秋の夜長にラジウム泉を楽しむ 村杉温泉「長生館」

 新潟県阿賀野市の村杉温泉には、数軒の温泉旅館と共同浴場、足湯がありますが、歓楽的要素のない素朴な温泉街が魅力です。
 小規模旅館ばかりの中で、温泉街の中心で一番目立つのが「長生館」です。コロナ前は度々宴会利用・宿泊利用させていただいていたのですが、途絶えて久しくなります。
 「長生館」は、緑に囲まれた落ち着いた雰囲気が魅力であり、広大な庭園には圧倒されます。定期的にジャズ・ライブを開催したりと、活発な取り組みも特筆できます。
 そして、立ち寄り入浴にも力を入れており、回数券の販売や、スタンプカードなど、利用客への配慮も行き届いています。
 利用時間は、昼は11時~14時(15時まで入浴可)、夜は18時~20時(21時まで入浴可)で、立ち寄り入浴料金は大人1000円、小人600円でタオル別です。
 旅館の立ち寄り料金としては標準的だと思いますが、1000円ですと頻回に利用するのはためらわれますので、常連さんは回数券(6枚5000円)とポイントカード(スタンプ6個で1回無料)を併用して楽しんでいます。
 このほか、定期的に割引キャンペーンをやっていて、10月は、5日~14日の夜間利用は、大人800円、小人500円で利用できました。
 ということで、割引期間中の某日夜に、仕事帰りに立ち寄り湯してきました。前回利用したのは7月の末でしたので、2か月半ぶりでした。

 仕事を終えて、国道290号線から、ひっそりとした村杉温泉街に入り、中央に位置する「長生館」に到着しました。

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 薄暗い駐車場に車をとめて、玄関に向かいました。

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 中に入って、フロントで入浴料金(通常1000円のところ割引料金で800円)を払います。

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 ロビーの左奥に進んだ先に浴室がありますが、途中段差があり、バリアフリーではありません。

 右が男湯、左が女湯です。

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 脱衣場、浴室とも無人で、独占状態でしたので、写真を撮らせていただきました。

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 広くはない脱衣場には、脱衣棚に脱衣籠がずらり。奥の洗面台にはドライヤーがあります。

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 浴室に入りますと、無人で、静かな空気で満たされていました。

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 浴槽には無色透明無味で若干のカルキ臭がある湯が満ちており、注湯口から源泉が注がれ、浴槽の縁からオーバーフローされていました。循環湯のはずなのですが、このときは十分量のオーバーフローがあり、掛け流しになっていました。

 洗い場は、仕切りなしで、壁際に合計8か所あり、ボディソープ、シャンプー、コンディショナーがあります。

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 浴槽の湯は、40~41℃程度のぬるめで、一見すれば特徴のない湯に思えますが、村杉温泉のパワーは侮れず、体の芯からジワーっと温まり、汗が噴き出てきます。
 締め切った浴室内には、ラドンが充満しているはずであり、ラジウム泉(ラドン泉)の効果をダイレクトに得られるものと思います。

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 聞こえるのは浴槽に注がれる湯の音のみ。独り占めの入浴を楽しみ、早くも大きな満足感をいただきました。

 十分に堪能した後は、露天風呂です。「長生館」の魅力は、何と言っても緑に囲まれた露天風呂でしょう。

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 このトンネルを抜けた際に広大な露天風呂の空間が広がります。この演出が憎いですね。

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 露天風呂には大小2つの浴槽があり、小浴槽は非加熱源泉が掛け流しされています。
 露天風呂の手前側には屋根があり、奥に注湯口があるほか、浴槽内の各所の底に加熱源泉の注湯口があります。

 浴槽内には、手前の岩のほか、奥の注湯口に向かって泳ぐ鯉のモニュメントがあり、露天風呂と言うより、鯉が泳ぐ池にいるかのような気分にさせてくれます。
 夜間で周囲は真っ暗でしたが、緑に囲まれて、シーンと静まり返った露天風呂は、そこにいるだけで癒されるように感じます。

