ツクツクホウシを聴きながら 「スノーピーク温泉」

 三条市の下田市街から、案内板に従って、細いアクセス道路を進みますと、突然視界が開け、スノーピーク本社に併設された広大なキャンプフィールドが広がります。
 その奥に「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」があります。長すぎますので、いつものように、スノーピーク温泉と呼ばせていただきます。
 このスノーピーク温泉は、スノーピークのブランドイメージそのままに、高級感に溢れており、魅力的な温泉です。
 気軽に立ち寄り湯という場所ではなく、それなりの料金ですので、頻回には行くことはできませんが、ときどき恋しくなって利用させていただいています。今回も今年の4月以来、久しぶりに楽しませていただきました。

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 駐車場に車をとめて、振り返りますと、よく手入れされた広大な緑の平原に圧倒されます。

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 右横に宿泊用のヴィラ棟が3棟、モバイルハウス(住箱)が4棟が並んでいますが、明かりが灯っていました。
 高級過ぎて私には無縁ですが、グランピングを楽しまれている方がおられるようで、うらやましい限りです。
 いつの日にか泊まってみたいと思っていますが、もうこの年ですので、叶わぬ夢でしょうね。

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 玄関前には、バス停があります。

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 隈研吾さん設計による斬新なデザインの建物は、何度来ても圧倒されます。

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 ちょっと怖気づきながら玄関に向かいます。

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 玄関を入りますと、ガラス張りの館内にスノーピークの製品が並んでいて、雑然とした雰囲気です。ここにソファでも並べて休息できるようにすれば良いのにと、いつも思っています。奥にレストランがあるのですが、私のような貧乏人には用はありません。

 さて、玄関を入って左奥に進みますと、券売機が2台並んでいています。通常料金は、タオルセット付きで1600円ですが、新潟県民割引を利用しますと1400円で利用できます。
 オープン当初は、かなり高いと思いましたが、値上げラッシュが進んだ現在では、かなりのお得に感じてしまいます。
 「スパ&ラウンジ長潟」のビジター料金は2200円ですし、「ヴィネスパ」の休日料金は、タオルなしで1500円ですものね。

 ロッカーキーとタオルセットを受け取り、階段を降ります。

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 正面に浴室入り口、右側は食事処、そして左側に下足箱がありますので、靴を入れます。

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 脱衣場のロッカーキーと下足箱の鍵は共通です。浴室は、ときに男女が入れ替わりますが、今回はいつものように、右が男湯でした。

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 入口にロッカーキーをかざしますと、扉が開きます。

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 中に入りますと、シックな落ち着いた雰囲気で、高級感が漂っています。ダークブラウンのロッカーは、スチール製ですが、扉は木製です。
 中央に高級感を感じさせる手洗いのシンクが背中合わせに4つずつ2列並び、それぞれに鏡とドライヤーがあります。このシンクと対面する形で、鏡とドライヤーが並んでいます。
 他に、紙コップ式の飲水機があり、コップをかざしますと、水が出ます。隣にあるゴミ箱のふたも電気式で、アメニティ類も含めて、全てが高級仕様です。

 では、浴室に入りましょう。浴室に入りますと、右側に洗い場が4か所ずつ3ブロックが直線状に並び、ボディソープ、シャンプー、コンディショナー、洗顔ソープが、高級そうな容器に入って置かれています。
 鏡は正面でなく、左側に配されており、高さが低く抑えられているため、洗い椅子に座った状態で、外の景色を眺めることができるようになっています。
 シャワーやカランはデザイン優先で、使いにくさを感じます。洗い椅子、洗い桶は。当初は新潟県産の杉製でしたが、昨年から樹脂製になってしまいました。それでも椅子はどっしりと重厚感があり、高級感が感じられます。

 浴室の左側には、手前に水風呂、その奥にサウナがあります。右奥の窓際には、長細い大浴槽があります。浴室の外側は、全面ガラス壁で、外の景色が一望できます。

 洗い場で洗身して、大浴槽に浸かりました。浴槽は左右に長く、外側の縁は細くて、浴槽に浸かって外を眺めますと、湯面と景色が一体化します。
 無色透明ながら、軽い薬味と薬臭を感じる湯は、体感で41℃程度の柔らかな湯です。
 浴槽の底の手前側4か所から加熱源泉が注入され、外側4か所から吸引されています。
 右奥の天井から伸びた金属パイプから非加熱源泉が注がれており、その分は浴槽の縁からオーバーフローされているようです。

