咲花温泉独り占め 掛け流しを満喫「佐取館」

 咲花温泉と言えば「柳水園」が最高だと何度も書いていますが、温泉マニアは喜ぶでしょうが、一般人向けとは言い難い面があります。
 そこで他の旅館の選択肢を考えたときに、高級感もあって一般の人も利用しやすく、お勧めなのは「佐取館」です。
 9月にも記事にしたばかりなのですが、「秋のごせんスタンプラリー2024」の割引クーポンの利用期間が12月2日まででしたので、その前にもう一度利用しようと思い立ち、先日行って来ました。

 国道49号線から馬下橋を渡って阿賀野川の対岸へ進んで左折。対向車も来ない真っ暗な道路を川沿いに進み、JR咲花駅前を左折すれば咲花温泉に到着です。
 「望川閣」に明かりがついていたほかは、温泉街の通りは暗く、人通りはありませんでした。
 「柳水園」への坂道を過ぎて奥に進みますと、「佐取館」の駐車場がありますので車をとめました。平日夜でしたが、車が何台もとまっており、宿泊客が多いようでした。

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 「ホテル丸松」を左に見ながら道路を奥に進みますと、真っ暗な中に「佐取館」の明かりが迎えてくれます。

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 なかなか落ち着いたエントランスで、咲花温泉の数軒の旅館の中でも、一番落ち着きと高級感を感じます。
 歓迎のボードには、何組もの名前が掲示してありましたので、宿泊客が多いようでした。賑わって何よりと思います。

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 玄関を入りますと、右手に受付があります。

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 呼び鈴を鳴らしますと、奥から係の人が出て来られました。通常の立ち寄り湯の料金は1000円なのですが、「秋のごせんスタンプラリー2024」の割引クーポンを利用して、半額の500円で利用できました。
 立ち寄り入浴の利用時間は、昼は11:00~15:00までで、最終受付は14:00です。夜は18:00~21:00までで、最終受付は20:00です。

 奥に進みますとエレベーターがあります。

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 最上階の5階に上がりますと、大浴場があります。

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 人の気配は全くなく、スリッパ入れにスリッパはなく、浴室を利用している客はいないようでした。皆さんお食事を楽しまれているものと思います。

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 左右2つの露天風呂付きの展望大浴場があり、左が「水鏡」、右が「花鏡」と命名されています。そのほかに右奥に貸し切り露天風呂が2つあります。
 左の大浴場の内湯は2面ガラス張りで、開放感があって良いのですが、右の大浴場も落ち着いた雰囲気で魅力的です。時間帯により男女が入れ替わり、宿泊しますと両方楽しめます。
 夜の時間帯は、男湯はいつも左の「水鏡」ですので、私もそのつもりで中に入ろうと思ったのですが、なぜか今回は女湯になっていました。

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 暖簾の色がいつもと違ったピンク色であることに気付き、利用客はいないようでしたが、中に入らないで良かったです。白い下足棚にある黒い靴は私のものです。すぐに男湯側に移動しました。
 どうしてこうなったのかはわかりませんが、この日の宿泊客は女性が多く、男女を入れ替えたのかもしれませんね。
 ということで、今回の男湯は、右側の大浴場でした。ほかに客はなく、終始私だけの独り占めとなりました。

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 脱衣場には、脱衣棚に脱衣籠。鍵付き貴重品入れもあります。

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 洗面台にはドライヤー、ローション、整髪料等が備えられています。

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 浴室に入りますと、もうもうとした湯気が立ち込めていました。左の壁際に仕切りなしの洗い場がずらりと並んでいて、木製の洗い椅子、洗い桶が落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

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 各洗い場には、ボディソープ、シャンプー、コンディショナーのほか、酒粕美容パックなどもありましたが、男には用なしですね。

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 カランは黒く変色しており、硫黄泉のパワーを感じます。

 大きなガラス窓に面して大浴槽があります。景色は良いはずなのですが、真っ暗で見えませんでした。

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 湯は微白濁していました。先回利用した左側の大浴場の内湯も微白濁していましたが、こちらも同様です。

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 注湯口から注がれた湯は、木製の浴槽の縁の2か所に切られた排湯口からオーバーフローされています。

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 注湯口を観察してみますと、循環湯のほかに源泉の供給もあるようでした。

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 内湯は地下水の沸かし湯で、以前は無色透明だったのですが、現在は少量ながら源泉も使用されているようで、それが微白濁を生んでいるものと推測します。新源泉の投入分はオーバーフローされており、半掛け流し(循環・掛け流し併用)というところでしょうか。

