夕暮れの粟ヶ岳を望んで 「加茂 美人の湯」

 今月初めの振り替え休日の夕方、この日は仕事だったのですが、業務を終えた後にひと風呂楽しんで帰ることにしました。
 どこに行くか思案しましたが、今回は思い立って加茂市の「加茂 美人の湯」に行ってきました。前回行ったのが7月でしたので、4か月ぶりになります。

 この温泉は、2002年11月のオープン以来、その変遷を見守ってきましたが、その歴史は源泉トラブルの歴史であり、幾多の存続の危機を乗り越えて現在に至ります。源泉の管理用のやぐらを撤去して、背水の陣で臨んでいます。
 この歴史を語り出すと長くなりますので、詳細は過去記事を検索してくださればたくさんの記事が出てきますのでご覧ください。
 2021年4月1日に、新しい指定管理者の下で「加茂七谷温泉 美人の湯」として再オープンして現在に至りますが、その後も源泉汲み上げポンプの故障があったりとトラブルからは逃げられないようです。

 加茂川沿いに国道290号線を粟ヶ岳に向かって進み、右折して下田方面へ進む国道から分かれて直進し、日が傾いてきて薄暗くなった中に「加茂 美人の湯」に到着しました。

DSC_0081.JPG
 駐車場からは粟ヶ岳が一望できました。

DSC_0078.JPG
 車をとめて玄関に向かいました。

DSC_0082.JPG
 毎回同じことを書いていますが、玄関を入りますと、ギリシャの神殿のような円柱が立ち並び、2階吹き抜けの公共温泉らしからぬ豪華な館内に圧倒されます。

DSC_0092.JPG
 右側にある下足箱に靴を入れて、混雑していた受付へ。

DSC_0093.JPG
 入館料は、大人800円、小人300円で、平日17時以降は大人600円、小人200円になります。タオルセット150円、館内着150円です。

 浴室に行く途中、ロビーからは夕日に照らされた粟ヶ岳が望めました。

DSC_0095.JPG
 廊下を進んだ一番奥に浴室があります。

DSC_0103.JPG
 二つの浴室は左右対象形で基本構造は同じですが、浴槽の形に違いがあり、手前の浴室の浴槽は曲線ですが、奥の浴室の浴槽は直線でデザインされています。また、内湯にあるサウナが、手前はドライサウナであるのに対して、奥はミストサウナという違いもあります。
 今回の男湯は、奥の浴室でした。撮影できませんので、浴室内の様子については以前のブログをご覧ください。

 広々感のある脱衣場にはスチール製ロッカーが多数あります。洗面台には無料のドライヤーのほかに、県内各地に浸潤している例の5分100円の赤いダイソンドライヤーが1台あります。ヘアブラシが置いてあるのは良いですね。そのほか紙コップ式の飲水機があります。

 浴室に入りますと、外側はガラス壁になっていて、ガラス越しに露天風呂や外の景色を眺めることができます。
 浴室の左側には、すぐ手前にスチームサウナがあり、その奥に洗い場があります。正面にはかぶり湯、右側には、水風呂、ジャグジー風呂、そして奥にL字型の大浴槽があります。

 洗い場は、仕切り付が10か所、仕切りなしが12か所あり、PHOENIXブランドのボディソープ、シャンプー、リンスがあります。

 メインの大浴槽には、無色透明な湯が満ちています。角にある丸い柱の根元に注湯口があり、源泉が注がれているほか、浴槽内にも源泉の注入があります。浴槽の一部は浅くなっていて、寝湯としても利用できます。
 湯温は40~41℃程度でぬるめで、薬臭があり、自己責任でなめますと、薬味と薄い塩味が感じられ、トロトロ感と多少のツルスベ感があります。
 後で紹介する分析表から想像される源泉の性状とは大きく異なり、相当に加水されていると思われます。少なくとも10倍以上には希釈されているように想像します。
 浴槽の湯に不満はありますが、源泉トラブルの歴史を知る者としては、許容すべきことだと理解しています。

 スチームサウナは、室温50℃ほどですが、スチームの効果で、温熱作用に優れ、タオルで身体を煽りますと、ロウリュしてアウフグースしたかのように感じました。

 そして、外にはガラス壁を隔てて内湯に接するような形で露天風呂があり、内湯同様に無色透明な湯が循環使用されています。
 露天風呂の外側の塀は、敷地の遠くに設置されていますが、粟ヶ岳の眺望が塀に邪魔されないようにとの配慮だと思います。ただし浴槽に入った状態では見えませんし、次に紹介するサウナや木々が邪魔して、眺望は良くありません。
 
