建て替え工事も佳境 出湯温泉「華報寺共同浴場」

 新潟県阿賀野市の出湯温泉は、弘法大師(空海)により809年に開湯したという新潟県内最古の歴史を誇る温泉地です。数軒の旅館と2つの共同浴場があり、昭和の空気感が漂う素朴で静かな温泉街が魅力です。
 温泉街の最奥には華報寺があり、その境内に「華報寺共同浴場」があります。かつてはお寺の檀家は顔パスで無料入浴できましたが、最近になって檀家も有料になりました。
 この「華報寺共同浴場」は老朽化が進み、立て直されることになり、現在隣に新しい共同浴場の建設工事が行われています。完成後は現在の共同浴場は取り壊され、駐車場になるようです。
 古いながらも風情ある現在の共同浴場を楽しめるのもあとわずかになりました。新潟の温泉遺産ともいえる魅力あるこの共同浴場を記憶と記録に残しておきたいと思い、先日の夕方に久しぶりに行ってきました。
 私の職場は阿賀野市にあり、出湯温泉は身近な温泉なのですが、その身近さが逆に作用して行く頻度が少なく、昨年9月以来10か月ぶりでした。こんなにも行っていなかったとは、自分でも驚いている次第です。

 国道290号線から出湯温泉の歓迎門を通って奥に進み、バス停の左奥にある駐車場に車をとめて、静かな温泉街を歩きました。
 温泉街の入り口には出湯温泉共同浴場がありますが、次の機会に利用させていただきたいと思います。
 温泉街にはかつて共同露天風呂や足湯もあったのですが、なくなって久しく、温泉街も空き地が多くなって、寂しさを禁じえません。

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 突き当りにある華報寺の境内に入って一礼し、右手の華報寺共同浴場に向かいました。

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 この風情ある建物とも、もうすぐお別れかと思いますと、感慨深く感じます。

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 左隣に新しい共同浴場を建設中で、すでに外観が出来上がっていました。

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 現在の共同浴場には洗い場がありませんが、今度はシャワー付きの洗い場がしっかりと造られるそうです。

 玄関前の券売機で入浴券を購入します。隣には貴重品入れがありますので、貴重品はここに入れましょう。

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 料金は、大人250円、小人150円、幼児50円です。定休日はなく、営業時間は、朝は6時から18時30分までで、朝湯を楽しめるのが魅力です。源泉の持ち帰りも可能です。

 左が女湯、右が男湯で、中に入り番台に入浴券を渡し、下足棚に靴を入れて脱衣場に入ります。

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 脱衣場には、鍵なしの木製脱衣ロッカーがあります。

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 小さな流しがありますがドライヤーはなく、ほかには腰掛と体重計、扇風機があるだけです。

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 脱衣場からはガラス戸越しに浴室内が見えます。先客が1人おられ、浴槽の脇で体を洗っておられました。

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 中に入り、窓際に並んだ洗面器で浴槽の湯をすくい、身体を清めて浴槽に浸かりました。
 女湯との境の岩組の上に弘法大師像があり、この岩組から源泉が注がれており、これとは別に、浴槽のの底から噴き上がるように源泉が供給され、浴槽の縁から大量に掛け流されています。
 無色透明無味無臭の湯は、体感で39~40℃位でしょうか。冬場はぬるく感じますが、夏場には結構高温に感じます。

 独占入浴できるタイミングを狙って、浴槽を出たり入ったりしました。その間に他の客が3人ほど入って来られましたが、営業終了間近のためか皆さん長湯はせず、さっと入浴・洗身して出て行かれました。
 営業終了時間は18時30分なのですが、他の客は順次帰って行かれ、18時25分頃から浴室は私だけの独占となりました。

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 ドバドバ源泉かけ流しの浴槽を独り占め。

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 弘法大師を見上げながら、至福のひととき。

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 本来はぬるめの湯のはずなのですが、ぬるさは感じず、十分に温まって、たっぷりと汗を流しました。

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 閉館時間を5分過ぎ、あわてて上がり湯をいただき、浴室を出ました。噴き出る汗を拭きながら、大急ぎで着衣して退館しました。

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 脱衣場には、2019年9月付(前回同様に日にちが消されています)の分析表が掲示されていました。
 源泉名は、出湯温泉 漲泉窟。泉質は、単純温泉(低張性弱アルカリ性温泉)。源泉温度 38.8℃。湧出量 252L/分(動力揚湯)。PH 8.4。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.0、Na 61.9、K 1.8、NH4 1.0、Mg 0.0、Ca 50.4、Sr 0.5、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 0.7、Cl 7.8、Br 0.0、I 0.2、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 0.0、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 224.1、HPO4 0.0、HCO3 26.9、CO3 3.0、メタケイ酸 41.9、メタホウ酸 0.0、遊離CO2 0.0、遊離H2S 0.0 など、ガス性除く成分総計は420mg/kgです。
 そのほか、ラドン(Rn)を11.9X10-10Ci/kg(3.27マッヘ単位/kg)含みますが放射能泉の基準(8.28マッヘ単位/kg)には足りません。

 加水なしで、常に新しい源泉水を給湯して利用。気温の低い季節は入浴に適した温度に保つため加温。循環ろ過装置の使用なし。毎日浴槽内の落水・清掃を実施。入浴剤は一切使用なし。塩素系薬剤による消毒なし。と記載されています。
 真夏のこの時期は、加熱されていないはずであり、非加熱源泉が消毒なしで掛け流しになっています。
 浴槽の大きさを考えますと、十分すぎる量が掛け流しされており、もったいなく感じるほどであり、鮮度の良さは抜群です。

 洗い場もなく、設備的には劣りますが、鮮度の高い源泉を掛け流しで楽しめるのですから、何の不満がありましょうか。
 この浴室とももうすぐお別れかと思いますと、寂しく感じます。新しい浴室には洗い場ができますが、どのようになるのか期待したいと思います。

 外に出て、夕日に照らされた共同浴場を振り返って眺め、この姿を目に焼き付けました。

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 華報寺を眺めて、心の中でお参りしました。

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 静かな温泉街を歩き、出湯温泉共同浴場に行く人とすれ違いながら駐車場に戻り、汗を拭きながら車を走らせました。

 なんだかんだ言っても、良い温泉ですよね。設備的には難はありますが、純粋に温泉を楽しみたい人にはお勧めの温泉です。