います。

 今回は混み合うこともなく、十分に湯を楽しむことができましたが、浴室・浴槽とも狭いため、混雑している時はリラックスできないのが難点です。空いているタイミングでご利用ください。

 噴き出る汗をバスタオルで拭きながら、2階に上がって水分補給。

DSC_9036.JPG
 椅子に座ってクールダウン。

DSC_9039.JPG
 広間に移動して、TVを観ながらもうひと休みしました。

DSC_9040.JPG
 高台にありますので、窓からは、岩室温泉街やその先の角田山まで一望できたのですが、木々が成長して視界を遮り、眺めは制限されてしまいました。これも月日の流れですね。

DSC_9038.JPG
 汗が引いたところで退館しましたが、土曜日の夕方ながらも空いていて良かったです。
 低料金で利用できますし、加水されてはいますが、露天風呂で岩室温泉を楽しむことができます。
 「黒湯」というわけにはいきませんが、温まりに問題はなく、手軽に利用するには良い施設だと思います。
 なによりも、料金が安いのが一番です。