暑いときには強塩泉 「紫雲の郷」

 新発田市の紫雲寺記念公園内にある「紫雲の郷」は、合併前の紫雲寺町が建設し、2002年4月にオープンした公共温泉施設です。オープン前の無料体験入浴会に参加したことも懐かしい思い出です。
 2005年5月に新発田市に合併した後は新発田市の施設となり、第三セクターの「紫雲寺記念館」が指定管理者として運営してきました。
 しかし「紫雲寺記念館」は、トラフグ養殖事業の失敗などにより経営破綻し、4月1日より温泉部門のみ新発田市の直営で運営が継続されていますが、物販・食堂部門は営業を休止したままです。
 経営破綻により筆頭株主である新発田市も大きな損失となり、今後は民間への売却も視野に検討が進められています。
 そんな不安定な状況にあり、どのように運営されているのか気になりましたので、先日の夜に行ってきました。

 梅雨空が鬱陶しい某日の夕暮れ時に、広大な紫雲寺記念公園内に静かにたたずむ「紫雲の郷」に到着しました。

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 広大な駐車場に車をとめて、玄関に向かいましたが、これまでと特に変わりはありませんでした。

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 玄関を入って、下足箱に靴を入れて、鍵と引き換えに受付します。

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 入館料は、大人700円、小人300円、3歳未満無料で、平日のみ65歳以上は敬老割引で600円です。タオルセットは100円、館内着200円です。
 料金はこれまでと変更はなく、公共温泉施設として料金が低く抑えられているのはありがたいです。
 なお、前回利用したときは「温パラ」で無料入浴できたのですが、今年度は「温パラ」には参加していません。

 館内を奥に進みますと、広い通路(ロビー)を挟んで左右に浴室があり、左が「紫雲の湯」、右が「藤塚の湯」で、男女交互で使用されます。

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 2つの浴室は左右対称の配置で、基本構造は同じですが、露天風呂の巨石風呂が「紫雲の湯」は大が1つ、「藤塚の湯」は小が1つ、中が1つという違いがあります。今回の男湯は、前回と同様に、左側の「紫雲の湯」でした。

 浴室に入りますと、すぐに洗面台があるスペースがあり、これまで同様に、昨年10月20日より有料化された5分100円の赤いダイソンドライヤーが4台あります。その奥が脱衣場で、スチール製脱衣ロッカーが多数並んでいます。

 浴室に入りますと、右にドライサウナ、左に仕切り付きの洗い場があり、ボディソープ、リンスインシャンプーがあります。
 その奥の通路を挟んで右側には、水風呂の小浴槽とジャグジー付きの中浴槽、左に大浴槽があり、茶褐色の湯が満ちていました。

 洗い場で洗身して湯に浸かりましたが、湯温計は42.0℃を表示し、個人的にはもう少し熱めが好きですが、一般的には適温でしょう。
 アンモニア臭とヨード臭が入り混じった芳香が漂う湯は、ツルスベ感があって気持ち良く、強塩泉ですので、当然ながらなめれば強烈な塩辛さです。
 中浴槽はオーバーフローがありませんでしたが、大浴槽は浴槽の縁からオーバーフローが十分にあり、掛け流し気分で湯を楽しむことができました。
 浴室は空いていて、浴槽を独り占めし、気兼ねなく湯と対話することができました。

 その後は露天風呂に移動。ここも無人で、巨石風呂を独り占めしました。注湯口から注がれた湯量に比べると少なめでしたが、浴槽の縁に切られた排湯口から湯がオーバーフローされていました。
 日が暮れて暗くなる曇り空を見上げながら、ここでも湯と語り合い、心にたまった疲れを吐き出しました。

 広くないサウナは常連さんんで賑わっていましたので利用せず、十分に湯を楽しんで浴室を後にしました。

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 令和元年7月21日付の分析表によりますと、源泉名は、紫雲寺温泉。泉質は、ナトリウム-塩化物強塩泉(高張性中性高温泉)です。
 源泉温度は、54.8℃。PHは、6.8。湧出量は、89L/分(動力揚湯)で、掘削深度は、1330.5mとのことです。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 5.0、Na 11800、K 421.8、NH4 454.6、Mg 144.9、Ca 803.4、Sr 5.4、Ba 3.2、Al 0.0、Mn 0.3、Fe(II) 4.5、Cu 0.0、Zn 0.0、F 0.0、Cl 22000、Br 146.5、I 97.3、NO2 0.0、NO3 1.4、HS 0.0、HSO4 0.0、S2O3 0.1、SO4 3.3、HPO4 0.0、HCO3 659.0、CO3 0.0、メタケイ酸 121.9、メタホウ酸 121.0、遊離CO2 87.8、遊離H2S 0.0 などで、ガス性除く成分総計は、36794mg/kgです。
 源泉温度が高いので、40℃位になるよう指示計で制御し、水道水を加水、入浴に適した温度に保つため加温、設定温度から2℃下がると加温、衛生管理と浴槽内の温度を維持するため、常に循環濾過装置を使用、衛生管理のため、塩素系薬剤による消毒を実施、定められた濃度になるように、タイマーで調整、非塩素系薬剤を1日に1回併用して消毒、浴槽の換水・清掃は男湯と女湯を交互に毎日実施、浴室内は毎日清掃、水質検査は2カ月に1回実施し、結果をフロントに掲示、入浴剤は使用していない と掲示されています。
 なお、毎回書いていますが、よう化物イオンが97.3mg/kgと高濃度であり、よう素泉の基準(10mg/kg)をはるかに上回りますので、正しい泉質名は、含よう素-ナトリウム-塩化物強塩温泉となります。

 湯上りには、ロビー奥の休憩スペースでひと休み。

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 空いていてリラックスできました。

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 1階奥にある休憩用広間は閉鎖されていました。

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 2階に上がりますと、食事処は閉鎖されていましたが、休憩用広間はこれまで通りに利用されていました。

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 食事ができなくなったのは残念ですが、その他はこれまで通りに運営されており、安心しました。
 今後の運営がどうなるのかは心配ですが、素晴らしい源泉と施設を、今後も維持し発展させていただきたいと思います。

 いつしか夜も更けて、夕闇の中、国道113号線を進み、蓮野ICからバイパスに上がり、快適なドライブで家路に着きました。