村杉温泉で雪見風呂 「風雅の宿 長生館」

 五頭連峰の麓にひっそりとたたずむ温泉街。阿賀野市の村杉温泉は、その素朴さが魅力です。
 温泉街の中心には「共同浴場 薬師乃湯」があり、手軽に村杉温泉楽しめるのが魅力ですが、狭くて混み合うのが難点です。
 立ち寄り湯を受け付けている旅館の利用も便利ですが、敷居の高さを感じてしまいます。
 そんな村杉温泉街の中にあって、一番規模が大きい温泉旅館が「長生館」であり、立ち寄り入浴も積極的に受け入れてくれています。
 料金は1000円と若干高めではありますが、期間によっては800円になりますし、浴室の充実度を勘案しますと、値段分は十分に楽しめるものと思います。

 ということで、先日の夜に行ってきました。前回は12月に行ったばかりなのですが、今年最初ということでご容赦下さい。
 国道290号線から細道を入って村杉温泉街に入りますと、ひときわ目立つのが「長生館」です。

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 看板を目印に奥へと入りますと「長生館」の建物があります。

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 駐車場に車をとめて、玄関へ。

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 玄関を中に入りますと、右手にフロントがありますので、料金を払います。

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 入浴料金は、大人1000円、小人600円でタオル別ですが、毎月800円に割り引かれる期間がありますので、公式サイトで確認して利用されると良いと思います。
 フェイスタオル販売300円、バスタオル貸し出し300円です。
6枚で5000円の回数券の販売があり、スタンプ6個で次回無料になるスタンプカードがあります。
 利用時間は、昼は11時~14時(15時まで入浴可)、夜は18時~20時(21時まで入浴可)です。
 この日は800円の期間中で、スタンプカードのスタンプが2個の日でしたのでラッキーでした。

 左奥に進み、数段の階段を上がりますと浴室への通路があり、その先に浴室があります。正面に「ぬる湯が自慢です」との看板が出ています。

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 右が男湯(長寿の湯)、左が女湯(薬師の湯)で固定されています。下足棚に靴を入れ脱衣場に入ります。

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 脱衣場には、脱衣棚に脱衣籠があります。先客は1人だけのようでした。洗面台にはドライヤーがあります。

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 浴室に入りますと、もうもうと湯気が立ちこめていました。2面がガラス窓で、雪に覆われた外を見渡すことができました。

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 洗い場は仕切りなしで、壁際に5か所+3か所で計8か所あり、泡タイプのボディソープ、シャンプー、コンディショナーがあります。ほかにシャワーが2か所あります。

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 洗身して内湯に浸かろうと思いましたが、先客が1人湯に浸かっておられましたので、先に露天風呂を楽しむことにしました。

 トンネルを抜けて外に出ますと露天風呂があり、手前側には屋根があります。

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 露天風呂は無人で、終始独り占めできました。浴槽は深めで、顎まで浸かることができます。湯温は41℃程度で、大きな浴槽の湯を、真冬にこの温度に保つのは大変だろうなと考えながら湯に浸かっていました。

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 鯉のモニュメントを眺めながら、雪見風呂を堪能しました。大きな露天風呂を独占でき、場所を変えながらたっぷりと湯を楽しみ、湯と語り合いました。

 十分に温まったところで、非加熱源泉が掛け流しされている小浴槽に浸かりました。

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 この季節には厳しい温度ではありますが、思い切って浸かりますと、身体に馴染んできます。温浴・冷浴を交互に繰り返して、身体を「ととのえ」ました。

 内湯に戻りますと無人で、浴室を独り占めできました。もうもうとした湯気とともに、空気中にあると思われるラドンを吸い込みました。

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 注湯口から注がれた湯は、浴槽の縁から十分量がオーバーフローされていて、鮮度も高く感じます。

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 湯温は40~41℃程度で、露天風呂より若干低めですが、身体の芯にズシンと響いてくる感覚があり、ただのお湯でないことが実感されます。
 ゆったりと湯に浸かっていますと、ジトーと汗が滲み出てきて、身体の芯から温まり、疲労感を感じてきます。まさに、これがラジウム泉(ラドン泉)の魅力です。

