もうすぐお別れ 「華報寺共同浴場」

 新潟県阿賀野市にある出湯温泉は、弘法大師が錫杖をついて湧出させて809年に開湯したといわれる新潟県最古の温泉です。
 数軒の小規模温泉旅館のほか「出湯温泉共同浴場」と「華報寺共同浴場」があり、地元民の生活に根ざした温泉として親しまれています。
 温泉街の最奥に華報寺があり、この境内にあるのが「華報寺共同浴場」です。老朽化に伴い改築されることになり、すぐ隣に新しい施設の「華報寺の湯」が完成し、開業を待つばかりとなりました。
 当初の予定では昨秋に営業開始される予定でしたが、予定が遅れて今春に持ち越されました。
まだ具体的な開業日は発表されていませんが、近々であることは間違いありません。
 新施設の開業に伴って、老朽化した共同浴場は取り壊されることになっており、この共同浴場の営業は4月5日(日)までとなりました。
 営業終了へのカウントダウンが始まり、この素朴で風情がある共同浴場の姿を、私の記憶に刻み、お別れをするために、先日行ってきました。昨年7月に利用して以来8か月ぶりでした。

 国道290号線から出湯温泉への入口に歓迎門があります。

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 温泉街の左奥にある共同駐車場に車をとめて、温泉街を歩きました。

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 廃業した旅館などが取り壊されて空き地になっているのが寂しく感じられます。かつては「出湯共同露天風呂」や「弘法の足湯」もあったのですが、何年も経たずに無くなってしまったのは残念です。

 温泉街の最奥に華報寺があります。

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 この右隣に「華報寺共同浴場」があります。

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 この古びた建物とももうすぐお別れです。

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 この左には新しい施設が開業を待っています。

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 「出湯温泉 華報寺の湯」という名前になるようで、共同浴場の名は無くなるようですね。

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 では温泉を楽しみましょう。

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 玄関先にある券売機で入浴券を買います。

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 料金は、大人250円、小人150円、幼児50円です。定休日はなく、営業時間は、朝は6時から18時30分までで、朝湯を楽しめるのが魅力です。源泉の持ち帰りも可能です。

 左が女湯、右が男湯で、中に入り番台に入浴券を渡し、下足棚に靴を入れて脱衣場に入ります。

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 脱衣場には鍵なしの木製脱衣ロッカーが多数ありますが、どこが空いているのか開けてみないとわかりません。

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 脱衣場からはガラス戸越しに浴室内が見えます。先客が2人おられました。

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 浴室内には浴槽と上がり湯があるのみで、洗い場はありません。洗面器で浴槽の湯を汲んで洗身し、浴槽に浸かります。
 浴槽の中央の底から源泉が噴き上げるように供給され、浴槽の縁から大量に掛け流しされています。
 女湯との境界の上方に弘法大師像があり、ここの岩組からも源泉が流されています。

 無色透明無味無臭の湯は、体感で40℃程度でしょうか。
何の変哲も無い湯に見えますが、細かな泡付きがあり、大量掛け流しで、鮮度は抜群です。
 弘法大師像を見上げながら湯に浸かっていますと、決して熱くはないのですが、身体の芯からジワーっと温まり、疲労感を感じるほどです。村杉温泉に似たパワーを感じる湯ですが、鮮度の良さでは村杉温泉に勝ります。
 泉質がどうのと論じる以前に、大量掛け流しの贅沢さは格別であり、この鮮度の高い湯はこの上ない喜びです。
 何も無いですが、最高の贅沢を味わえるこの浴室ともお別れだと思いますと、寂しさは禁じ得ません。新施設でもこのような掛け流しを楽しめることを期待したいのですが、どうなりますか。
 湯に浸かりすぎて、フラフラしたところで、次の客と入れ違いに浴室を後にしました。

 2019年9月付の分析書によりますと、源泉名は、出湯温泉 漲泉窟。泉質は、単純温泉(低張性弱アルカリ性温泉)。源泉温度 38.8℃。湧出量 252L/分(動力揚湯)。PH 8.4。
 主な成分(イオン濃度:mg/kg)は、Li 0.0、Na 61.9、K 1.8、NH4 1.0、Mg 0.0、Ca 50.4、Sr 0.5、Ba 0.0、Al 0.0、Mn 0.0、Fe(II) 0.0、Cu 0.0、Zn 0.0、F 0.7、Cl 7.8、Br 0.0、I 0.2、NO2 0.0、NO3 0.0、HS 0.0、HSO4 0.0、S2O3 0.0、SO4 224.1、HPO4 0.0、HCO3 26.9、CO3 3.0、メタケイ酸 41.9、メタホウ酸 0.0、遊離CO2 0.0、遊離H2S 0.0 など、ガス性除く成分総計は420mg/kgです。
 そのほか、ラドン(Rn)を11.9X10-10Ci/kg(3.27マッヘ単位/kg)含みますが放射能泉の基準(8.28マッヘ単位/kg)には足りません。

 加水なしで、常に新しい源泉水を給湯して利用。気温の低い季節は入浴に適した温度に保つため加温。循環ろ過装置の使用なし。毎日浴槽内の落水・清掃を実施。入浴剤は一切使用なし。塩素系薬剤による消毒なし。と記載されています。
 この時期では源泉は加熱されて供給されており、温まりも十分です。浴槽の大きさに比して十分すぎる量が掛け流されており、鮮度の良さは抜群です。

 この弘法大師お授けの湯ともお別れです。

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 汗を拭きながら共同浴場を出て、振り返ってその姿を私の記憶に刻みました。

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 昭和の空気感に満ちた古ぼけた温泉。何もなく、洗い場すらありませんが、鮮度抜群の湯があります。新潟の温泉遺産として残して欲しいところですが、そうもいかないのは残念です。

 さて、新しい施設がどのようになるのか、源泉がどのような浴槽で、どのように使用されるのか、期待と不安が入り混じります。
 料金が高額になるとのうわさもあり心配なのですが、新施設の営業開始を楽しみに待ちたいと思います。