これぞ咲花温泉! 泉質で選べば「柳水園」

 五泉市の外れ、阿賀野川河畔にひっそりと佇む咲花温泉は、良質な硫黄泉が魅力です。
 この咲花温泉の源泉の魅力を味わうなら「柳水園」が最高だとこのブログで何度も紹介していますが、今回再びその思いを新たにしましたので、また記事にさせていただきます。

 先日の夜、仕事を終えて、ひと風呂浴びて帰ることにしましたが、硫黄泉が恋しくなり、今回は咲花温泉へと車を進めました。
 咲花温泉には数軒の旅館がありますが、夜間の立ち寄り湯となりますと、選択肢は限られます。
 その中で、先回は「佐取館」を利用しましたので、今回は「柳水園」にしました。前回利用したのは5月でしたので、半年もご無沙汰していました。

 国道49号線から馬下橋で阿賀野川を渡り、左折して川沿いの道を進みますと、咲花温泉に到着します。
 咲花駅前を通り過ぎて温泉街へと進みましたが、「望川閣」を過ぎますと、真っ暗で人影はなく、静かな空気に満たされていました。
 暗くて入り口がわからないほどでしたが、明かりがついた小さな看板を頼りに「柳水園」への細い坂道を上りました。

DSC_0152.JPG
 坂を上がった先に無舗装の広場があり、静けさの中に玄関の明かりが優しく迎えてくれました。

DSC_0150.JPG
 真っ暗な広場の片隅に車を止めて玄関へ向かいました。

DSC_0147.JPG
 ガラス戸を開けて入館。

DSC_0072.JPG
 スリッパに履き替え、奥から出てきた女将さんに料金を払いました。

DSC_0144.JPG
 料金は、今年の4月から値上げされて、大人600円、小人300円で、6枚で3000円の回数券もあります。営業時間は、9時~20時30分までです。
 咲花温泉の「湯巡り手形」が、11月1日から3回分1500円が1800円になるとの掲示もありました。

 玄関の左手には、「柳水園」の名付け親である作家の尾崎士郎の書による額が掲げられています。

DSC_0142.JPG
 廊下を直進して、奥の浴室へと向かいます。

DSC_0074.JPG
 ステンレスの洗面台の先に浴室があります。

DSC_0078.JPG
 手前が男湯、奥が女湯です。

DSC_0081.JPG
 3段の階段を降りた先が脱衣場で、脱衣棚に脱衣籠があります。洗面台にはドライヤーがありますが、ほかに備品はありません。

DSC_0082.JPG
 革張りのソファがありますが、脱衣場には似合いませんね。

DSC_0092.JPG
 浴室に入りますと、もうもうと湯気が立ちこめていて、浴槽には淡緑色透明な湯が満ちていて、ほのかな硫化水素臭が立ちこめていました。

DSC_0116.JPG
 洗い場はご覧の通りに2か所あり、ボディソープ、リンスインシャンプー、固形石けんがあります。

DSC_0119.JPG
 古ぼけた、年代物のケロリン桶が積み重ねられています。

DSC_0118.JPG
 朽ち果てた壁が過ぎ去った年月を感じさせますが、皆様はどう感じますでしょうか。

 浴槽の隅にある注湯口から源泉が注がれています。

DSC_0122.JPG
 そして、浴槽の縁からオーバーフローされています。

DSC_0120.JPG
 湯温は43~44℃と高めで、キシキシと身体にしみてきます。小さな浴槽に、生の源泉がそのまま注がれ、十分量が掛け流されていますので、鮮度は抜群です。

DSC_0125.JPG
 先日利用した「佐取館」の露天風呂も掛け流しでしたが、5階まで汲み上げた湯は、その間にぬるくなってなまっています。さらに露天風呂ですので、さらに冷やされて、酸化も進み、源泉は劣化しています。それでも魅力的でしたが・・。
 同じ掛け流しでも、「柳水園」は引き湯した源泉を、消毒剤の添加もなく、小さな浴槽にダイレクトに流していますので、鮮度の良さは抜群です。
 この湯こそが、正真正銘の咲花の湯であり、この鮮度の良さは「柳水園」でしか味わえません。

 平日の夜ということもあってか、館内にはほかに客はなく、完全なる貸し切り状態でした。
 浴室・浴槽を独り占めして、浴槽を出たり入ったりしながら、心ゆくまで源泉を楽しみました。

 平成26年10月26日付けの分析表によりますと、源泉名は,咲花温泉6号。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)。源泉温度 48.3℃、使用位置 46.3℃で、PHの記載はありませんでした。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.2、Na 233.1、K 7.0、NH4 0.8、Mg 0.8、Ca 75.7、Sr 1.2、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.7、Cl 286.4、Br 0.9、I 0.4、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 20.5、HSO4 0.0、S2O3 7.6、SO4 281.7、HPO4 0.2、HCO3 45.2、CO3 0.0、メタケイ酸 55.5、メタホウ酸 3.4、遊離CO2 2.5、遊離H2S 3.7 など、ガス性除く成分総計は、1022mg/kgです。
 加水なし、加温なし、循環ろ過なし、入浴剤の使用なし、温泉の入れ替えを毎日行っており消毒剤の使用なし、浴槽は毎日換水し浴室は毎日清掃、レジオネラ属菌と大腸菌群の検査を年1回以上実施とのことです。

 無添加・無加工、何の手も加えていない正真正銘の生の源泉が、十分量掛け流しされています。
 朽ち果てた壁は、ぼろぼろと崩れそうで、決してきれいとは言えませんが、湯に浸かっていますと、これもまた魅力に感じられます。

DSC_0126.JPG
 小さな浴槽以外何もありませんが、この源泉を前にして、これ以上何を望むことがありましょうか。

 狭い浴室ですので、混み合うと決してリラックスできませんが、空いていれば最高の喜びを感じることができます。
 今回は終始独り占めできましたので、他の客に気兼ねすることなく、思う存分湯を楽しむことができました。

 噴き出る汗を拭きながら浴室を後にし、女将さんに挨拶して退館しました。最高の湯をいただいた喜びとともに、真っ暗で人通りのない温泉街を抜けて、家路につきました。

 温泉の楽しみは入浴だけでなく、館内設備など総合して考えるべきではありますが、純粋に入浴だけに限れば、ここが一番であることは明らかです。
 このブログを読んで下さるような風流人なら、この魅力を理解していただけるものと確信しています。