はて? 内湯も白濁! 咲花温泉「佐取館」

 五泉市の外れ、阿賀野川河畔に静かにたたずむ温泉街。咲花温泉は、ひなびた静かな空気感が魅力でもあります。
 良質な硫黄泉が魅力ですが、日帰り温泉施設はなく、温泉を楽しむには、旅館に宿泊するか、立ち寄り入浴をお願いすることになります。
 私も、ときどき入浴させていただいていますが、先日の夜に、「佐取館」を利用してきました。前回利用したのが5月でしたので、4か月ぶりになります。

 国道49号線から馬下橋を渡って、阿賀野川の対岸に出て、川沿いを進み、咲花温泉へと向かいます。
 JR咲花駅前から、暗い温泉街を進みますと、「ホテル丸松」の手前に「佐取館」専用の広い駐車場がありますので、ここに車をとめます。

DSC_0043.JPG
 駐車場はガラガラでしたので、営業しているのか心配しながら奥に歩いて行きますと、明かりがついた「佐取館」が静かに迎えてくれました。

DSC_9985.JPG
 小規模な数軒の温泉旅館があるだけの咲花温泉の中で、一番大きく、豪華そうに感じられる旅館です。

DSC_0041.JPG
 玄関を入りますと、右にフロントらしくないフロントがあります。

DSC_0040.JPG
 通常料金は1000円なのですが、「秋のごせんスタンプラリー2024」の割引クーポンを利用して、500円で利用できました。

DSC_0045.JPG
 5月に利用したときは、「春のごせんスタンプラリー」で割引利用しましたが、今度は秋です。せっかく半額になるのですから、これを利用しない手はなく、今回の利用を決めた理由でもあります。
 なお、立ち寄り入浴の利用時間は、昼は11:00~15:00までで、最終受付は14:00です。夜は18:00~21:00までで、最終受付は20:00です。

 エレベーターで5階に上がりますと、大浴場があります。

DSC_9988.JPG
 左が「水鏡」、右が「花鏡」で、さらに右奥に貸し切り露天風呂が2つあります。時間帯により男女が入れ替わり、宿泊しますと両方楽しめます。今回の男湯は、阿賀野川に面して眺めが良いメインの「水鏡」でした。

DSC_9989.JPG
 宿泊客は少ないようでしたし、夕食の時間帯でしたので、浴室の利用者はなく、完全なる貸し切り状態で利用できました。
 
 脱衣場には、脱衣棚に脱衣籠。

DSC_0017.JPG
 洗面台には、ドライヤーのほか、整髪料等が備えられています。

DSC_0035.JPG
 浴室の中に入りますと、大浴槽のほか、右手前に仕切り付きの洗い場が3か所だけあります。

DSC_0028.JPG
 この浴室に入ってびっくり。いつもは無色透明な大浴槽が、何と白濁しているではありませんか!

DSC_0031.JPG
 この旅館は何度も利用していますが、こんなことは初めてです。この内湯は地下水の沸かし湯なので、白濁しようもないのですが、どうしたことでしょう。
 この内湯は、2面ガラス張りで、阿賀野川、対岸の国道49号線に磐越道、眼下に磐越西線等を見渡すことができます。5階ということもあって、展望は抜群であり咲花温泉随一です。しかし、夜でしたので、外は真っ暗。国道を走る車のライトしか見えませんでした。

 身体を洗って、早速湯に浸かりました。臭気は感じられず、自己責任でなめましたが、味は感じられませんでした。

DSC_0019.JPG
 湯温は低く、40℃程度に感じました。それでも、長く浸かっていますと、それなりに温まりました。

 注湯口を見ますと、大小2つのパイプから湯が供給されていました。

DSC_0027.JPG
 大きい方はぬるく、小さい方は高温でした。なめてみましたが味はありませんでした。
 おそらくは、小さいパイプからは源泉が供給されているのではないかと推測しました。その硫黄分が浴槽内で酸化されて白濁を生じたものと思いますが、真相は如何に・・。

 続いて、露天風呂に移動。露天風呂前にも洗い場が4か所ありますが、ここは仕切りなしです。

DSC_9994.JPG
 戸を開けて外に出ますと、木枠のある長方形の露天風呂があります。

DSC_9995.JPG
 いつもは淡緑色透明なのですが、今回は緑白色に混濁していました。注湯口から注がれた湯は、浴槽の縁から十分量がオーバーフローされていて、掛け流しされています。

DSC_0033.JPG
 咲花温泉での混濁湯は、ほかの旅館では経験したことがありますが、「佐取館」では、個人的には初めてだったように思います。
 湯温は、内湯同様にぬるく、40℃程度で、源泉の注湯口付近で温まりました。この日は風が強く吹いていましたので、ぬるさをさらに感じやすかったものと思います。

DSC_9996.JPG
 温泉は生き物ですから、硫黄泉の場合は、その日のコンディションによって湯色が変わったり、混濁したりすることはありますが、内湯も露天風呂も混濁湯になっていて驚きでした。

 平成26年10月26日付けの分析表によりますと、源泉名は,咲花温泉6号。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)です。源泉温度 48.3℃、使用位置 42℃で、PHの記載はありません。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.2、Na 233.1、K 7.0、NH4 0.8、Mg 0.8、Ca 75.7、Sr 1.2、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.7、Cl 286.4、Br 0.9、I 0.4、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 20.5、HSO4 0.0、S2O3 7.6、SO4 281.7、HPO4 0.2、HCO3 45.2、CO3 0.0、メタケイ酸 55.5、メタホウ酸 3.4、遊離CO2 2.5、遊離H2S 3.7 など、ガス性除く成分総計は、1022mg/kgです。
 加水なし、加温なし、循環ろ過装置の使用なし、入浴剤・着色剤使用なし、塩素消毒なし、浴槽の換水・清掃は毎日実施、レジオネラ菌・大腸菌の検査は年1回以上実施とのことです。

DSC_0034.JPG
 露天風呂では、加温・加水なしの源泉を、消毒なしで、そのまま味わえるというのは最高ですね。
 内湯は地下水を使用との掲示がされていますが、どうして白濁しているのか不明です。源泉が混合されているように思うのですが、どこにもそのような掲示はありませんでした。

 独り占めの湯を堪能し、贅沢な時間を過ごして浴室を後にしました。湯上りには、浴室前のロビーにある給水器で喉を潤しました。

DSC_0036.JPG
 他に客はなく、従業員の姿も見えず、しーんとした静かな空気で満たされていました。

DSC_0037.JPG
 エレベーターで1階に降り、誰もいないロビーラウンジを眺めて退館しました。

 咲花温泉の中にあって、鮮度の良さでいうなら「柳水園」が一番でしょうが、何分狭いですし、昭和レトロの古さを風流と感じる心構えが必要です。一般人が楽しむなら、こちらの方がお勧めでしょう。
 通常料金は大人1000円ですが、12月2日までは「秋のごせんスタンプラリー」をやっていますので、割引クーポンが使用できます。この機会にご利用はいかがでしょうか。
 なお、クーポン付きのガイドブックは、五泉市内の観光施設に置いてありますのでご覧ください。