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 非加熱源泉浴槽に浸かりますと、最初は冷たいですが、次第に気持ち良く感じてきて、リラックスできます。

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 大浴槽と小浴槽を交互に浸かっていますと、乱れた自律神経はリセットされて、ストレスも束の間ながらも解消されます。

 さて、2021年8月31日付の分析書によりますと、源泉名は、薬師乃湯3号井。泉質は、単純弱放射能温泉(低張性アルカリ性低温泉)。源泉温度 25.3℃。湧出量 239L/分(掘削自噴)。PH 8.5。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.0、Na 50.3、K 1.4、NH4 0.3、Mg 0.3、Ca 31.2、Sr 0.3、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F0.6、Cl 16.6、Br 0.1、I 0.0、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 0.8、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 135.6、HPO4 0.1、HCO3 37.2、CO3 0.0、メタケイ酸 26.1、メタホウ酸 0.1、遊離CO2 0.2、遊離H2S 0.0、など、ガス性除く成分総計は301mg/kgです。そのほかに、ラドン(Rn)を 89.9 x10-10Ci/kg(24.7マッヘ単位)含みます。

 源泉供給方法に関しての記載によりますと、源泉は自噴しており、薬師の足湯付近の貯湯タンクにポンプを用いて圧送し、貯められた源泉は加圧ポンプを用いて、道路埋設配管で当館に供給(供給量は毎分20L)しているそうです。
 源泉は入浴に適した温度に加温して浴槽に供給、衛生管理と温泉資源の保護を目的として循環ろ過装置を使用、レジオネラ菌等の細菌繁殖防止のために塩素系薬剤による消毒処理を実施、加水処理や入浴剤の使用なし、とのことです。
 
 源泉の利用に関する情報としては、源泉は入浴に適した温度に加温して浴槽に供給、衛生管理と温泉資源の保護を目的として循環ろ過装置を使用、レジオネラ菌等の細菌繁殖防止のために塩素系薬剤による消毒処理を実施、加水処理や入浴剤の使用なし、とのことです。

 低温の源泉ですので、加熱・循環は必須ですが、露天風呂の小浴槽では非加熱源泉の掛け流しを楽しめます。
 以前に比して、ラドンの含有量は減っているのですが、それでも体の芯に、ズシーンと響いてくるパワーを感じられます。
 そんなに効くのかと疑問に思う方もあろうかと思いますが、実際に体験してみて下さい。なによりも、心を無にして、効くと思って湯に浸かるのが大切です。

 露天風呂を楽しみ、内湯でもう一度良く温まって浴室を出ようとしたときに、ようやく次の客が来られ、その後も着衣している間に、もう1組の客が来られました。非常にいいタイミングで独占入浴できて幸運でした。

 噴き出る汗をぬぐいながら、浴室を後にしましたが、ぬるい湯ながらも、汗が止まらないというのはすごいですね。

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 ロビーの右奥に飲泉所がありますので、1杯いただきました。

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 ただの地下水にしか思えませんが、効くと思って飲めば、効いてきます。

 夜間の時間帯は、宿泊客は夕食中ですので、時間帯を選べば、混み合わずにゆったりと寛げます。この満足感は、混雑する共同浴場では得られず、旅館の立ち寄り湯ならではの利点です。
 内湯に露天風呂と、十分に楽しめば、1000円という料金分以上の満足感を感じることができますし、今回のように800円の割引料金ならなおさらです。
 
 立ち寄り湯は、予約なしで利用できますが、休館日や利用できない日がありますし、割引キャンペーンの日や、ライブイベントなどもありますので、公式ホームページの中の、立ち寄り入浴専用ページでお確かめください。

 大きな満足感とともに、静かな温泉街を抜け、国道290号線に出ました。つかの間の癒しの世界から、ストレスが待つ現実世界に戻りましょう。