 非常に重いドアを2つ開けて外に出ますと、すぐ右に露天風呂があります。
 浴槽の外側の縁はなく、湯に浸かりますと、湯面と景色が一体化するインフィニティ風呂になっています。
 浴槽の底の2か所から加熱源泉が供給されていて、外側2か所から吸引されています。手前側中央の金属製の注湯口からは非加熱源泉が供給されており、その分だけオーバーフローされています。
 湯温は、内湯よりは熱めで、よく温まりました。景色を見ながらの入浴は、泉質を論じる以上の喜びを感じます。

 その後は、サウナへ。サウナ室の中央にサウナストーブがあり、サウナストーンが高く積まれています。周囲は8角形の木製の柵で囲まれています。
 このサウナストーブを囲むように席が作られており、外側はガラス張りで、日本三百名山の粟ヶ岳を見ながら汗を流すことができます。
 バケツの水と柄杓が置いてあり、ロウリュすることができますが、今回は蒸気の上がりが悪かったです。

 サウナ後は、シャワーで汗を流して水風呂へ。階段状に深くなっていて、奥は120cmの深さです。浴槽の底から冷たい水が供給されていますが、天井からのパイプからは、非加熱源泉が注がれていました。

 水風呂の後は、外に出てクールダウン。スノーピークブランドのデッキチェアが8脚が2列で、合計16脚並んでいます。
 椅子に座って、眼前に広がる下田の里山風景と後方の粟ヶ岳、その左の白山を眺めながら、クールダウン。アブラ蝉に代わってツクツクホウシの鳴き声が賑やかでした。

 サウナは2クール楽しみ、入浴もたっぷりと楽しんで、浴室を後にしました。

 平成29年7月25日付の分析書によりますと、源泉名は、雪峰温泉。泉質は、単純温泉(低張性・弱アルカリ性・低温泉)、源泉温度は、32.4℃で、使用温度:内風呂42℃、露天風呂43℃です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li <0.1、Na 147.5、K 10.7、NH4 3.2、Mg 4.6、Ca 11.0、Sr 0.1、Ba 0.3、Al <0.1、Mn <0.1、Fe(II) 1.3、Fe(III) <0.1、F <0.1、Cl 231.6、Br 1.4、I 0.5、HS <0.1、S <0.1、S2O3 <0.1、SO4 13.4、HCO3 84.0、CO3 0.2、メタケイ酸 83.6、メタホウ酸 1.0、メタ亜ヒ酸 <0.1、遊離CO2 19.0、遊離H2S <0.1 など、ガス性成分総計は594.7mg/kg(溶存成分総計 613.8mg/kg)です。(掲示では、成分総計がg/kgで表示されていましたが、通常のmg/kgに直しました。)
 湯使いについては、加水なし、加温あり(適温を維持するため)、循環あり(温泉資源の確保と衛生管理のため)、消毒あり(衛生管理のため塩素系消毒を実施)とのことです。

 開業当初に使用されていた源泉は、ナトリウム-塩化物冷鉱泉(源泉温度 18.3℃、ガス性除く成分総計が1582mg/kg)でした。加熱循環されていましたが、淡黄色透明で、わずかな芳香があり、トロトロ感・ツルスベ感があって、自己責任でなめてみますと、軽い塩味がある魅力的な湯でした。それが、昨年から現在の源泉に代わりました。この辺の紆余曲折については前回のブログに書いていますのでご覧ください。

 入浴後に休憩や仮眠ができる設備があると良いのですが、休める場所がないのが、ここの最大の欠点です。奥の食事処で休めるのですが、メニューは高額すぎて、手が出ません。

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 自販機はないので、飲み物を飲もうとすると、高額なメニューから選ばねばならず、貧乏な私は、脱衣場でたっぷりと水を飲んで我慢しました。

 タオルを返却ボックスに返して、下足箱から靴を取り出して、ロッカーキーを返却ボックスに投入しますと、退館手続きは終了です。

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 館内で休息できませんでしたので、車の中で休憩して、帰途に着きました。

 館内の高級感、浴室、サウナの充実度など、魅力に溢れた温泉です。値段分の満足感は得られますが、食事処がもう少し庶民的だと良いですね。
 まあ、スノーピーク・ブランドの高級感が売りの施設ですので、これで良いのでしょうけれど。

 なんだかんだと言いながら、時々利用させていただいております。また時期をみて楽しませていただきたいと思います。