 この露天風呂の外側の空き地に、昨年10月6日から増設されて使用を開始されたハニカムサウナがあります。
 既製品のサウナを運び込んで設置したものと思いますが、6角柱を横にしたような木製のサウナで、奥に円形のサウナストーブがあり、黒いサウナストーンが積まれています。その外側に窓が作られていて、外を眺めることができます。
 最初は先客の一人と一緒でしたが、3分ほどで出ていかれ、以後は私だけの独占となりました。定員8人のサウナを独り占め。室温は85℃程度で、ロウリュもできませんので、ほどほどの熱さでしたが、砂時計を見ながら十分に温まりました。
 奥のサウナストーブの前で、窓の隙間から夕暮れの粟ヶ岳を見ながら、汗をたっぶりと流しました。次の客が来るまで頑張ろうと思いましたが、なかなか来られず、10分ほど我慢して、外に出ました。

 冷水を浴びて露天風呂横にある椅子でクールダウンし、もう一度サウナを楽しもうと思いましたが、坊主頭の若者グループがサウナに入って行きましたので断念しました、
 その後は、露天風呂に内風呂と、十分に楽しみ、浴室を後にしました。

 さて、平成29年3月9日付けの分析表によりますと、源泉名は、加茂美人の湯(源泉100%)。泉質は、含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物強塩・炭酸水素塩冷鉱泉(高張性中性冷鉱泉)。源泉温度22.1℃、湧出量6.0L/分(自然湧出)、pH6.8 です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.7、Na 9409、K 129.3、NH4 12.2、Mg 18.8、Ca 388.0、Sr 10.3、Ba 0.8、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 1.9、Cu 0.0、Zn 0.0、F 12.1、Cl 12150、Br 47.8、I 4.5、NO2 0.0、NO3 0.1、HS 1.2、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 332.3、HPO4 0.0、HCO3 5370、メタ珪酸 10.6、メタ硼酸 41.4、遊離CO2 1134、遊離H2S 1.7 など、ガス性除く成分総計は 27941mg/kg です。
 スケールを防止するため、高濃度の温泉を肌にやさしいマイルドなものにするため、高濃度の温泉なので機器の保全等のため、必要な加水を実施。入浴に適した温度に保つため加温を実施。衛生管理のため循環ろ過装置を使用。衛生管理のため塩素系薬剤を使用。とのことです。

 なお、硫化水素イオンが1.2mg/kg、遊離硫化水素が1.7mg/kgあり、総硫黄を概算しますと、2.76mg/kgと硫黄泉の基準の2mg/kgを超えますので、正確には泉質名に「含硫黄」も付けるべきです。

 この分析書を見ますと、新潟県内では珍しい含二酸化炭素泉であり、炭酸水素イオンもトップクラスであり、硫黄分も多く、数字を見るだけで狂喜乱舞してしまうのですが、浴槽の湯はこの面影がないのがつらいところです。この分析書は見なかったことにして、素直な気持ちで温泉を楽しみましょう。

 さて、湯上がりには休憩場所には事欠きません。ロビーーの椅子でTVを見ながら休むことができますが、安楽椅子のある休憩所もあります。

DSC_0102.JPG
 私は、粟ヶ岳を眺望しながらロビーでひと休みしましたが、この眺めが大好きで、これがこの温泉に来る楽しみにもなっています。

DSC_0104.JPG
 2階に上がって、食事処の右横の休憩所でひと休みしましたが、和傘のディスプレイがきれいでした。

DSC_0108.JPG
 しばし休憩し、最後に玄関ホールのネコに挨拶して退館しました。

DSC_0111.JPG
 浴室やほかの場所にもネコがいますので、ネコ好きの方は探してみるのも楽しいかと思います。

 外に出ますと、暗闇に包まれていていました。加茂川沿いに加茂の市街を抜けて、いつものように国道8号線まで直進して、快適なドライブで家に到着しました。
 となるはずでしたが、通り慣れた道ではありますが、試しにカーナビの指示通りに行こうと思いたちました。
 車のメーカーの純正カーナビなのですが、とんでもない道を指示されて、遠回りしてしまいました。加茂市街を抜けるのも一苦労。国道8号線以降も、とんでもない道に誘導され、改善が必要だと思いました。