あれ? 水車がない! 桜も見納め 越後長野温泉「嵐渓荘」

 新潟の桜は、平野部では散って葉桜となりましたが、山間部はまだ満開の桜が持ちこたえています。
 こんな春の陽気に誘われて、まだ桜が見頃だった先日の昼下がりに、手軽に秘湯気分を味わえる宿として人気の「嵐渓荘」に行ってきました。前回行ったのが昨年の4月でしたので、1年ぶりになります。

 三条市街から下田市街を抜けて、五十嵐川沿いに国道289号線をさらに9kmほど進みますと、やがて直角にそそり立つ八木ヶ鼻の断崖絶壁が迫ってきます。
 そのまま直進して橋を渡りますと「いい湯らてい」ですが、案内板に従って手前で右折してしばらく進みます。
 守門川の橋を渡り、案内板に従って左折し、ぐるりと回って道路の下をくぐりますと、「嵐渓荘」の裏の駐車場に到着します。

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 昔は守門川の対岸から吊り橋を渡ってアクセスできたのですが、2011年7月の水害で流され、今となっては古き良き時代の思い出です。
 駐車場から玄関へと向かいますと、途中で日本秘湯を守る会の提灯が迎えてくれます。

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 木造3階建ての本館の緑風館は、国の登録有形文化財に指定されており、これについての案内板があります。

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 大きな桜がありますが、散り始めており、風に花びらが舞っていました

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 その横には雪が残っていて、冬の名残りと満開の桜との対比が風流でした。

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 水路沿いに渡り廊下の下を通って行きますと正面玄関があります。

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 登録有形文化財になっているだけあって、木造3階建ての本館は風格があり、見応えがあります。

 入館前に周囲を散策し、守門川の流れと桜にうっとりと見入りました。

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 敷地内を流れる水路に水車があり、その横に東屋があったはずでしたが、残念なことに水車はなくなっていました。

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 東屋は無残にもつぶれていました。豪雪の被害でしょうか。

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 あの水車が名物であっただけに、なくなってしまったのは残念ですね。

 玄関前に真木の清水があり、手ですくって、美味しくいただきました。

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 景色を眺めて、気分をリフレッシュして入館しました。玄関を入り、右の下足棚に、自分で番号札を付けて靴を置き、受け付けへ向かいます。

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 入浴料金は、大人1000円、小人700円で、フェイスタオル貸し出し付です。バスタオルは176円、浴衣は440円です。6枚で5000円の回数券もあります。
 私は例によって「温パラ」の割引クーポンで750円で入館できました。このクーポンを3回利用しますと、4回目は無料で入浴できます。
 入浴時間は、大浴場は、11時~14時30分で、山の湯の「石湯」は、11時~12時は男湯、13時~15時30分が女湯、「深湯」は、11時~12時は女湯、13時~15時30分が男湯です。

 まずは新館にある大浴場を利用しましょう。ロビーを抜けて奥に進んだ先に大浴場があります。

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 手前が男湯の「真木乃湯」、奥が女湯の「妙乃湯」です。ここで真木の清水を飲むことができます。

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 浴室横に、昭和弐年の歴史ある分析書が掲げられています。

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 脱衣場に入りますと、脱衣棚に脱衣籠、

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 洗面台にはドライヤー、ヘアブラシ、整髪料等があります。

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 内湯には大きな柱を取り囲むように大浴槽がひとつあるのみですが、大きなガラス窓からは露天風呂や外の景色眺めることができます。

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 壁際に仕切りなしの洗い場が左右4か所ずつ計8か所あり、ボディソープ、シャンプー、コンディショナーがあります。

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 洗身して大浴槽に浸かりました。先客が2人おられましたが、洗身している間に露天風呂に移動されて、内湯は私だけの独り占めになりました。

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 無色透明でほば無臭ですが、ツルスベ感があり、かなりの塩味があります。湯温は40~41℃程度ですが、あたたまりは良好です。
 浴槽の窓際に木製の枕があり、ここで横になって、寝湯を楽しめるのは良いですね。私も寝ころばせていただきました。

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 露天風呂も楽しもうと思ったのですが、先客の2人が占拠しておられましたので断念しました。

 気を取りなおして、離れにある浴室「山の湯」へ移動することにしました。

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 その前に、ラウンジでひと休みしましょう。

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 ここで温泉水使用したほうじ茶を飲むことができます。

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 大変美味しいですので、ここに来られましたら、是非ご賞味ください。

 玄関ロビー右の木造の急な階段を上がって2階へ上がり、渡り廊下を渡って別館に行きます。
 廊下を曲がりながら進んで鉄製ドアを開けますと、開放的な渡り廊下があり、この先に「山の湯」があります。

