県内最強のモール泉! 復活した「三島谷温泉」

 長岡市の西部の山間にある「三島谷温泉 永久荘」は、経営者が高齢となり、後継者もいないことから、2023年12月24日(日)をもって閉館し、昭和35年の開館以来、63年の歴史に幕を閉じました。
 この日は、魚沼市の五十沢温泉「ゆもとかん旧館」が閉館した日でもあり、新潟県の温泉にとりましては、特別な日になりました。
 両館とも、新潟の温泉遺産として末永く残すべきな魅力ある温泉でしたので、閉館の報を聞いて、悲しみに暮れました。

 このまま月日は流れ、季節は移り変わりましたが、三島谷温泉が新しい経営者の下で営業を再開するという情報が流れ、大きな喜びを感じました。
 そして、ついに7月26日(金)に営業を再開し、私の運営する「新潟県内日帰り温泉おすすめ情報」の掲示板に、新しいご主人様からの投稿(1290の記事)をいただき、すぐにでも駆けつけたかったのですが、なかなか行く機会がありませんでした。
 そして先日、近くに行く用件があり、遅くなりましたが満を持して行って参りました。2023年6月に訪問して以来になります。

 長岡市と旧西山町を結ぶ県道23号線沿いにあり、長岡市街からですと、国道8号線を柏崎方面に進み、大積一交差点で右折して、県道23号線を進み、北陸道の下をくぐって進んだ先の左手の、小さな橋を渡った先に「三島谷温泉」があります。小雨降る某日の夕方に到着しました。

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 駐車場に車をとめて、玄関へ。

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 玄関を入り、下足棚に靴を入れて、スリッパに履き替えて入館しました。玄関ロビーの擦り切れた赤い絨毯はきれいに張り替えられていました。

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 まだお若そうなご主人が出て来られましたので、入浴料の600円を払って左奥の浴室に向かいました。なお、営業時間は、11時から20時までです。

 館内は、通路の絨毯がきれいになっているほかは、従来のままの様でした。浴室も従来通りでした。左が男湯、右が女湯です。

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 浴室の前に洗面台があり、ドライヤーもあります。

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 館内にはほかに客はなく、以後、退館するまでの間、終始の独占入浴を楽しみました。

 脱衣場には、脱衣棚に脱衣籠。

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 あとは、小さな鏡付き手洗いがあるのみです。

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 ドアを開けて浴室に入ります。

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 浴室内に入りますと、黒湯をたたえた浴槽があり、窓の外に見える緑が落ち着きを感じさせます。

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 注湯口から加熱源泉が注がれていますが、循環式ですので、オーバーフローはありません。

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 浴槽の湯を洗面器ですくってみますと、醤油色といいますか、コーラ色です。

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 洗い場は2ヵ所あり、ボディソープとリンスインシャンプーがあります。

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 ここに非加熱源泉の蛇口があります。

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 浴室の壁は、高度経済成長していた昭和の時代に流行ったガラスのブロックで造られています。

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 浴槽の湯は40℃程度のぬる湯ですが、長く浸かっていますと、ジーンと温まってきます。
 稲藁のようなモール臭と味があり、透明度は10cmくらいと濃厚です。ツルスベ感があって、肌触りは良好です。

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 しばし、湯に浸かって、湯と対話し、県内最高のモール泉を堪能しました。湯上りのさっぱり感は、炭酸水素塩泉ならではです。

 脱衣場には、令和6年6月7日付の新しい分析書が掲示されていました。

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 源泉名は、三島谷温泉。泉質は、ナトリウムー炭酸水素塩冷鉱泉(低張性弱アルカリ性冷鉱泉)。源泉温度 20.2℃(気温 16℃)、使用位置 40.0℃(浴槽での温度)。湧出量 20.5L/分(掘削自噴)。PH 7.9。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.1>、Na 332.0、K 19.8、NH4 5.3、Mg 1.9、Ca 4.8、Sr 0.1>、Ba 0.1>、Al 0.1>、Mn 0.1>、Fe(II) 0.4、Fe(III) 0.1>、Cu 0.1>、F 0.7、Cl 21.3、Br 0.2>、I 0.2、HS 0.1>、S 0.1>、S2O3 0.1>、HSO4 5.0>、SO4 5.0>、HCO3 869.1、CO3 5.2、メタケイ酸 74.9、メタホウ酸 2.1、メタ亜ヒ酸 0.1>、遊離CO2 18.4、遊離H2S 0.1> など、ガス性除く成分総計は1338mg/kgです。

 湯の使い方についての掲示を確認するのを忘れましたが、加水なし、入浴に適した温度に保つため加温あり、衛生管理のため循環ろ過装置を使用、入浴剤なし、衛生管理のため塩素系薬剤使用 ということだと思います。

 独り占めの入浴を、気兼ねなく、思う存分に楽しみ、至福の時間を過ごしました。
 濃厚なモール泉は、佐渡の佐和田温泉と並んで、新潟県内でも最強だと思います。この素晴らしい源泉が復活して、再び楽しめるようになったことは大きな喜びです。

 浴室前には、従来同様に、古い分析結果と効能の看板が掲げられていました。

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 まだお若そうなご主人に、良いお湯だったとお話し、退館しました。

 昭和レトロな館内は、擦り切れた絨毯が張り替えられたほかは、旧来と同様であり、その魅力を維持していてくれています。
 新潟が誇るべき温泉であり、新潟の温泉遺産として、後世にまで残すべき温泉だと思います。
 全国の温泉ファンに自信をもってお勧めできる温泉であり、訪問をお勧めします。
 私はこうして記事を書き、陰で応援するしかないのですが、ご主人には、是非とも頑張っていただきたいと思います。