ラジウム泉を楽しむ 村杉温泉「長生館」

 仕事帰りのひと風呂。いつものワンパターンでは面白くありませんので、今回は久しぶりに村杉温泉の「長生館」を利用してきました。
 コロナ禍前は、頻回に宿泊や宴会で利用し、このブログの登場回数も多かったのですが、久しく利用しておらず、たまには行かねばということで、行ってきた次第です。前回は2019年12月でしたので、4年7か月ぶりにもなります。我ながら驚きです。

 村杉温泉といえば、ラジウム温泉、正確に言えばラドン温泉ですが、昔ながらの静かな温泉街が魅力です。
 この村杉温泉の魅力と課題については、2017年に阿賀野市で開催された温泉学会でパネリストとして発表させていただいたのも記憶に新しいところです。
 手軽に楽しむなら共同浴場の「薬師乃湯」や、旅館「あらせい」などが人気ですが、浴室や露天風呂を楽しむなら「長生館」が一番でしょう。
 最近は立ち寄り入浴にも力を入れており、公式サイトにも立ち寄り湯専用のページもあって、利用しやすいのが良いですね。

 ということで、仕事を早めに切り上げて、国道290号線を村杉温泉へと進み、温泉街の中心にある「長生館」に到着しました。

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 広い駐車場に車をとめて、玄関に向かいます。

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 玄関を入りますと、右手にフロントがありますので、立ち寄り湯を願いますと、快く迎えてくれました。

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 入浴料金は、大人1000円、小人600円でタオル別です。フェイスタオル(販売)は300円、バスタオル(レンタル)は300円です。
 6枚で5000円の回数券があり、受付では回数券の利用を勧められました。スタンプ6個で、次回の入浴が無料になるスタンプカードがあり、回数券とスタンプカードを併用すれば、5000円で7回利用できる計算になりますので、非常にお得です。

 立ち寄り湯の営業時間は、昼は11時~14時まで(受付13時まで)で、夜は18時~21時まで(受付20時まで)です。
 休止日やイベントについては、立ち寄り入浴の専用ページで告知されていますので、お確かめください。

 なお、前日までに予約をすれば、立ち寄り入浴であっても、昼のみ別料金(40分2000円)を追加すれば、貸し切り露天風呂の利用も可能です。
 また、1回120分で5500円+入浴料と、かなり高額ですが、テントサウナも利用できます。これも前日までの予約が必要です。

 ロビーを抜けて、左奥の通路の先にある浴室に向かいます。

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 左が女湯、右が男湯に固定されています。

 脱衣場には、脱衣棚に脱衣籠があります。洗面台にはドライヤーがありますが、備品は乏しいです。

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 浴室に入りますと、正面に大浴槽があり、ガラス壁で開放感があります。

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 壁際に仕切りなしの洗い場が8か所あり、ボディソープ、シャンプー、リンスがあり、ほかにシャワーが2か所あります。

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 宿泊客は、夕食の時間ですので、順次浴室から出て行かれ、大浴槽を独り占めできました。

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 無色透明無味のお湯は、若干のカルキ臭を感じます。

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 湯温は、せいぜい40~41℃程度と思われましたが、はじめはぬるく感じるものの、浸かっているうちに、体の芯からジワーっと温まってきます。これが村杉温泉特有の感覚です。

 温まったところで、露天風呂に移動しました。このトンネルの先に露天風呂があります。

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 このトンネルの壁には、以前は無教養な私には理解できなかった芸術的と思われる絵が描かれていたのですが、今は消されてシンプルになっています。

 トンネルを抜けますと、広い空間が広がり、手前部分は屋根付きの大きな露天風呂があり、手前の小さな浴槽は非加熱源泉浴槽になっています。

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 名物の鯉を見ながら湯を楽しみます。

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 蝉の鳴き声を聴きながら、しばし湯を楽しみましたが、内湯で感じた体の芯への響きは、露天風呂では感じられません。
 非加熱源泉浴槽にも浸かりました。冬は冷たくて浸かれたものではありませんが、この時期には良いですね。

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 内湯をもう一度楽しみ、浴室を後にしました。

 さて、2021年8月31日付の分析書によりますと、源泉名は、薬師乃湯3号井。泉質は、単純弱放射能温泉(低張性アルカリ性低温泉)。源泉温度 25.3℃。湧出量 239L/分(掘削自噴)。PH 8.5。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.0、Na 50.3、K 1.4、NH4 0.3、Mg 0.3、Ca 31.2、Sr 0.3、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F0.6、Cl 16.6、Br 0.1、I 0.0、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 0.8、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 135.6、HPO4 0.1、HCO3 37.2、CO3 0.0、メタケイ酸 26.1、メタホウ酸 0.1、遊離CO2 0.2、遊離H2S 0.0、など、ガス性除く成分総計は301mg/kgです。そのほかに、ラドン(Rn)を 89.9 x10-10Ci/kg(24.7マッヘ単位)含みます。

 源泉供給方法に関しての記載によりますと、源泉は自噴しており、薬師の足湯付近の貯湯タンクにポンプを用いて圧送し、貯められた源泉は加圧ポンプを用いて、道路埋設配管で当館に供給(供給量は毎分20L)しているそうです。
 源泉は入浴に適した温度に加温して浴槽に供給、衛生管理と温泉資源の保護を目的として循環ろ過装置を使用、レジオネラ菌等の細菌繁殖防止のために塩素系薬剤による消毒処理を実施、加水処理や入浴剤の使用なし、とのことです。
 
 源泉の利用に関する情報としては、源泉は入浴に適した温度に加温して浴槽に供給、衛生管理と温泉資源の保護を目的として循環ろ過装置を使用、レジオネラ菌等の細菌繁殖防止のために塩素系薬剤による消毒処理を実施、加水処理や入浴剤の使用なし、とのことです。

 低温泉ですので、加熱・循環は仕方ないですが、露天風呂に非加熱源泉浴槽を設けているのは良いことだと思います。ただし、ラドンは空気中に放散されますので、露天風呂での効能は少ないと言わざるを得ません。
 やはり、締め切った内湯でこそラドン温泉の効能を期待できます。実際に、内湯では、湯温は高くないものの、体の芯にズシンと響いてくるような感覚を感じ、温まりが良くて、汗がじっとりと出てきます。長時間の入浴でなくても疲労感を感じるのは、この温泉ならではの効果だと思います。

 湯上りにはロビーでひと休み。私と入れ替わりに浴室に向かう女性の立ち寄り入浴客が数人おられ、けっこう賑わっているようでした。

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 ロビーの隅に飲泉所があります。

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 紙コップがありますので、喉を潤しました。

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 味はありませんが、美味しくいただきました。

 ロビーの隣の宴会場からは、賑やかな声が聞こえてきました。コロナ禍以降、未だに宴会は自粛していますが、飲んで騒いでいた頃を懐かしく思い出します。

 静かな温泉街の細道を通って、国道290号線に出て、帰宅の途につきましたが、汗はなかなか引きませんでした。
 色も香りも味もなく、一見して特徴のない村杉温泉ですが、大きな特徴があることを実感し、大きな満足感をいただきました。ラジウム温泉侮れずですね。