これぞ新潟の温泉遺産 「新津温泉」

 新潟市内には、温泉が多数ありますが、全国に誇りうる名湯して、新津温泉を忘れることはできません。全国のアブラ臭ファンの聖地として崇められている温泉です。
 あまりにも個性的過ぎて、一般人には敷居が高いですが、このブログを読んで下さるような風流人なら、その魅力を理解いただけるものと思います。
 ということで、周期的に恋しくなり、先日久しぶりに訪問してきました。花水を利用するとき、必ず前を通るのですが、通り過ぎるばかりで、立ち寄ることはなく、昨年8月以来ですので、7か月ぶりでした。

 道路から小道を下りて行きます。

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 まさか、ここに温泉があるとは、初めての人は思わないでしょうね。前は無舗装の広場になっていますので、適当に車をとめましょう。

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 玄関の左に受付の窓口がありますので、料金を払います。

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 料金は、大人500円、子供300円ですが、子供向きとは思えません。

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 玄関を入り、右の下足棚に靴を置き、スリッパに履き替えで、廊下を奥に進みます。赤いじゅうたんが良い味を出しています。

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 左に広間があって休憩できますが、休憩は別料金になります。右に曲がりますと、浴室があります。

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 手前が女湯、奥が男湯です。

 中に入りますと、正面に鏡、その横に脱衣棚、その左にトイレ、奥にレトロなタイル張りの流し台があります。

 脱衣場は無人でしたが、ガラス戸越しに見える浴槽には先客が4人おられました。
 浴室は狭く、小判型の浴槽がひとつあるのみです。注湯口から注がれた源泉は、反対側の浴槽の縁から掛け流されています。
 洗い場としては、壁に蛇口があるのみで、石鹸類は全くありません。

 ガラス戸を開けて、浴室に入りますと、アフラ臭がプーンと香り、うっとりとします。
 洗面器で湯をすくって掛け湯をし、先客に挨拶して、隙間に入り込んで湯に浸からせていただきました。
 無色透明ながら、強烈なアブラ臭を発し、自己責任でなめますと、意外にも甘味を感じます。後から喉が渇きますので、飲んだりしませんように。
 湯温は40℃程度でぬるめで、先客の皆さんは、じっと目を閉じて、ゆっくりと浸かっておられました。
 私も目を閉じて、むせ返るアブラ臭にまみれながら、湯と対話するうちに、ジトーと汗が吹き出てきました。

 頭がボーとしてきたところで浴槽を出て、縁でひと休み。再び浸かり、アブラ漬けになったところで浴室を後にしました。

 2019年8月27日付の分析書によりますと、源泉名は、新津温泉。泉質は、ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(高張性弱アルカリ性高温泉)。源泉温度 43.8℃。湧出量 20L/分(掘削自噴)。PH 7.6。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.5、Na 4765、K 54.0、NH4 51.2、Mg 7.6、Ca 25.8、Sr 1.9、Ba 0.1、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 0.8、Cl 5410、Br 32.1、I 13.7、NO2 0.0、NO3 0.5、HS 1.3、HSO4 0.0、S2O3 0.5、SO4 10.3、HPO4 0.0、HCO3 2953、CO3 0.0、メタケイ酸 147.2、メタホウ酸 411.9、遊離CO2 124.4、遊離H2S 0.4、など、ガス性除く成分総計は13887mg/kgです。
 冬期のみ入浴に適した温度にするため、加温した上水道水を加えている。循環利用はしていない。入浴剤は使用していない。毎日換水し塩素系消毒剤を使用。浴槽での温度は42.3℃。との掲示がありました。

 前回も書きましたように、よう化物イオンを13.7mg/kg含み、よう素泉の基準を満たしますので、正しい泉質名は、含よう素ーナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉となります。

 退館して帰路につきましたが、身体に染み付いたアブラ臭が車内に充満し、さすがの私でも臭い過ぎに感じるほどでした。
 この強烈な個性は、全国に誇るべきものであり、新潟の温泉遺産として、末長く維持していっていただきたいですね。
 通常の温泉にもの足りない方にはお勧めしますが、それなりの覚悟を持ってご利用ください。