3月30日で廃業! 「白根温泉 関根旅館」

 新潟市南区の田園地帯の真ん中に「白根温泉 関根旅館」があります。まさかあの場所に温泉が湧出しているとは、誰も想像できないものと思います。
 大正6年(1917年)の開湯といいますから、今年で108年の歴史になります。地元の方には、地名である引越の温泉として親しまれていました。
 かつて大相撲の巡業で力士が宿泊し、小錦関が浴槽に浸かったところ、ほとんど湯がなくなってしまったという伝説が地元では伝えられています。
 現在は宿泊営業しているのかは定かでないですが、日帰り温泉として、常連さんでいつも賑わっています。
 私もときどき利用させていただいており、2月の初めに利用したばかりなのですが、3月1日付で、3月30日で廃業するとの発表があり、悲しみに暮れているのは私だけではないものと思います。
 廃業までのカウントダウンが始まり、是非とも行かねばという思いが募るばかりで、先日行って来ました。

 駐車場に車をとめて、奥に進みます。

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 「しろねの」と書かれたこの黄色い看板も見納めでしょうか。

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 何度も通った「関根旅館」ですが、入浴利用だけでしたので、正面玄関から入ることはありませんでした。

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 右に入浴客用の入口があります。右の休憩室に一旦入り、そこで靴を脱いで、中に入ります。

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 館内に入りますと、手前に男湯、奥に女湯があります。

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 その奥に受付らしき場所があります。

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 たいへん愛想の良い女将さんが、いつも迎えてくれますので、料金の600円を払います。言葉を交わして浴室へ。

 浴室に入りますと、脱衣棚に脱衣籠、洗面台があり、ドライヤーがあります。

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 この脱衣場に、廃業の案内が掲示されていました。

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 浴室の入口には「天下之名湯 白根温泉」とあります。

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 浴室には浴槽がひとつのみで、コーラ色の湯がためられています。

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 左側には洗面器類が積まれています。

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 手前の右側に洗い場が3か所あり、ボディソープとリンスインシャンプーがあります。

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 先客が1人おられましたが、すぐに出て行かれましたので、以後私だけの独り占めになりました。洗身して浴槽に浸かりました。

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 湯温はいつもより高めで、42~43℃位あって、よく温まりました。モール臭があり、ツルスベ感があり、なめればほどよい塩味がします。
 浴槽は深く、尻を底に着けますと、湯面は鼻まで来てしまい、尻を浮かせ気味にする必要があります。
 源泉のコックがあり、非加熱源泉で温度調整できますが、ぬるくしませんように。なめてみますといい味です。

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 次の客が来るまで浸かっていようと自分に課題を与えて湯に浸かり、じっくりと湯と対話しました。
 なかなか次の客が来ないで焦りましたが、頭がボーとする頃に次の客が来てくれて、のぼせないで済みました。

  廊下に温泉の分析書が掲示されていますが、結局最後まで平成19年11月14日付のものでした。
 源泉名は白根温泉。泉質はナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉(中性高張性冷鉱泉)で、源泉温度は15℃です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li <0.1、Na 3320、K 145、NH4 49.6、Mg 352、Ca 63.9、Sr 1.5、Ba 0.2、Al 2.1、Mn 0.3、Fe(II+III) 6.3、Cu <0.1、Zn <0.1、F 0.2、Cl 4972、Br 15.5、I 2.4、HS <0.1、S2O3 0.5、SO4 1.6、HCO3 3047、CO3 <0.1、メタ珪酸 62.8、メタホウ酸 9.9、遊離CO2 4.6 など、ガス性除く成分総計は12053mg/kgです。
 湯は加水なし、加温あり、循環装置使用あり、入浴剤なし、塩素系消毒剤使用ありとのことで、湯は毎日入れ替えて清掃しているそうです。

 浴室を出て、毎回女将さんに勧められる麦茶をいただき、女将さんに挨拶して休憩所に移動しました。

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 この休憩所には白根温泉に関する資料がいろいろあります。

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 廃業のチラシもありました。

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 何度も読み返しましたが、悲しいですね。

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 白根名物の凧の武者絵を見ながら、しばし休憩して、後ろ髪を引かれながら退館しました。

 新潟市内では珍しいモール泉で塩化物泉としての魅力も併せ持っています。知る人ぞ知る隠れた名湯であり、このまま消えてしまうのは残念でなりません。
 この源泉は、かつて、今はなき「メイワサンピアにローリーされて使用されていたことがありました。新潟駅前の「ドーミーイン」では、多宝温泉をローリーして、天然温泉を売りにしています。
 この源泉もどこかの温浴施設が有効利用してくれると良いのになあ、などと夢想しています。

 廃業まであとわずかです。皆さま方も、早目にご利用下さい。