 注湯口の横で目を閉じて湯と対話し、瞑想にふけっていますと、日帰り客と宿泊客が、合わせて7~8人が次々に入って来られました。
 一気に浴室は大混雑になりましたので、入れ代わりに浴室を後にしました。ちょうど良いタイミングで独占入浴できて幸いでした。

 さて、2021年8月31日付の分析書によりますと、源泉名は、薬師乃湯3号井。泉質は、単純弱放射能温泉(低張性アルカリ性低温泉)。源泉温度 25.3℃。湧出量 239L/分(掘削自噴)。PH 8.5。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.0、Na 50.3、K 1.4、NH4 0.3、Mg 0.3、Ca 31.2、Sr 0.3、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F0.6、Cl 16.6、Br 0.1、I 0.0、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 0.8、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 135.6、HPO4 0.1、HCO3 37.2、CO3 0.0、メタケイ酸 26.1、メタホウ酸 0.1、遊離CO2 0.2、遊離H2S 0.0、など、ガス性除く成分総計は301mg/kgです。そのほかに、ラドン(Rn)を 89.9 x10-10Ci/kg(24.7マッヘ単位)含みます。

 源泉供給方法に関しての記載によりますと、源泉は自噴しており、薬師の足湯付近の貯湯タンクにポンプを用いて圧送し、貯められた源泉は加圧ポンプを用いて、道路埋設配管で当館に供給(供給量は毎分20L)しているそうです。
 源泉は入浴に適した温度に加温して浴槽に供給、衛生管理と温泉資源の保護を目的として循環ろ過装置を使用、レジオネラ菌等の細菌繁殖防止のために塩素系薬剤による消毒処理を実施、加水処理や入浴剤の使用なし、とのことです。 
 源泉の利用に関する情報としては、源泉は入浴に適した温度に加温して浴槽に供給、衛生管理と温泉資源の保護を目的として循環ろ過装置を使用、レジオネラ菌等の細菌繁殖防止のために塩素系薬剤による消毒処理を実施、加水処理や入浴剤の使用なし、とのことです。
 低温の源泉ですので、加熱・循環は避けられませんが、露天風呂の小浴槽では非加熱源泉の掛け流しを楽しめるのは良いですね。

 無色透明の湯で、一見何の特徴もないように感じる湯ですが、湯気を吸入し、ぬるめの湯にじっくりと浸かっていますと、体の芯に響くように温まり、汗が噴き出てきます。疲労感も感じて、温泉のパワーを実感します。
 この感覚が、まさに村杉温泉の魅力であり、湯気とともにラドンを吸入できる内湯でその効果をより感じることができます。

 湯上がりにはロビーに移動しました。

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 飲泉所で、「長生の湯」をいただき、のどを潤しました。

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 ロビーから庭の雪景色を眺め、ひと休みして退館しました。

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 村杉温泉の源泉は、無色透明無味無臭で、一見ただの地下水にしか思えませんが、湯気を吸入し、ぬるめの湯にじっくりと浸かっていますと、体の芯に響くように温まり、汗が噴き出てきます。疲労感も感じて、ただの湯でないことを実感します。
 その効果は、締め切られた内湯で強く感じられます。露天風呂に掛け流しの非加熱源泉浴槽があり、生の村杉温泉を味わうことができるのは素晴しいですが、せっかくのラドンが大気中に放散されてしまうのは残念です。

 足湯は別にして、村杉温泉を安く味わうなら共同浴場がありますが、設備的に劣り、混雑してリラックスできません。
 ゆっくり、ゆったりと楽しむなら旅館の立ち寄り湯がお勧めですが、その中でも「長生館」が露天風呂もありますし、設備的に一番充実しています。
 料金は高めですが、800円のときを狙えば回数券を買うよりお得ですし、スタンプカードもあります。皆さんもいかがですか。