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 無味無臭ではありましたが、湯温41℃程度で、気持ち良く湯を楽しめました。循環湯とは言え、鮮度は高く感じられました。
 湯に浸かっていますと、眼下を走る磐越西線を、列車がディーゼル音を立てて通過していきました。

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 露天風呂に移動。円形の浴槽に、濁りのないエメラルドグリーンの湯が満ちていました。

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 注湯口から注がれた源泉は、浴槽の縁からオーバーフローされ、掛け流しされています。源泉100%、非加水・非消毒の湯は鮮度は抜群です。

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 源泉は非加熱で使用されており、湯温は41~42℃程度です。源泉温度は48℃位あるはずですが、5階まで引き湯している間に湯温が下がり、さらに外気に吹き曝しになっている露天風呂ですので、湯温がさらに下がっているものと思います。
 左の大浴場の四角い露天風呂よりこちらの浴槽は狭く、その分湯の鮮度が高く保たれているように感じ、この浴槽の満足度は高く感じました。
 源泉かけ流しの浴槽を独り占めし、柔らかな硫黄泉である
咲花温泉の魅力を、思う存分に満喫することができました。

 十分に湯を楽しみ、浴室を後にしました。湯上りには、浴室前でひと休み。

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 冷水器の水で喉を潤しました。

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 さて、平成26年10月22日分析終了と書かれた分析表によりますと、源泉名は,咲花温泉6号。泉質は、含硫黄-ナトリウム・カルシウムー塩化物・硫酸塩温泉(弱アルカリ性低張性高温泉)です。源泉温度 48.3℃、使用位置 42℃で、PHの記載はありません。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.2、Na 233.1、K 7.0、NH4 0.8、Mg 0.8、Ca 75.7、Sr 1.2、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 1.7、Cl 286.4、Br 0.9、I 0.4、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 20.5、HSO4 0.0、S2O3 7.6、SO4 281.7、HPO4 0.2、HCO3 45.2、CO3 0.0、メタケイ酸 55.5、メタホウ酸 3.4、遊離CO2 2.5、遊離H2S 3.7 など、ガス性除く成分総計は、1022mg/kgです。
 加水なし、加温なし、循環ろ過装置の使用なし、入浴剤・着色剤使用なし、塩素消毒なし、浴槽の換水・清掃は毎日実施、レジオネラ菌・大腸菌の検査は年1回以上実施とのことです。

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 この分析表は露天風呂の湯に関してのものです。内湯浴槽に関しては、循環ろ過加水加温方式で、地下水を使用し、塩素による殺菌消毒をしている旨の掲示があります。

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 でも、実際の浴槽の湯は微白濁しており、源泉も使用されているものと考えられますが、いかがでしょうか。
 最近咲花温泉の旅館の閉館が続き、源泉の使用量に余裕ができて、内湯にも使用できるようになったのではないかと勝手に想像したりしています。
 ともあれ、内湯も微白濁の湯になり、成分や実際の効能は別にして、視覚的に楽しめるようになったのは良いことだと思います。

 温泉は生き物ですから、硫黄泉の場合は、その日のコンディションによって湯色が変わります。先回利用時の露天風呂は緑白色に混濁していましたが、今回は濁りのない透明感のあるエメラルドグリーンでした。
 今回は明らかに湯の鮮度が高く、「柳水園」の湯をぬるくしただけのような、肌に染み入るような鮮度感を感じました。

 タイミングも良く、完全に独り占めの湯を楽しめましたし、鮮度の高い湯を堪能し、咲花温泉の魅力を、きれいに整えられた浴室で味わうことができました。
 今回はいつもの左側の大浴場ではなく、右側の大浴場でしたが、こちらの大浴場の魅力を再認識することができたのも良かったです。
 そして何より、通常の1000円でも満足感が高いところを、今回は半額の500円で楽しむことができました。
 この秋のキャンペーンは12月2日までですが、また来年には春のキャンペーンが始まるものと期待しています。

 咲花温泉には日帰り温泉はありませんので、旅館の立ち寄り湯か、宿泊しての利用しかありません。
 鮮度からいえば「柳水園」が間違いないですが、昭和レトロの朽ち果てた浴室で、非常に狭く、タイミングが悪いと常連さんで混雑することも多いです。
 温泉巡りに慣れていない人には敷居が高く、利用しにくいかもしれませんので、一般の方は「佐取館」が気持ち良く利用できてお勧めです。皆さんも是非お楽しみください。