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 この廊下からの眺めがまた素晴らしいです。

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 守門川や本館の全景を眺めることができます。

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 ドアを開けて浴室棟に入りますと、室内にも関わらず坪庭が迎えてくれます。

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 浴室前に、トイレと休憩所があります。

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 浴室は、「石湯」と「深湯」の2つがあり、時間帯によって男女交互に使用されます。

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 前記しましたように、男湯は、11時~12時が「石湯」、13時~15時30分が「深湯」になります。今回は午後の利用でしたので、男湯は「深湯」でした。
 午前11時過ぎに来て「石湯」に浸かり、入れ替え時間に昼食と新館の大浴場を楽しみ、13時以降にここに戻って「深湯」を楽しむという裏技がありますが、そんなことはしたことはありません。
 私は11年前に1度だけ泊まったことがあり、そのときは両方の浴室を楽しませていただきました。

 木製の戸を開けて中に入りますと、先客はなく、幸運にも終始独り占めできました。脱衣場には脱衣棚に脱衣籠。洗面台にはドライヤーがあります。

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 木の香漂う浴室に入りますと、左に洗い場があります。

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 そして、右に木製の浴槽があり、注湯口から注がれた湯は、縁からオーバーフローされています。

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 木造の浴室の中の木製の浴槽。いい雰囲気ですね。

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 外には露天風呂がありますが、ここの名物ともいえる「深湯」です。階段を下りて湯に浸かります。底には丸い石が多数沈められています。

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 水深が130cmというかなりの深さですので、子供は利用できません。外には渓流が流れ、いい気分です。

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 外の景色を眺めながら、まどろみの時間を過ごしました。

 大浴場の日帰り入浴終了時間が近付いてきたところで、独り占めを狙って、再び新館大浴場へ行きました。
 先客がおられましたか、すぐに出ていかれ、その後は目論見通りに浴室を独り占めすることができました。再度内湯を楽しみ、先ほどは利用できなかった露天風呂を堪能しました。

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 露天風呂からは満開の桜が見えて、花見風呂を楽しみました。
 
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 渓流の音を聞きながら、湯に浸かり、湯と対話し、頭を空にしました。

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 雑念は消え去り、束の間ながらもストレス解消できました。

 さて、平成26年12月24日付の分析書によりますと、源泉名は、越後長野温泉及び越後長野温泉保男井戸の混合泉。泉質は、ナトリウム-塩化物冷鉱泉(高張性弱アルカリ性冷鉱泉)、源泉温度 13.8℃、使用位置 40℃、湧出量 48L/分(越後長野温泉 21L/分、越後長野温泉平成保男井戸 47L/分、動力揚湯)、PH 7.7 です。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.6、Na 1832、K 59.7、NH4 0.1>、Mg 145.2、Ca 133.7、Sr 0.7、Ba 0.7、Al 0.1>、Mn 0.6、Fe(II) 0.2、Fe(III) 0.1>、Cu 0.1>、F 0.2,Cl 7718、Br 28.1、I 2.3、HS 0.1>、S 0.1>、S2O3 0.7、HSO4 5.0>、SO4 19.0、HCO3 1303、CO3 5.0、メタケイ酸 39.1、メタホウ酸 31.3、メタ亜ヒ酸 0.1>、遊離CO2 43.6、遊離H2S 0.1> など、ガス性除く成分総計は14320mg/kgです。
 加水なし、洗い場に流れた分を常時補充するため新湯注入あり、入浴に適した温度に保つため加温あり、温度管理と温泉資源保護のため循環あり、入浴剤使用一切なし、源泉100%、消毒処理あり、2ヶ月毎に水質検査実施とのことです。

 泉質名には出ませんが、炭酸水素イオンの絶対量の多さは特筆すべきでしょう。冷鉱泉ですので、加熱・循環は避けられませんが、浴室の雰囲気も良く、何の不満もありません。

 温泉に別れを告げて、同様に退館する女性グループとともに玄関を出ましたが、入れ違いに宿泊客か到着されました。うらやましく思いながら、水路沿いに駐車場へと向かいました。

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 秘湯を後にして車を進めますと、右手に見える粟ヶ岳が雄大でした。

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 そして眼前に八木ヶ鼻が迫ります。

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 この断崖絶壁は、何度見てもすごい迫力ですね。

 渓流の横に佇む閑静な一軒宿。日本秘湯を守る会のまさに秘湯です。世間の喧騒からのがれ、静かな時間を過ごすには最適です。
 立ち寄り入浴にも力を入れてくれているのもありがたく、「温パラ」のクーポンも使えますので、是非ご利用されますことをお勧めします。